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最強の殺し屋、異世界で魔王になる  作者: 竜堂さくら
第十一章 『魔王編』
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第216話 導いた女

深夜。



王都地下最深部。



誰も入ることを許されない、 封鎖区画。



古い祭壇。



崩れた魔法陣。



そして。



赤い蝋燭の光だけが、 静かに揺れていた。



その中心。



エレノアは、 一人で座っていた。



赤い瞳。



静かな表情。



だが。



その目には、 初めて疲労が滲んでいる。



その時。



黒い重力が現れる。


静寂。



エレノアは笑った。



「来ると思っていたわ」


静かな声。



西園寺士郎。



黒いコート。



黒い瞳。



世界の王。



神殺し。



魔王。



その怪物が、 静かにエレノアを見下ろしていた。



「で?」


静かな声。



「お前の目的は、 結局なんだったんだ?」



エレノアは、 少しだけ目を細める。



「気になるの?」



士郎は鼻で笑う。



「暇潰しだ」



エレノアは、 小さく笑った。



「……ほんと、 最後まで変わらないのね」


静寂。



赤い瞳が、 士郎を見る。



世界を踏み潰した怪物を。



そして。



静かに口を開いた。



「私は、 原初が嫌いだった」



「神も」



「この世界も」



「全部」


静寂。



「最初から、 壊れていたのよ」



「この世界は」



「強者だけが、 好き勝手に蹂躙する」



「なのに弱者は、 それを運命だと受け入れる」



「反吐が出たわ」



士郎は黙って聞いている。



興味なさそうに。



エレノアは続ける。



「だから、 壊したかった」



「神も」



「原初も」



「世界の理も」



「全部」



赤い瞳。



そこに初めて、 狂気が滲む。



「だから、 あなたを導いた」



「原初すら殺せる、 怪物を作るために」


静寂。



士郎は数秒、 黙っていた。



そして。



「くだらねぇな」


静かな声。



エレノアの目が揺れる。



士郎は、 興味なさそうに言った。



「壊れてるなら、 壊せばいい」



「気に入らねぇなら、 踏み潰せばいい」



「そんなもんに、 理由いるのか?」


静寂。



エレノアは、 言葉を失った。



理解してしまう。



自分は。



復讐だった。



怒りだった。



憎しみだった。



でも。



目の前の怪物は違う。



西園寺士郎は。



もっと単純で。



もっと危険だった。



壊したいから壊す。



踏み潰せるから踏み潰す。



そこに。



理由すら存在しない。



エレノアは、 初めて薄く笑った。



敗北を認めるみたいに。



「……やっぱり、 あなたは化け物ね」



士郎は鼻で笑う。



「今さらか?」



その瞬間。



黒い重力が、 静かに揺れた。



そして。



西園寺士郎は、 闇の中へ消えていく。



残されたエレノアだけが。



静かに呟いた。



「私ですら、 理解できなかった」

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