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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第二章 『王の死んだ世界編』
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第二部 第100話 王の仕事


「……王様」



小さな声が。



今度は一人じゃなかった。



怯えながら。



迷いながら。



でも。



確かにユースへ向いていた。



ユースは少し困った顔をする。



慣れない。



重い。



怖い。



逃げたくなる。



さっき人を斬ったばかりだ。



まだ少し。



手が震えている。



士郎が鼻を鳴らした。



「情けねぇ顔してんな」



ユースが苦笑する。



「急に無理だろ……」



掠れた声。



「人殺したばっかだし」



少し間。



士郎はバルドの亡骸を見る。



興味なさそうだった。



「死ぬ方が悪ぃ」



静かな声。



少し間。



ユースを見る。



「ただ」



風が少し止まる。



「一回やったら」



少し間。



「もう躊躇しねぇだろ?」



沈黙。



ユースが止まる。



聖剣を見る。



自分の手を見る。



まだ少し震えていた。



でも。



否定できない。



士郎が鼻を鳴らす。



「良くも悪くもな」



翔が煙を吐く。



「慣れる」



少し間。



「多分」



笑う者が、少し止まる。



『多分!?』



『雑!!』



翔が商人達を見る。



土に這いつくばり。



泣きそうな顔で震えている。



「で」



少し間。



「働かせるんだろ?」



ユースが顔を上げた。



少し考える。



もう。



逃げない。



「今日からだ」



商人達が止まる。



神官も。



地主も。



顔を上げる。



ユースが続けた。



「食料配布」



「倉庫整理」



「壊れた街の修復」



少し間。



今度は逸らさない。



「全部お前らがやれ」



地主が顔を引き攣らせる。



「わ、私達が……?」



初めてだった。



ユースが少し怒っていた。



「当たり前だろ」



静かな声。



「奪ったんだから」



風が吹く。



「返せ」



静寂。



商人達が崩れ落ちる。



神官も。



地主も。



もう逆らえない。



「や、やります!!」



「働きます!!」



「返します!!」



士郎が少し笑った。



「王っぽくなったな」



ユースが困った顔をする。



「まだ分かんないよ」



小さな声。



「王って何すればいいのか」



士郎が少し考える。



少し間。



「知らねぇ」



静かな声。



ユースが止まる。



士郎が鼻を鳴らす。



「俺も祀り上げられただけだしな」



少し間。



民を見る。



短く。



「でも」



静かな声。



「腹減ってる奴放っとく王は」



少し間。



「クソだと思うぞ」



翔が煙を吐く。



「あと」



少し間。



「長い奴」



静かな声。



「面倒」



静寂。



ユースが。



少し吹き出した。



民からも。



小さく笑いが漏れる。



さっきまで死にそうだった空気が。



少しだけ。



軽くなった。



その時だった。



遠くで。



鐘が鳴る。



低い音。



嫌な響き。



兵が走ってくる。



顔面蒼白。



息を切らし。



叫ぶ。



「報告!!」



広場の空気が止まった。



「東の砦が……!」



少し間。



震えた声。



「奪われました!!」



ユースの顔が変わる。



士郎が。



少し笑う。



試す目。



「ほら」



静かな声。



「王の仕事だ」

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