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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第二部『魔王と死神』 第一章 『外界侵入編』
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第二部 第59話 異名

沈黙。



街へ。



静けさが落ちていた。



空を覆っていた巨大術式は消えた。



黒い輪も。



もう残っていない。



ただ。



傷付いた街だけが、そこにあった。



誰も動かない。



住民達は呆然と立ち尽くしていた。



理解できない。



生きている。



街が。



まだ残っている。



支配者の男が、空を見上げたまま呟く。



「……止まった」


静かな声。



「本当に」



「止めやがった……」



笑う者が深く息を吐く。



『終わった……』



『ほんと終わった……』



『街ごと消えると思った……』



士郎が少し笑う。



「大袈裟だな」


静かな声。



「壊すならもっと派手にやる」



笑う者が本気で顔を引き攣らせた。



『怖ぇよ!!』



『安心材料になってねぇ!!』



翔が煙を吐く。



静かな目。



街を見る。



そして。



小さく呟いた。



「一本」


静かな声。



「まだ残ってる」



笑う者が数秒止まる。



『まだ競争してたの!?』



士郎が吹き出した。



「ハハッ!!」



「じゃあお前の勝ちか」



翔は気怠そうに肩を竦める。



「どうでもいい」


静かな声。



その時だった。



煙草屋の店主が。



震えながら前へ出る。



そして。



深く頭を下げた。



「……ありがとう」


静かな声。



「街を」



「守ってくれた」



余韻。



住民達も。



一人。



また一人。



頭を下げ始める。



恐怖はある。



だが。



感謝もあった。



支配者の男が静かに問う。



「……あんたらは」



少し間。



震えた息。



「何者だ」



士郎が少し笑った。



獰猛に。



「通りすがりだ」


静かな声。



「煙草買いにな」



沈黙。



笑う者が本気で頭を抱える。



『締まらねぇぇぇ!?』



だが。



街の誰かが小さく呟いた。



「……災厄の王」



波紋。



別の誰かが続く。



震えた声。



「白煙の死神……」



噂が広がる。



静かに。



確実に。



恐怖。



畏怖。



感謝。



全てが混ざり合い。



一つの名前になる。



異名になる。



そして。



遥か遠く。



世界のどこか。



黒い観測窓。



静かな声が響く。



「秩序執行者消滅確認」



少し間。



「秩序破壊因子」



「移動監視対象へ更新」



暗転。



世界が。



初めて。



二人を敵として認識した。

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