85.襲撃再び①
ダンジョンからは日付が変わる頃に帰ってきた。
まさかこんなにダンジョン漬けになるとは思わなかった。
帰ってきた翌朝、ランヴォックさんとスオンさんからダンジョンに連れて行ってほしいと言われた。
僕は連日ダンジョンに行っていたので、今回は行かないつもりだからザンに任せることにした。
さすがに疲れてたのか、家で仕事をこなしながらのんびりと夜まで過ごした。
今日、ザン達はダンジョンに行くらしい。
「えーっと誰が行くんだっけ?」
「私とクリフとダルン達。あとはランヴォックさんとスオンさんと騎士の方々。あとシゲ爺様ですね」
「かなり大所帯だな」
「…そうなりました」
ザンは騎士達に連れて行ってほしいと言われたのだろう。
かなり疲れている様子だ。
それにしても小町とアデスとドグドが行かないのには驚いた。
「オクトンとカーレも行くんだよね?」
「はい。その予定です」
「帰還のポラロイドカメラのことはまだ秘密にしたいから…」
「わかっております」
ザンは本当に頼りになる。
ザン達は昼前に出発をした。
僕がリビングでくつろいでいると、小町がアデスとドグドとリーヌを連れて来た。
「あれ?どうしたの?」
「お米の収穫をしてたー。3人にも手伝ってもらってたの!」
よく見るとドグドの顔に少し土がついていた。
僕はその土を取ってあげる。
「肥料は上手く行きそうなの?」
「うん。おじいちゃんと色々やってるから大丈夫なはずだよ」
小町は笑顔で答えた。
「テツコマチは美味しいからいっぱい作ろう」
「リーヌの魔力のおかげで美味しくなってるんだよ」
「そういえばそうだった。貢献出来てるならよかった」
リーヌも白米の美味さにハマったらしい。
「この後は?」
「リーヌを私達の世界に連れて行こうかなって…」
僕は小町の提案を聞いて、少し悩んだ。
こっちの世界の人は連れて行けた。
マジックアイテムもあっちで使える物もある。
だがモンスターは連れて行ったことはない。
「リーヌ。魔力がない世界に行って平気なのか?」
「わかんない!」
「おい。危険だったらどうするんだ?」
「大丈夫。危なかったら戻ってくればいいよ」
「おいおい」
能天気なリーヌに僕は頭を抱えた。
「本当に試すのか?」
「うん。テツジ達の世界を見てみたい」
「うーん」
僕は悩んだが、小町とリーヌにまかせることにした。
「行ってもいいけど危ないと思ったらすぐに帰ってくるんだよ。小町、お願いね」
「任せて!」
僕は腕輪をリーヌに渡す。
3人は僕達の世界へ向かって行った。
▽ ▽ ▽
小町達が帰ってこない。
多分上手くいったのだろう。
僕は腕輪がないので別荘でのんびりしている。
すると遠くの方で物音がした。
「ん?なんだ?何か壊れた?」
するとプンが走ってやってきた。
「テツジ様!」
「どうした?何か壊れた?」
「ち、違います!前回の海賊が来ました」
「え?船で?」
「いえ。多分空を飛んできたんだと思います」
「まじか…。プンとペペンとプロールしかいないよね」
「はい…」
「武器は必ず携帯しておいて。僕が話をしに行ってくる」
「話すんですか?」
「まずはね…。本当に最悪のタイミングだ…」
僕は急いで海岸に向かった。
海岸に建ててあった騎士達の仮設住宅が破壊されていた。
壊していたのは羽根の生えた獣人のズラヴィクと手が4本あるデュドドだ。
ズラヴィクは僕に気付いた。
「ん?お前、この間いたな」
「お!?生き残りか?」
ズラヴィクとデュドドはニヤニヤしながら近づいてくる。
「何しに来たんですか?」
「グロロロロ!ランヴォックが暴れた結果を見に来たんだよ。あの龍人族も元王女も死んだみたいだな」
「ランヴォックはどこだ?魔石に意識を完全に持ってかれて動けなくなったか?」
この2人は何を言っているんだ。
ランヴォックさんが暴れて、全員が死んだと思ってるのか?
「ランヴォックさんはいませんよ」
「ギャギャギャ!死んだか!?じゃあ生き残っちまったお前を弄って遊ぶか」
デュドドはニヤニヤと近づいてくる。
「起動!展開!」
僕はすぐに臨戦態勢を取った。
「ん?なんだ」
「籠盾!」
僕は自分を籠盾で囲う。
「なんだって聞いてんだよ!答えろ!人族!」
デュドドは籠盾を殴るがビクともしない。
「なんだこれ。硬ぇぞ!」
「デュドド、防御系のスキルかマジックアイテムだ」
「これを使って生き残ったのか。臆病な奴め」
ズラヴィクは観察するように籠盾に触れる。
攻撃をしたいが、2人の強さは何となくわかっている。
聖盾を扱いながらエアガンや刀を使えるとは思えない。
「どうする?」
「生き残りがこいつだけか最終確認をして、あの船着き場を破壊して帰るぞ」
「そうだな」
2人は集落の方へ向かおうとしていた。
さすがに2人を集落には行かせられない。
「殴盾!」
僕は籠盾を解除して拳に聖盾を装備する。
「おい!」
「「あ?」」
「僕を殺さなくていいのか?」
この前戦ったボスブラストレオパルドよりも遥かに怖い。
「ギャギャギャ!面白いなお前。防御を解除してまで死にたいのか。じゃあ先に殺してやるよ!」
デュドドは地面を蹴って、僕に向かってくる。
僕はそれに合わせて拳型のシールドを放つ。
「ぐっ!なんだこれ!」
「クッキー!クリーム!」
僕はハンドガンを持ち、デュドドの腕にたくさんある関節を狙って引き金を引く。
バシュン!バシュン!バシュン!バシュン!
「クソ人族があああ!」
デュドドはダメージを追いながらも、まだ僕に向かってくる。
僕は再び拳型のシールドを放つ。
「がああ!」
デュドドは防御したみたいだが、勢いは殺せず吹き飛んだ。
「あのエルフの銃に似ているな。しょうがない…獣化!」
デュドドが吹き飛ばされたのに顔色を変えないズラヴィク。
表情は変わらないが、身体が少しずつ変化していく。
獣感が増している。
「デュドド!何を遊んでいるんだ?」
ズラヴィクがそう言うと、吹き飛ばされて倒れていたデュドドが起き上がる。
まるでダメージが無いみたいだ。
「こいつの攻撃めんどくせーぞ。痛みはないのに吹き飛ばされる」
「あんな攻撃くらい避けろ」
ズラヴィクがそう言葉を発すると、いつの間にか目の前にいた。
「ぐっ!反射神経は悪くないみたいだな」
ズラヴィクの腕が僕の腹に刺さっていた。
心臓を狙っていたみたいだが、殴盾で腕を殴ってなんとか逸らせることが出来た。
ズラヴィクは僕に刺さった腕を引き抜いて蹴りを入れた。
僕は痛みで動けなく、そのまま吹き飛ばされた。
「くそっ!変なマジックアイテムを使ってんじゃねーよ」
ズラヴィクの腕は変な方向に曲がっていた。
僕は痛みで意識が遠のいていく。
と思っていたが、痛みが全くない。
それに腕が刺さっていたはずの身体には傷一つない。
「ん?」
僕は戸惑ったが、隙を伺うために倒れたままでいる。
一瞬死にかけたはず。
そのおかげか冷静に頭が回るようになってきた。
「籠盾!」
僕は2人を籠盾で囲った。
最初からこうすればよかった。
「おい!てめぇ!何してんだ!」
デュドドは怒鳴りながら横たわっている僕に叫んでいる。
ズラヴィクは黙りながら変な形の槍のようなもので籠盾を攻撃し続けた。




