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最弱の荷物持ちは謎のスキル【証券口座】で成り上がる〜配当だけで伝説級の武器もスキルも手に入る〜  作者: k-ing


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82.海にあるもの

「海ってこんなにすごいんだ……」

 咄嗟に出ていた声だが浮かれた気持ちを押し殺して俺はある人を探しに海に来た。


 海は元々近くで見たかったが決して遊びに来たわけではないからな。


 俺は外套に身を包み通り過ぎる人達を鑑定を使ってある人を探していた。たくさんいる人を一度に鑑定するため沢山の文字と人で鑑定酔いしそうになるが目的の人物をやっと見つけた。


《ステータス》

[名前] ヴェンキ

[種族] 人間/男

[能力値] 力D/C 魔力E/E 速度D/D

[スキル] 交渉術

[状態] 焦り


 ウサギの獣人を追っていた男達の1人だ。海の方へ向かっていたっていうところまで見ていたがまさか本当に海にいるとは思わなかった。


 男達が話していたことが俺は少し引っかかったのだ。


「使い道の少ない愛玩だから最悪死んだことにすればいいが金をもらった瞬間に逃げ出すとはな」

 この一言であの少女以外に他の獣人がいる可能性があると感じていた。


 だから俺は男達を探していたのだ。


「今日も沢山利益が出たな」


「へへへ、結局見つけられなかったがこんな子守みたいな仕事で大金貨がもらえるとはな」

 俺は男達の後ろについて歩いていた。


「それで良い酒でも飲みに行きましょうよ」


「それだけでいいのか?」


「それだけとは――」


「こんだけあれば女が買えるだろ!」


「さすが兄貴! 獣人だけじゃ満たされないって獣人より獣すね! じゃあ、先に女を買いに来ましょうか」


「あいつらは――」

 男達が路地裏に入った瞬間に俺は兄貴と呼ばれている男の首に短剣をつけた。


「おい、獣人はどこにやった?」

 俺は男を脅すようにわずかな声で話しかけると今の現状を理解したのか息を呑んでいた。


「俺は仕事をやったまで――」


「それを聞いたんじゃない。 どこにやったんだ」


「あいつらはもう船に乗って違う国に出港したばかりだ」


「本当か?」


「ああ、嘘をついても意味はないからな」


「そうか」

 男の話ではすでに獣人達は船で他国に売り飛ばされているらしい。俺は短剣を首から外すとその場から離れ影に隠れた。


 その時はなぜか男の言っていたことが正しいと俺は思っていた。


 ただ改めて考えると男の話していたことが引っかかり信じることができなかった。


 鑑定による結果、スキルに"交渉術"というあまり見たことないスキルが存在していたからだ。


 俺はそのまま男達の動きを観察していた。


「兄貴突然止まってどうしたんですか?」

 先に歩いていた弟分は立ち止まっていた男に声をかけた。


「いや、何にもない。 それよりも早く戻るぞ」


「どっ……どうしたんですか! アニキィー!」

 男は突然どこかへ走り出した。その先にあるのは海に係留されている船があった。


「あそこにまだいるのか」

 あいつらより先に船に乗るために急いで船に向かって走った。





「船ってこんなにでかいのか……」

 俺は目の前にあるあまりにも大きい船に驚いていた。本や物語に船は出てくるが実物は見たことがなかった。


 船は基本的に他国へ移動する人や物しか運ばないが、あの男達の向かっているのは目の前にある船で間違えはないらしい。


 入り口がわからない船に俺は鎖が結ばれているところを見つけるとそこを伝うように船に飛び乗った。


 中は船員なのか数人しか乗っていないが、誰もがどこか怪しい人達ばかりだった。


 鑑定を使ってみると人間の隣には犯罪者と記載してあった。


 どうやら乗り込んだ船に間違いはないらしい。


「今回も獣人を沢山手に入れたな」


「あいつらがうまく集めてくれるからこっちとしては助かるな」

 船員が話しているあいつらとはきっと今向かっている男達のことを言っているのだろう。


「それにしても獣人を好む奴なんて珍しいな」


「依頼主が獣人好きらしいからな」


「ならよかったじゃないですか」


「ははは、好きって言っても性欲の発散相手としてだけどな」


「うげー、俺には無理だな。 しかもあいつらまだ子供じゃねーか」


「お前も一回試して見ればわかるだろう」

 こいつらも基本的に獣人を人として見ていないのだろう。


「おーい! ちょっと開けてくれー!」

 そんな話を隠れて聞いているとどうやら男達が戻ってきたようだ。


 俺は急いで近くにあった扉を開けて身を隠した。

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