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それって油断し過ぎでは?

 

「にゃるほどにゃぁ~お嬢ちゃんはアーデルベルトの旦那と同じ『ダンジョンの魔王』なのかにゃぁ~」


 にゃーにゃーと鳴きながらウンウンと首を縦に頷くアガーテ。

 そして何故か真似をするルクレツィアとアルフォンソ。

 ヤメなさい君達。

 そんな思いっきり首を縦に振ってヘッドバンギングしてると首が痛くなるよ。そしてヴァルヘルム、鍔飛ぶからヤメて。大振りに首を縦に振らない。何故か背後に居たセンギョクがヴァルヘルムの足に蹴飛ばされて華麗に半円を描くようにすっ飛んで行ったけど、大丈夫だろうか。

 ミンが「無駄に丈夫ですから」って突き放した言葉を言ってるし、シユウがうんうんと此方は軽く頷いているから大丈夫…なのかな?

 と言うか何故ヴァルヘルムの背後に居たのやら。


「という事はまだ出来たてホヤホヤの産まれたてダンジョンの子って感じ?」


「ええ、まぁ」


「ほ~…にゃーはアーデルベルトの旦那以外の魔王は、ネジが飛んてぶっ飛んだ頭の人しか知らにゃいけど、この子はマトモなんにゃよね、旦那?」


「レーベルは他の魔王と反応が違う。ちゃんと言葉も話せるし、交流も出来る」


「おまけに別嬪さんにゃ~。にゃーはこの子が気にいったにゃー。何せまともに交流出来るって言う魔王は商人にとって宝にゃしね」


「宝?」


「そうにゃ。まともな返答が出来る魔王は商売の相手としても重宝にゃー。何せダンジョンの魔王っていうんにゃ、人族には無い珍しい品を持っている事が多いにゃー。けどにゃ、滅多なことじゃ産まれにゃーし、産まれても支離滅裂にゃのが多いにゃー」


「大抵のダンジョンの魔王は”狂っている”しな」


 何でも特に人形(ヒトガタ)のダンジョンの魔王はまともな思考が出来ない輩とか、出会ったら即殺すと襲ってくる輩だとか、「俺様の無双伝説が今始まるー!」とか、ワケがわからない事を口走って殺そうと殴りかかって来るのだとか。


 後半何だ、うん。

 聞かなかった事にしよう。

 えーと他には、酷いのが全身が腐っているゾンビ系の魔王だと、生前の恨み辛みが重なって居て悪鬼の様になっており、まともな会話が出来ないのだとか。


 そしてココ最近特に多いのが、アデル曰く「美形滅びよー!」とか、「くっ此方来てもイケメンが正義とかってマジ泣きてぇ!」と口走っているのだとか。


 …それってもしかして、前世日本人だったりして…


 何だか頭痛い。

 更に斬新なのが「い・や~んイケメンきたー!」とクネクネと身体を動かし、やたらとボディタッチしてくるのだとか。…あ、うん。何となく分かった。男性だけどきっとおニューなハーフさんだね、性別が。そしてその彼は長物だったと。うわぁ~…アデルほんっと、長物系統の生き物駄目みたいだね。

 それ以前に性別がアレだけど。

 アデル両手抱えて震えるのヤメて。想像できるから。ちなみにその彼は現在も生きていると。うわ、大丈夫なのかこの世界。

 そして町中でそっち系の夜のお店を経営してるって、あれ、魔王じゃ…?


「アレは特殊過ぎてるし、アイツのスキルは特殊で普通の人間に化けられるしな。誰も気が付いていなくて普通に紛れてる。あ、いや普通の男には避けられているのか?一応一般的には"人畜無害"だが精神はゴリゴリ削られるが、女性であるレーベルなら大丈夫だろう。何なら今度会いに行くが良い。俺は遠慮するが」


 疲れるし、と苦虫を潰したような顔をするアデルをみて、アガーテは黒猫の髭をピクピクと動かし、


「あれは特殊趣味じゃにゃいと、大抵の男性は無理にゃー。相方もアレの前には何が何でも出て来ないにゃ、強烈に嫌がるにゃぁし。でも女性には優しいにゃーよ、乙女トークとか恋愛トークとかしたがるけど良い子にゃぁよ。今度会いにいこうにゃー。にゃーが案内するにゃ!」


 何でもこの特殊?魔王もダンジョンを持っているらしいけど、殆ど手付かずなのだとか。それって大丈夫なの?狙われない?と思ったのだけど、


「当人が変わっててな、「生きる時は生きるし、死ぬ時は死ぬ。死んだらそれまで」と言っててマイペースにしている。だから俺の忠告は聞き入れないみたいでな。ま、死んだら死に水を取らせる事は出来ないが、祈ってやってくれとは言われているからソレぐらいはと思っている」


 随分刹那的に生きている人、いや魔王だなって思っていたら「排他的じゃね?」とアデル。

 やっぱり長物系の生き物は苦手なんだそうだ。

 蜘蛛だからかなぁ?


「ああ、ちなみにアイツは魔王になると蛇系になるから注意な」


「種族は確かナーガにゃ~。うっかり興奮すると尻尾でぐるぐるに巻かれて拘束されて死にそうになるにゃ。気をつけるにゃ」


「って事は一度はやられたの?」


「ふは、は…にゃーは5回程やられたにゃ…何度昇天仕掛けたかわからないにゃ」


 それって油断し過ぎでは?

 そう呟いたら、黒豹さんが此方を向いてコックリと頷いたのだった。


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