97.変化
俺は王都の中をただひたすら歩いた。目に入ってくるのは縛られた人達ばかりと遠くで呆然とその人達を見ている人だ。きっと縛られている家族なんだろう。
どこを歩いても歩いても一人になれる場所はなく俺はついに立ち止まった。そんな中俺は誰かに声をかけらた。
「こんなとこで何をやってんだ?」
「なぁ、俺はどうしたらいいんだ?」
「ははは、それは俺に聞かなくてもわかるだろ」
「お前ならどうする? 教えてくれよエヴァン」
振り返るとそこにはエヴァンがいた。
王都で出会った唯一の同年代で王族なのにポーターの俺達と関わってくれる変わり者だ。
「お前何してたんだよ」
「ははは、俺もこの国を守る王族だし冒険者だからな」
エヴァンの体は以前見た時と変わっており、綺麗な顔は傷だらけになり腕は布で固定されていた。
固定された手を上げて痛いはずなのにその表情は笑っていた。
「俺はこんな時でも動けない自分に腹が立つよ」
ロンとニアを助けに行きたいが俺にはいけない理由があった。そもそもあいつらの居場所がわからないのだ。
「いや、そんなことないぞ? 俺はお前に助けられたし、やっと自分で守りたいと思える場所を見つけることができたんだ」
エヴァンは少し照れ臭そうに自身の気持ちを語っていた。
「それは全てお前のおかけだ。 ウォーレンの一言で俺は変わることができたんだ」
彼なりに努力した結果だろう。鑑定から見る彼のステータスがそれを物語っていた。
《ステータス》
[名前] エヴァン・アルジャン
[種族] 人間/男
[能力値] 力A/A 魔力A/A 速度A/A
[スキル] #完璧器用__オールラウンダー__#
[状態] 達成感
「だから今度は俺がお前を助けてやるよ?」
「えっ?」
エヴァンは近くに寄ると俺の背中を押した。
「早く家族を助けに行ってやれ! お前ならそれを使えばすぐに2人の場所がわかるだろ」
エヴァンが指を差していたのは俺の首につけているネックレスだった。
俺はすっかり忘れていた。伝達のネックレスを使えばロンとニアに連絡が取れることを……。
「おい2人とも聞こえるか」
すぐにネックレスを触れ話しかけたが反応がない。
「どうだ?」
「いや、何も反応はない」
聞こえてくるのは周りから啜り泣く声だけだ。
俺はその後も何度か話しかけるが2人から声が返ってくることはなかった。
「単純に魔力が伝わってないだけかもしれないぞ? 遠いところにいたら聞こえない仕組みのはずだ」
王族であるエヴァンはこのアクセサリーの仕様を知っているようだった。
それだけ高価な物をもらったのに今まであまり使ってこなかったのだ。
近づいて2人を引き戻せるなら簡単だ。夜になればスライム達も活動しなくなるのは初めてみた時に知っている。
「エヴァン助かった」
「ああ、ロビンさんには俺から言っといてやるよ」
俺は腕を上げるとエヴァンも怪我をしていない腕を挙げた。
「最高の友達だな」
お互いの拳を打ちつけ合うとニヤリと笑った。
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