第二部 第69話 王を名乗るもの
『そっち!?』
◇
『飯基準で強さ測るな!?』
◇
笑う者の声だけが、街道へ沈んだ。
◇
騎兵達が。
地面へ伏していた。
◇
動けない。
呼吸。
苦しい。
骨。
軋む。
◇
絶望。
兵達の顔に浮かんでいた。
◇
領主だけが。
馬車の前で震えている。
◇
怒り。
恐怖。
混乱。
全部。
滲んでいた。
◇
「……ば、化物……!」
◇
士郎が止まる。
少し笑った。
◇
「今さらか?」
静かな声。
◇
領主が後退る。
だが。
怒鳴った。
◇
「殺せ!!」
◇
「殺せぇぇ!!」
◇
「余の兵を使え!!」
◇
城壁。
魔導砲。
騎兵。
弓兵。
◇
全部が動く。
◇
空が。
黒く染まった。
◇
翔が煙を吐く。
静かな目。
◇
少し間。
◇
「まだやるのか」
静かな声。
◇
「長い」
◇
士郎が吹き出した。
「お前ほんと容赦ねぇな」
◇
次の瞬間。
◇
魔導砲が火を吹く。
炎。
雷。
氷。
◇
無数の攻撃が降り注ぐ。
◇
だが。
届かない。
◇
重い。
違う。
◇
“止まっていた”。
◇
士郎の前。
空中で。
◇
炎も。
雷も。
氷も。
◇
全部。
沈んでいる。
◇
民達が息を呑んだ。
◇
領主の顔から血の気が消える。
◇
「……な」
◇
「なんだそれ……」
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士郎が歩く。
ゆっくり。
◇
冷たい目。
◇
「王ってのはな」
静かな声。
◇
少し間。
◇
老人。
子供。
痩せた民。
◇
全部を見る。
◇
そして。
領主を見る。
◇
冷たく笑った。
◇
「民に食わせる側だ」
◇
その瞬間。
◇
空が沈んだ。
◇
止まっていた攻撃が。
一斉に地面へ叩き落とされる。
◇
爆炎。
衝撃。
悲鳴。
◇
騎兵が崩れる。
魔導砲が砕ける。
◇
城壁が大きく軋んだ。
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翔が煙草を指で弾く。
灰が落ちる。
◇
「飯」
静かな声。
◇
少し間。
◇
「冷める」
◇
笑う者が頭を抱えた。
◇
『まだ飯気にしてる!?』
◇
『この状況で!?』
◇
士郎が腹を抱えて笑った。
◇
「ハハッ!!」
◇
「急ぐか」
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そして。
領主を見る。
◇
静かな目。
◇
笑っている。
なのに。
怖い。
◇
ただ。
怖い。
◇
「お前」
◇
少し間。
◇
「王名乗るなら」
◇
冷たい声。
◇
「覚悟見せろ」




