第二部 第60話 次の世界
余韻。
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街が。
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少しだけ。
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息を吹き返していた。
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壊れた建物。
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崩れた路地。
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だが。
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人は生きている。
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煙草屋も。
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まだ残っている。
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支配者の男が、深く頭を下げた。
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「……借りができた」
静かな声。
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「この街は守る」
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士郎が、少し笑う。
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「最初からそうしろ」
静かな声。
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笑う者が、ぼそりと呟く。
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『更生したなぁ……』
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翔は煙を吐く。
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興味はない。
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静かな目。
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ただ。
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煙草屋を見る。
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店主が、少しだけ笑った。
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震えていた顔。
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今は。
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少し穏やかだった。
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「また来い」
静かな声。
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「煙草なら用意しとく」
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翔が、少しだけ止まる。
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店主を見る。
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短い沈黙。
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そして。
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小さく頷いた。
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「悪くない」
静かな声。
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笑う者が、本気で驚く。
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『うわ』
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『今の店主への高評価だぞ!?』
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士郎が吹き出した。
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「気に入られたな」
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その時だった。
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空間が、静かに裂ける。
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境界。
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次の世界への道。
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笑う者が、露骨に嫌そうな顔をした。
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『はい次』
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『災厄移動のお時間です』
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『今度は何壊すの?』
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士郎が、獰猛に笑う。
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「面白ぇ奴いる所」
静かな声。
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翔が、指輪へ手を伸ばす。
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一本。
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煙草。
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自然に取り出す。
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ライター。
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小さな火。
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白煙が揺れた。
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そして。
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気怠そうに呟く。
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「強い奴がいるなら行く」
静かな声。
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笑う者が、数秒止まる。
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『理由が雑!!』
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『煙草か強敵しかねぇのか!?』
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士郎が、腹を抱えて笑った。
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「ハハッ!!」
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「じゃあ行くか」
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三人が。
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裂け目へ歩く。
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その背に。
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街の住民達が、黙って頭を下げた。
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恐怖。
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畏怖。
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感謝。
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全部混ざった沈黙。
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そして。
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遥か遠く。
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世界のどこか。
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黒い観測窓。
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静かな声。
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「秩序破壊因子」
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少し間。
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「移動開始確認」
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沈黙。
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災厄の王。
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白煙の死神。
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世界を壊す怪物達が。
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次の世界へ向かう。
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幕引き。
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第二部 第一章
外界侵入編 完




