130.激突
「おい、もう一度言ってみろー!!」
俺は後ろに下がると短剣を下げた。
「唾をかけるなよ」
「てめぇ!!」
耳元にやつの声が響いた。正直耳がキンキンとするし唾が飛んで汚い。こんなやつのどこを尊敬していたのだろうか。
「あっ、もう一度だっけ……俺なんて言ったけ?」
「アドルに向かってその態度はどう――」
「にいちゃ、こんなところでボケないでよ?」
「ああ、すまないな」
ロンはこっちに向かってきたアテナの攻撃を受け止めた。
「それとそこのお姉さんの相手はオラだよ?」
「こんな獣人ごときに――」
「ロン任せたぞ」
「はーい!」
ロンはアテナを強く吹き飛ばすとすぐに追撃していた。一方ニアもシャルロとマリベルに対して一人で戦っていた。
「助けてくれる人がいなくなったけど大丈夫なんか?」
「んー、どうだろう。ただ負ける気はしないよ?」
「ウォーレンのくせに生意気になったな」
どちらかと言えば優しかったアドルが変わったことの方が驚きだ。
「昔は優し――」
「いいかげんごちゃごちゃうるさいな。俺は前からお前のことが嫌いだったよ。いつもアドル、アドルって付いてきやがって」
「何言ってるんだ? 誘ってきたのはお前だろ。そもそもこの道に誘ったのもお前だろうが!」
俺はそもそもポーターになる気もなかった。スキルが分かって、祖母が亡くなってからは一度夢は諦めたんだ。
そんな俺に声をかけたのはアドルだった。ポーターであれぼ一緒に勇者を目指せると言ったのはあいつだ。
「ああ、そうだ。お前を連れて行けば村の連中から良い目で見られるしそれだけ目立つからな。元々お前は切り捨てる予定で連れ出したんだよ! ははははは」
アドルの声は何もない荒野で響いていた。俺の心は沸々と体温が上がっている。今にもあの男の口を閉じさせたいという気持ちしかない。
「そうか……。兄だと思ってたのは俺だけってことか」
「ああ、そうだよ! 俺はお前のことを弟だとも思ってないし、勇者の息子だからってみんなからチヤホヤされて邪魔でしかなかった。親がいないから貧しいです、悲劇の主人公ですって感じが昔から嫌いだったんだよ」
あの時の俺は何も知らず騙されていた。言えるのはただそれだけだ。
「もうそれだけか?」
「はぁん!?」
「こんなやつを兄だと慕っていた俺が馬鹿だった。それだけだよ」
俺はロンとニアのところへ向かおうと振り返り足を出すと目の前にはアドルがいた。
「俺がお前を逃すと思うか? お前の存在自体が邪魔だ。消えろ」
アドルは素早く切りつけるが俺は何度もかわした。やつの攻撃は当たる気がしなかった。
だって俺の方がステータスは上だからだ。
《ステータス》
[名前] アドル
[種族] 人間/男
[能力値] 力S/SS 魔力A/A 速度A/S
[スキル] 剣豪
[状態] 怒り
《ステータス》
[名前] ウォーレン
[種族] 人間/男
[能力値] 力S/SSS 魔力S/SSS 速度S/SSS
[スキル] 証券口座、共鳴吸収、限界突破
習得:短剣術、鑑定、回復魔法、雷属性、氷属性、アイテムボックス
[状態] 早く帰りたい
両親に会ってからステータスの限界値と数値が上昇していた。それもありアドルには負ける気がしなかった。
「もう帰りたいからいいかな?」
俺は早くモーリンとメジストに会って勇者の息子だと伝えたいのだ。
「舐めやがって!」
アドルは剣に手を添えると剣のスキルが発動されたか緑色に光っていた。
お読み頂き、ありがとうございます。
この作品を『おもしろかった!』、『続きが気になる!』と思ってくださった方はブックマーク登録や↓の『☆☆☆☆☆』を『★★★★★』に評価して下さると執筆の励みになります。
よろしくお願いします(*´꒳`*)




