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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第二章 『王の死んだ世界編』
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第二部 第99話 王の裁き


「……王様」



小さな声だった。



震えていた。



でも。



確かだった。



ユースが止まる。



聖剣を握る手に、少しだけ力が入る。



頭を下げる民。



泣きそうな顔。



助かった安堵。



まだ消えない不安。



全部。



自分を見ていた。



怖い。



重い。



逃げたい。



でも。



逸らせなかった。



士郎が横で少し笑う。



「見られてんな」



静かな声。



ユースが苦笑する。



「……無理だろ」



掠れた声。



「俺なんか——」



士郎が顎で示した。



商人。



神官。



地主。



顔面蒼白。



さっきまで威張っていた連中が、今は震えている。



「で?」



静かな声。



「こいつらどうする」



空気が止まった。



商人が真っ先に崩れる。



「ま、待ってくれ!!」



額を擦りつける。



「金は返す!!」



「倉庫も出す!!」



神官も慌てて叫ぶ。



「私は必要だ!!」



「秩序が!!」



地主も続く。



「土地もある!!」



「働く!!」



必死だった。



さっきまでの余裕は。



もうない。



ユースは黙った。



怖い。



迷う。



殺した方が早いのか。



許していいのか。



聖剣が少し重い。



だが。



逃げなかった。



「……奪った物は全部返せ」



静寂。



商人達が止まる。



ユースは続けた。



「金も土地も倉庫も」



少し間。



「全部だ」



神官が恐る恐る顔を上げる。



「そ、それで終わりか……?」



ユースの目が向く。



静かだった。



でも。



前より強い。



「終わらない」



少し間。



「働け」



風が吹く。



「民の前で」



「飢えた奴のために働け」



地主が唇を震わせる。



「こ、殺さないのか……?」



ユースは少しだけ考えた。



そして。



静かに言った。



「逃げるなら斬る」



少し間。



「隠すなら斬る」



聖剣を少し握る。



「また奪うなら」



静かな声。



「今度は許さない」



商人達が崩れ落ちた。



涙。



汗。



震え。



みっともなく何度も頷く。



「や、やります!!」



「返します!!」



「働きます!!」



翔が煙を吐く。



「甘い」



静かな声。



少し間。



「でも嫌いじゃない」



士郎が少し笑った。



「俺なら殺してた」



少し間。



ユースを見る。



「でも」



静かな声。



「お前の国なら、それでいいのかもな」



風が吹いた。



さっきより少しだけ。



民の顔が上を向いていた。



そして。



今度ははっきり。



「……王様」



と、誰かが言った。

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