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否定はしない。

 はぁ、と一つ息を吐いてから顔を上にして上体を反らし、大空を見上げる。


 空は雲ひとつ無い…あー違うな。

 蜘蛛なら其処らに「何か御用ですか?」と木の枝等に居るアデルの配下の蜘蛛達が此方を見詰めて来る。

 って漢字が違うか。


 雲

 蜘蛛


 大分違うよね、この漢字。

 そして少し向こうでは、何か大型の魔物?動物じゃなさそうだな~なんて思いながら魔物らしきモノが叫んだ声がしたと思ったら、蜘蛛達が糸でぐるぐるにして数匹で捕獲していた。あれは多分アデルの配下達の本日のご飯となるんだろうな。


「それじゃー行くにゃ。準備はいいにゃね?」


 アガーテの横には黒豹だった人が人型を取り、肌の浅黒い黒髪で金の目をした獣人となって立っている。結構長身なんだよね~、190位はあるのかな?でも一言も言葉を話さないから黒豹の時の喉をゴロゴロしていた時の声ぐらいしか分からない。ちなみに豹耳は健在。さらにツヤツヤふかふか黒尻尾も健在。

 くぅ…あの尻尾とか耳とか触りたいけど、予想通り人型の時は駄目だとアガーテに注意された。

 勿論ルクレツィアとアルフォンソも。

 子供好きだからある程度は良いけどにゃって言っていたけど、私には駄目の言葉。


「成人女性はにゃーが嫉妬するにゃ。プンプンにゃ~」


 とハッキリ言われました、はい。

 その後「にゃーのだから」と黒猫の胸をはって言われたんだけど、そう言えばアガーテって二足歩行なんだよね。ついでに言うと140位の身長だから、相方さんと並ぶと身長差が凄い。大人と子供並の身長差。そう思ってジロジロ見ていたら、


「言っとくけどにゃーは人間の時は160はあ…」


 そこでトンッと獣人の黒豹さんに突かれて、何故かうう~と唸り、


「156にゃ…」


 とションボリと告げたら獣人の相方さんに頭を撫でられた。


「嘘言ったら駄目って、4センチしか違わニャいのに。ソレぐらいサバ読んでも…む~分かったにゃ、相方には敵わないにゃ。商人嘘はよくにゃいって言うにゃ、うにゅー」


 黒豹獣人の相方さんが首を横に振ったり縦に振ったりと忙しい。

 そしてほぼ仕草だけで会話が成立している様を見て改めて凄いなと思う。

 アデルなんか配下の蜘蛛達と文字で書いて交流しているのに、此方は雰囲気で悟るのかな?それとも何かあるのかなぁ?


「あ、にゃー達は目と仕草で会話してるにゃ」


 …人の域を超えた何かに発展していたのですが、そうですか。

 と言うか相方さんは言葉を話さないの?


「ん?声だしてにゃぃかにゃ?」


「出てないけど」


「あにゃ?ダンテ声だしてにゃーの?駄目にゃ、商人たるもの~愛想と誠意は必須にゃ」


 ダンテって名前なのか。

 ほら出すにゃ!とアガーテにどつかれて、やっと声が聞けた。


「…ダンテです」


 それだけか。他は無いのか。ただ礼儀としてなのかお辞儀したからまぁ良い方なのかな?しかしほんっと無口だなぁ。黒豹の姿からは想像出来ない位、好青年っぽいけど少し低めな声でした。

 ちょっと予想外。


「で、本気で行くのか」


 あ、喋った。

 やや呆れた感じで此方を見て来るけど、でもそれだけ。ちなみに本気で行くと言うのは、私が先程頼んだのだ。


「うん、町に行きたい」


 流石商人と言うだけあって、アガーテが持っていた品は欲しかったモノが幾つもあった。でも残念ながら足りない物も当然あって、食器や調理道具に調味料、それに細かく言うと縫い針も無かったし、何より着替えが欲しい。アデル達が用意してくれた物もあるけど、正直上質過ぎて勿体無いと言うか何というか…。

 おまけに白一色だからちょっと他の色も欲しいかな~と。

 それに寝具です、寝具。何時までも布一枚だけぴらって上に掛けて寝るって状態はどうかと思うのよ。幾らダンジョンの床が柔らかくなるとは言え、お布団が欲しいのです。

 それと…うーん言い出したら切りが無い。

 だから見学と言うか次の目標として見に行きたいなって思っている。

 何せお金が無いからね私。


「割と俗世に塗れた魔王ちゃんだにゃ~」


 それを言われると正直困る。


「ハイ、洗濯に使う盥とか石鹸とか欲しいです。ヴァルヘルムのお世話する物もあると便利ですね」


 そして欲しい物を堂々と言うミン。


「あ、俺ロープとかが欲しいかな。罠とか簡易でも作って置いたほうが良いし」


 と言い出したのはシユウ。

 ダンジョンで足りない物とか色々考えてくれて居るらしい。けど、それはシユウの下で一生懸命アピールしているアデルの蜘蛛達が、


『僕たちやるー!』

『縄より丈夫で見えにくいの作るよ』

『いっそ罠共同で考えて作らない?』


 と和気藹々と誘って来てるよ。

 と言うかウチのダンジョン、アデルの配下達がドンドン来ちゃいそうだなぁ…いや、確実に来るよね。今後の事も考えてダンジョンの設定色々しておかないと。折角来てくれるのに、アデルの蜘蛛がうっかり間違えて罠にハマったら可愛そうだし。

 それにこうして紙に書いてだけど交流していると親近感が湧くし、苦手意識が…


「うん?」


 いや、やっぱり駄目だわ。

 アデルの隠れている蜘蛛足の先を見て改めて無理だな、と思った。


「何だかレーベルにディスられてる気がする…」


 否定はしない。ただ思いっきり目線では訴えておこう。


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