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最弱の荷物持ちは謎のスキル【証券口座】で成り上がる〜配当だけで伝説級の武器もスキルも手に入る〜  作者: k-ing


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96/140

96.スライムの進撃

 目を覚ますと見たことない天井があった。さっきまで嫌な夢を見ていた内容ははっきりと覚えている。


「あれはなんだったんだ?」

 俺は涙で濡れていた頬を拭こうと手を動かすと動けない。


「おい、なんだこれは……」

 なぜかベットの上で紐に縛り付けられていた。


「おーい! 誰かー!」

 必死に叫ぶと勢いよく扉が開いた。むしろ開いたという表現より、扉は外れて勢いよく飛んでいた。


「ウォーレンちゃん!」

 勢いよく入ってきたのは冒険者ギルドのギルド長であるローガンだった。


「これってどういうことですか?」


「うっ……みんなに心配かけて……」

 なぜかローガンは俺の顔を見て泣いている。


「どうしたんですか?」


「どうしたもないわよ!」

 身動きも取れない俺に対してローガンは抱きついてきた。うん、そんな趣味はないからやめて欲しい。


「いたたたたた!」

 しかも体からミシミシと骨が軋む音が聞こえていた。


「あら、ごめんなさい」

 ローガンは勢いよく離れると俺の姿をジッと見ていた。


「おい、ローガン大変だ!」


「誰よローガンって呼んだのは!」

 声がする方に目を向けるとそこには焦った表情のロビンがいた。


「えっ、お前……」


「ローガンって呼んだのはまた――」


「それよりもロンとニアが居なくなったんだ!」

 俺は何を言っているのか理解ができなかった。


「おい、居なくなったってどういうことだよ!」


「こいつって元に戻ったのか?」

「私もさっき気づいたから状況がわからないわよ」


「おい、ロンとニアが居なくなったってどういうことだよ」

 どちらかと言えば俺の方が状況を理解できていない。


「とりあえず落ち着け」

 紐を切られると体を起こした。


「あれ?」

 しかし体は思うようにも動かず重く関節が固まっている気がした。腕を上げたり足踏みをするがどことなく感覚が違う。


「1週間振りに動いた感覚はどうかしら?」


「1週間!?」

 感覚的にはそんなに日は経っていないように感じた。だが実際には1週間も経っていたのだ。


 それよりもロンとニアが心配でロビンに詰め寄った。


「それで居なくなったってどういうことだよ」


「きっとスライムを倒しに行ったんだと思う。 今の外の状況を見てみればわかるぞ」

 俺は急いで階段を降り冒険者ギルドを出るとそこには見たこともない光景が広がっていた。


「こんなことって……」


「ああ、王都はめちゃくちゃだ」

 外に広がるのは外壁も破壊され王都の街は瓦礫の山になっていた。


「今は夕方だからスライムも出てこないけど街はこの有様よ」

 ある者はガロルの様に吊るされた人に近寄ろうとして止められていた。


 ある者は絶望的な顔で地面に項垂れている。


 人々は様々な表情をしているが笑っている人は誰一人いなかった。


「冒険者ギルドと貴族街はスキル玉の影響で無事だけど他は全て破壊されているわ」

 確かに見渡せば冒険者ギルドと貴族街は綺麗に残っていた。


「やっと目を覚まされましたか」


「ゴードンさん……」

 そんな中声をかけてきたのはゴードンだった。彼の服もボロボロになっており、必死に動いていたのか汗だくになっていた。


「お兄さん元気になりました?」

 ゴードンの後ろにいたのはあの時助けた獣人達だ。


「彼らも自分達のやることを見つけてね」

 よく見れば獣人達は王都の人達に食事を持って配っていた。


 その他にもミンは持ち前の聴覚で人命救助をしたり、ハリスとホークスは魔物の偵察をするなど改めて獣人の能力を見せつけていた。


「今はみんなでどうにか成り立ってるのよ。 勇者が集まるまでもう少しの辛抱よ」

 現国王が勇者に召集をかけて各地の勇者は向かっているらしい。ただ、それではロンとニアを助けるには間に合わない。


「何で誰もロンとニアを止めなかったんだよ!」


「俺らも毎回止めたんだ。 だがあいつらはお前を助けるために出て行ったんだ」


「ロビンも家族だろ! あんな子どもに――」


「だから勇者が来るまでは耐えてくれ。 今も王都を守るだけで精一杯なんだ。 今俺とローガンが離れたら王都にいる市民は誰が守るんだ」

 実力的に市民を守れる力を持ってるのはローガンとロビンだけなんだろう。


「貴族からの協力は――」


「逃げた貴族の中にスライムになるやつがいて騎士も魔法師も王族を守るのに必死なんだ。 教会のやつらはすぐに逃げて回復魔法を使えるやつもお前とニアしかいない」

 ロビンの言っていることは何となくわかる。ただ、勝手に助けるために出ていったからといって家族を見捨てて良いわけではない。


「それでも家族なら――」


「大変なのはあなただけじゃないのよ! とりあえず落ち着きなさい」

 勢いよく頬に衝撃が走ると俺はそのまま地面に倒れた。


「なにするんだよ」

 顔をあげるとそこには悔しそうな顔をしたローガンとロビンが俺を見ていた。彼らも彼らなりに止められなかった負い目があるのだろう。


「少し頭を冷やしてきます」

 体を起こし王都の中心に向かって歩き出した。


 今はただただ1人になる場所を探した。


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