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九話 桃太郎 軽く鬼退治

家来にされた柴さんの受難は続きます。

「はぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」


大森林(ジャングル)に大きな声が木霊する。

声の主は警察官の(しば) 健奈(けんな)だ。


「いっ!?犬!?何よそれ!?」

と、自称 桃太郎に問う柴。


「おぬしら 『犬』と呼ばれておったであろう?」

そう柴に問う自称 桃太郎。


「いや、それ、(さげす)みとしての呼び方だから……」

と、呆れて返す柴。


「それに、さっきの光の鎖は何よ!!」

と、自称 桃太郎に問う。自分の首が見えていない柴は、首輪の様な首の(あざ)に気が付いていない。


「あれか?あれは、与えた者に、絶対従属をさせる【キビダンゴ】と言う名の魔法じゃ」

と、さらりと応える自称 桃太郎。


「はぁぁぁぁ〜〜っ!?魔法!?頭は大丈夫?」

そう自称 桃太郎に問う柴。


「あ、あの……あのですね。あの……柴さんでしたよね?あの……くっ……首……」

と、オドオドと柴に言う竹仲。


「えっ?なに?首?」

そう聞き返す柴。


「はっ……はい。首です。首に入れ墨?(あざ)?何か黒い首輪の様なモノが……」

と、オドオドと柴に告げる。


「えっ!?」

鏡をバッグから取り出して見る柴。


「なっ!?何よこれぇーっ!?」

自分の首を見て驚く柴。


「従属の印じゃ」

悪びれる事も無く言い放つ自称 桃太郎。


「何を当たり前の様に言ってるのよ!」

(いか)れる柴。


「何が不満なのじゃ?おぬしは(わし)の家臣となる事に同意したよの?それとも嘘偽りだったのか?」

怪訝な顔で柴に問う自称 桃太郎。


「えっ?あっ!?嘘じゃ無いわよ。嘘じゃないけど、こんなのを付けられるなんて思って無かったから……」

しどろもどろに応える柴。


「そうか?それなら良かろう。おぬしはこれから(わし)の家臣じゃ」

そう告げる自称 桃太郎。


「いや、いやいやいやいや、おかしいでしょう!これは何なの!?」

そう自称 桃太郎に問い掛ける柴。


「だから、申しただろう。従属の魔法【キビダンゴ】の印じゃ。それで(わし)に不利になる事が出来なくなるのじゃ」

さらりとまた応える自称 桃太郎。


「あのねぇ…… 【きびだんご】って、御伽話の桃太郎じゃな……って!桃太郎!?」

ハッと驚く柴。


「なんじゃ?(あるじ)を呼び捨てとは無礼にも程があるぞ」

不機嫌に応える自称 桃太郎。


「あ……ああ……まさか……本物!?まさか……」

わなわなと震えて言う柴。


「さて、戻ろうかのぅ……」

竹仲も連れて、来た道を戻ろうとする自称 桃太郎。


「あ、待って!」

慌てて二人の後を追う柴。


その時……


ガァーーーーーーーッ!


大型犬の三倍以上の体躯の一本角の狼の様な生き物が、自称 桃太郎から離れた柴に襲い掛かる。


「えっ!?キャーーーーッ!」

走って自称 桃太郎の所に逃げる柴。


ズドッ


「何を遊んでおる?ほら、行くぞ」

と、蝿蚊でも叩き潰すかの様に叩き斬ると、柴を馬の様な生き物の背に乗せる自称 桃太郎。


「あ、ありがとう……」

と、自称 桃太郎に礼を言う柴。


「困った家臣じゃ……」

そう笑いながら言って、移動する自称 桃太郎。


「あっ……あの!?あの!?桃太郎なんですか?」

オドオドと二人に問い掛ける竹仲。


「そうじゃ」

と、自称 桃太郎。


「そうみたいよ……」

と、認めてしまった柴。


「そっ……そうなんですか?はぁ……桃太郎さん……」

感心する竹仲。


「と言うか、どうして桃太郎が、こんなジャングルに居たのよ!?」

当然の疑問を自称 桃太郎にぶつける柴。


「じゃんぐー とはなんじゃ?ここの事か?(わし)は一代目の桃太郎では無い。(わし)は三代目じゃ。(わし)の先祖が鬼退治の後に、ここに住む様になったと、伝え聞いておる」

そう話す自称 桃太郎。


「そうなんだ?どうして移り住んだの?」

と、更に問い掛ける柴。


「ここには多数の鬼が居ったからじゃそうじゃ。ここの衆庶(しゅうしょ)を救う為だったと、伝え聞いた」

そう答える自称 桃太郎。


「おっ!?鬼ぃーーっ!?鬼が居たの!?ここに!?」

驚く柴。


「今でも居るぞ。かなり減ったがのう……」

と、さらりと言う自称 桃太郎。


「「鬼が出るの!?」」

柴と竹仲が同時に問い掛ける。


「ああ、普通におるぞ。普通に今でも狩っておる」

そう答える自称 桃太郎。


「あれかっ!?緑色のかっ!?」

自分を襲った人形(ひとがた)の化け物の事を思い出した竹仲。


「ああ、緑のか?あれも一応 鬼じゃが、小者(こもの)じゃな。小鬼(こおに)じゃ」

そう答える自称 桃太郎。


「えっ?あれは小鬼(こおに)!?じゃあ普通の鬼は……もっと……」

顔を青ざめる竹仲。


「と、話しておると現れたぞ」

そう二人に告げる自称 桃太郎。


進む先に、浅黒い肌をした、体長3メートル以上はある、額に二本の(つの)をはやした人形(ひとがた)の生き物((オーガ))が現れた。

右手には巨大な大鉈(おおなた)を剣の様に持っている。


ガタガタと震えている柴と竹仲。


「さて……」

そう言い、鬼に走り寄る自称 桃太郎。


ガキンッ!

キンッ!


「大したものだ。(わし)の剣を受け止めるか」

そう笑う自称 桃太郎。


「じゃがな……」


ザシュッ


「こんなもんじゃな」

と、(オーガ)を真一文字に斬る自称 桃太郎。


シュッ

チンッ


と、刀を(さや)に収めると、胴体が真っ二つに分かれ、上半身を


ゴトッ


と、落とす(オーガ)


「さて、行こうか」

と、二人の所に戻り、馬の様な生き物を連れて、先に進む自称 桃太郎。


「「本物だ!!」」

二人は同時に言葉にした。


「「桃太郎だ!」」

これも同時に言う二人。


「おう、そうじゃ。(わし)は桃太郎じゃ」

そう笑って二人を見た自称 桃太郎。


「このジャングルはなに!?桃太郎に鬼!?家来にされるし!訳わかんない!」

パニックになる柴。


「気持ちはわかるけどね……今はここから出る事を優先しようよ」

と、柴を慰める竹仲。


「そうじゃ早く行くぞ」

と、気楽な自称 桃太郎。


「(夢なら早く覚めてぇーーーーーーーっ!)」


そう心の中で叫ぶ柴だった。

三人の道中の話が長くなるか短くなるかは、同時掲載の【晴れの国 岡山 改め 異世界 吉備国 始めました(※桃太郎奇異録 幻)】の状況次第です。

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