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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第二章 『王の死んだ世界編』
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第二部 第69話 王を名乗るもの


『そっち!?』



『飯基準で強さ測るな!?』



笑う者の声だけが、街道へ沈んだ。



騎兵達が。


地面へ伏していた。



動けない。


呼吸。


苦しい。


骨。


軋む。



絶望。


兵達の顔に浮かんでいた。



領主だけが。


馬車の前で震えている。



怒り。


恐怖。


混乱。


全部。


滲んでいた。



「……ば、化物……!」



士郎が止まる。


少し笑った。



「今さらか?」


静かな声。



領主が後退る。


だが。


怒鳴った。



「殺せ!!」



「殺せぇぇ!!」



「余の兵を使え!!」



城壁。


魔導砲。


騎兵。


弓兵。



全部が動く。



空が。


黒く染まった。



翔が煙を吐く。


静かな目。



少し間。



「まだやるのか」


静かな声。



「長い」



士郎が吹き出した。


「お前ほんと容赦ねぇな」



次の瞬間。



魔導砲が火を吹く。


炎。


雷。


氷。



無数の攻撃が降り注ぐ。



だが。


届かない。



重い。


違う。



“止まっていた”。



士郎の前。


空中で。



炎も。


雷も。


氷も。



全部。


沈んでいる。



民達が息を呑んだ。



領主の顔から血の気が消える。



「……な」



「なんだそれ……」



士郎が歩く。


ゆっくり。



冷たい目。



「王ってのはな」


静かな声。



少し間。



老人。


子供。


痩せた民。



全部を見る。



そして。


領主を見る。



冷たく笑った。



「民に食わせる側だ」



その瞬間。



空が沈んだ。



止まっていた攻撃が。


一斉に地面へ叩き落とされる。



爆炎。


衝撃。


悲鳴。



騎兵が崩れる。


魔導砲が砕ける。



城壁が大きく軋んだ。



翔が煙草を指で弾く。


灰が落ちる。



「飯」


静かな声。



少し間。



「冷める」



笑う者が頭を抱えた。



『まだ飯気にしてる!?』



『この状況で!?』



士郎が腹を抱えて笑った。



「ハハッ!!」



「急ぐか」



そして。


領主を見る。



静かな目。



笑っている。


なのに。


怖い。



ただ。


怖い。



「お前」



少し間。



「王名乗るなら」



冷たい声。



「覚悟見せろ」

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