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笑って、異世界だよ?  作者: Sueños de Esperanza.
エリセリア主権国
55/94

この世界はバラ色じゃない (5)

銃声が金属にぶつかり、肉を貫く音が雨のように響いていた。

盗賊団のリーダー、コルガンはゆっくりと前進していた。

まるで墓石のような巨大な剣を盾代わりに構え、もう片方の手には仲間の死体を持ち、それで弾丸を「飲み込ませる」ようにしていた。


空気は血の鉄臭さ、焼けた火薬の匂い、そして死体の腐臭で満たされていた。

それは五感を焼き尽くすような、現実離れした光景だった。


エリザベスはコルガンの手下たちを倒したあと、もはや立っていられなかった。

膝から崩れ落ち、荒い息を吐きながら胃の奥に押し込めていたものを吐き出した。


——ブェェ…… ゲホッ… ブェェ……


何度も嘔吐を繰り返し、やがて濃い唾液と胆汁しか出なくなった。


肩が痙攣し、怒りや陶酔、アドレナリンは薄れつつあった。

その代わりに、圧し掛かるような重さが残った。


命を奪ったという現実の重さだった。

彼らは下衆だった。正義だったかもしれない。

だが、彼女の心は戦いに慣れていなかった。


道徳、倫理、思いやりを教え込まれた世界で育った彼女にとって、

たとえ正当防衛であろうと、「殺す」という行為は心に深い傷を残す。


理解している部分もある。

でも、心のどこかが確実に壊れていくのを感じていた。


それでも彼女は袖で唇を拭い、立ち上がった。

手は小刻みに震えていた。

それでも、目を逸らすことはできなかった。


そこにいたのは、「エル・ソルダード(El Soldado)」。

彼女のカードであり、彼女の創造物。彼女の守護者。


カービン銃をしまい、今はマチェーテを使っていた。

その動きは実に確かなものだった。

天賦の才を持つ戦士でもなければ、神に祝福された戦士でもない。

だが、その一撃一撃には経験という名の重みがあった。


コルガンは片手で大剣を軽々と振り回していた。

枝や幹、根をもろともに切り裂き、森は破壊されていく。

その暴力の前に、自然さえも涙を流しているようだった。


それでも「エル・ソルダード」は一歩も退かず、指先や手首、胸元を狙っていた。

その斬撃には洗練された技術こそなかったが、

まるで木を切り、枝を払う農作業のように正確で、

一太刀一太刀が命を奪いかねない危険さを秘めていた。


エリザベスはその様子を黙って見つめていた。

震える体、心の葛藤の中でも、彼女の目だけは現実から離れなかった。


——……


おとぎ話など、ここには存在しない。

光があれば、必ず影もある。

善があれば、悪も存在する。


コルガンは楽しそうに笑いながら戦っていた。

だが時折、視線をエリザベスへと向けていた。

決して正々堂々とした決闘など望んでいない。

むしろ、「エル・ソルダード」が隙を見せるよう、彼女を利用しようとしていた。


彼にとってエリザベスは、ただの「駒」。

壊すための道具であり、楽しみのための「モノ」。


エリザベスはマチェーテを強く握りしめた。

その手から伝わる震えが止まることはなかったが、

彼女は理解していた。


――決戦の時が、迫っている。

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