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第3話 残穢

「......残穢?」

 霊霞は杏子と共に階段を降りながらそう呟く。


「ああ、それが一般に心霊現象と思われているものの正体だ。分かり易い言葉で言うなら残留思念かな」

 杏子は杏子の手を取って導きながら、そんな風に告げる。


「残留思念って.......もし仮にそれが本当だとしても、霊の噂が死んだ人ばかりなのは何でなんですか?」

 生霊なんて言葉もあるが、霊といえば死んだ人間の魂のことを指すのが常だ。


「それは、死に際の思念が一際大きいからさ。つまり、こういう大病院なんかでは残穢がよく出現する。あたしがここに来たもう一つの目的は、それを払うためさ」


「もう一つ? あと一つあるんですか?」


「決まっているだろ。霊霞ちゃん、君をスカウトする為だよ」


「......」

 杏子の言っていることが本当なら、彼女はこの病院に来る前から霊霞のことを知っていたことになる。


「色々言ってはみたけど、実際に体験しなければ分からないだろう。『百聞は一見に如かず』という諺はあたし達には辛辣すぎるけどな」


「宵待さんも目が見えないんですか?」


「杏子で良いよ。あたしの視力が無いのは片目だけだ。霊霞ちゃんにはこの眼帯が見えていないんだろうけどな。さて、着いたよ」

 

 杏子の言葉に、辺りを確認すると、啜り泣くような声が聴こえて来る。そちらに顔を向けると、ずっと真っ暗だった視界にぼんやりとした燈が現れる。


「......これは、私?」


 段々と人の姿を形取ったそれは、中学生くらいの少女だった。

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