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第二部 第173話 バグ認定
白い空間。
静かだった。
だが。
静かすぎた。
士郎が歩く。
その度に。
黒い侵食が広がる。
白。
距離。
法則。
空間。
ゆっくり。
黒く染まっていく。
まるで。
世界そのものが。
腐っていくように。
笑うものが顔を引き攣らせる。
『待って』
短い。
『歩くだけで悪化してるんだけど』
士郎が目だけ向ける。
低く。
「知らねぇよ」
翔は煙を吐く。
静かな声。
「気にするな」
それだけ。
笑うものが固まる。
『いや君も!?』
セレナは白を見る。
静かな目。
だが。
僅かに揺れていた。
小さい声。
「侵食速度が上がっています」
少し間。
士郎を見る。
「存在そのものが」
短い。
「外界を上書きしています」
沈黙。
その瞬間。
頭に流れ込む。
また。
無数。
観測。
違う。
ざわめきだった。
『対象更新』
『危険度再定義』
『修正不可能』
『排除不可』
少し間。
初めて。
そこに。
明確な恐怖が混ざる。
『バグ認定』
『法則汚染源』
『魔王指定』
沈黙。
笑うものの顔が止まる。
『……今』
短い。
『魔王って言った?』
士郎が少し笑う。
目が細い。
低く。
「今さらだろ」
翔が煙を吐く。
静かな声。
「士郎」
少し間。
前を見る。
「何か来る」
次の瞬間。
——止まる。
白い空間。
奥。
何もないはずの場所。
初めて。
“道”が曲がった。
違う。
空間そのものが。
二人を避け始めた。




