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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第二章 『王の死んだ世界編』
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第二部 第70話 王の覚悟


「覚悟見せろ」



士郎の声だけが。


街道へ沈んだ。



領主が。


止まる。



震えていた。


怒り。


恐怖。


屈辱。


全部。


顔へ浮かぶ。



だが。


次の瞬間。


怒鳴った。



「ふ、ふざけるな!!」



絶叫。


顔を赤く染める。



「余は王となる男だ!!」



「次の王となるのは余だ!!」



士郎が、少し止まる。


静かな目。


笑わない。



「王候補、な」


静かな声。



領主が叫ぶ。


唾を飛ばしながら。



「民など道具だ!!」



「税を納め!」



「働き!」



「余を支えるためにある!!」



風が。


止まった。



老人が俯く。


母親が子供を抱く。



誰も。


何も言わない。



諦め。


慣れていた。



それが。


普通だった。



士郎が。


止まる。



沈黙。



そして。


少し笑った。



違う。


冷えている。



怖い。


ただ。


怖い。



「……終わってんな」


静かな声。



翔が、煙を吐く。


少し間。


領主を見る。



「弱い上に」


静かな声。



少し間。



「中身もない」



笑う者が、数秒止まる。



『辛辣!!』



『でも正論!!』



領主が、顔を真っ赤にする。



「ころ——」



言い終わる前。



重力が落ちた。



領主が。


地面へ叩き付けられる。



悲鳴。


土が割れる。



宝石。


豪華な服。


泥まみれ。



士郎が、ゆっくり近付く。



静かな目。


冷たい。



笑っている。


なのに。


怖い。



「王ってのはな」


静かな声。



少し間。



老人。


子供。


痩せた民。



全部を見る。



「民が腹減ってる時点で」


静かな声。



少し間。



冷たく。



「失格なんだよ」



領主が震える。



初めて。


恐怖していた。



士郎を。


怪物を見る目で。



翔が、煙草を指で弾く。


灰が落ちる。



「長い」


静かな声。



「飯」



少し間。



「冷める」



笑う者が、頭を抱えた。



『まだそれ言う!?』



『飯の執着すげぇな今日!?』



士郎が、少し吹き出した。



「確かにな」


静かな声。



そして。


領主を見下ろす。



「最後に聞く」


静かな声。



少し間。



「王になる気あんのか」



風だけが。


静かに吹き抜けた。

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