心は乙女で清らかだもん
「ではでは、出発致します~」
何処と無く呑気なアガーテの声がして。
猫姿のアガーテと黒豹獣人のダンテが幾つもの荷物を背負って、持ち切れない荷物は荷車…ん?んんー?
「馬…?」
見たことの無い真っ白な馬が1頭。
その馬が此方をじと~とした目で見詰めて来る。かと言えば、猫姿のアガーテをじっとりと恨みの籠もった様な目で睨み付けて居る。
「ヴァルヘルム…じゃないよねぇ」
だってヴァルヘルムは私の後ろに居て、「はい?」という感じで小首を傾げている。
相変わらずの八本足は、スレイプニルと言う証。
対して普通の四本脚の白馬は荷物が乗っている荷車に繋がれていて、とても嫌そうに、いや、嫌そうと言うより「この野郎」と文句を…あ!
「喋った」
驚いて白馬を見れば、「あ~うん」と変に喉に詰まったような言葉を漏らす。
「ヴァルヘルムでさえ喋れないのに」
しかもこの声、もしかして…
「もしかしてアデル?」
「もしかしなくてもそう」
ガックリと項垂れる白馬姿のアデル。
確かにアデルは白い糸を出すのだけれど、ってそういう問題じゃない。
どうしてこうなった!?
* * *
「実はアデルの旦那、町に行きたいって言うからこうなったにゃ~」
「いや、それじゃ説明になって無いからね?」
あははは、そうにゃ~とお気軽に話しているアガーテに対し、マイペースな黒豹の獣人ダンテはアガーテの頭部をナデナデとしている。
ええい、甘々な雰囲気を醸し出すな。
リア充め。
番だったかな?こう、目の前でやられると何とも…
「アデル、その馬足いや前足?上げてアガーテを踏み付けようとするのは止めておこうか。ダンテさん、懐からナイフ取り出すのは止めようか。そしてヴァルヘルム、嬉々として参加しようとしない。八本ある足どれが前足か分からないからって、後ろ足で蹴ろうとしないのっ!」
と言うか後ろ足は分かるのか、ヴァルヘルム。
それなら前足だってわかるのではないの?え、混乱するって?じゃぁ前・前中・後中・後でいいじゃないの。
こら、そこで「わかってない」って呆れて溜息を吐くのは止めて。
自分だってわかってないのでしょうが。
え、何々?マスターだからわかって欲しい。
…無理言わないで欲しいのだけど。
「と言うか何故俺が馬になっている…」
グッタリしてしまっているアデルに対し、アガーテは、
「仕方がないにゃ~。此処に来る前に在庫管理している店舗に幾つか荷物になるから置いて来てしまったにゃ。だから唯一ダンテが持っていた魔道具は、『馬になれる』指輪しか無かったのにゃ。にゃんなら止めて、何時もの姿に戻るかにゃ?」
どうでも良いけど、アデルの周囲に居る配下の蜘蛛達が、
『マスターが猫でなくて残念です。が、コレもイイ』
『嗚呼、でもコレはコレでいい。もふ、もふ…』
『尻尾!鬣―!』
と、何時ものように布地に文字を書き、掲げているのは何故なのだろう。
そして一部恍惚とした目、しかも蜘蛛だから8つの複数の目がキラキラしているような、欲にまみれているような、そんな気がするのだけど…。
これってもしかして、
「もふ欲にゃ。アデルの旦那の蜘蛛さん達は、何匹かにゃぁの尻尾とか毛並みとか、じとーと熱が籠もった目で見詰めていることがあるにゃ。お蔭で此処に来る時はダンテが意地で付いてくるにゃ」
え、荷物持ちとかじゃ無いのね。そしてダンテ嫉妬しての?
黙して語らずな人?獣人?な性格の人なのでちょっとわかり難い。
「え、これが」
「嫉妬しているにゃ」
アガーテの言葉に同意しているのか、ウンウンと頷いているダンテさん。
「時折、アガーテの抜け毛を採取して保管している輩もいる」
おお。また珍しい事にダンテさん話した。とか思ったら、アガーテが悲鳴を上げた。
「うぎゃあ!」
え、ほんとにゃ?マジにゃ!?と鳥肌が立つ猫ってこんな風になるんだな~って言う位にボワッと全身の毛が膨れ、尻尾も何もかも膨らんで目が真ん丸になる。
「さ、流石に止めて欲しいのにゃ~。お願いだから、乙女の毛は集めないで…にゃ…」
『モフ欲です!』
『もふもふの欲望に忠実なだけです!』
『え、乙女では無いのでは…』
最後っ!
それ言ったら駄目な奴!
「心は乙女で清らかだもん…にゃ…」
ションボリしてしまったアガーテをダンテがヨシヨシとずっと撫でて貰い。
落ち込んだ気持ちを何とか持ち直し、愚図るアデルを引き摺りつつ、否。荷馬車を引っ張って貰いつつ、皆で町へ出掛けることになった。
新年早々新しい方のPCトラブルで画面の文字がおかしくなっており、「え?」と暫く格闘しておりました。今は少しマシになったのですが、小説を書いているワード(普段ワードで下書き)の文字がおかしくなりました。どうしよう…
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まぁ見えるからいっか。と開き直ろう!(オイw)




