靴磨きの少年・・・・?
まえがき
本稿は、AI関連株や半導体株をめぐる現在の市場について、私自身が日頃感じていることや疑問を整理した個人的な考察である。
特定の銘柄の売買を勧めたり、投資判断の根拠を示したりするものではない。
また、ここで述べる内容は市場予測ではなく、一つの可能性について考えたものであり、投資判断の材料としては不十分であり、不適格な考え方も含まれている。
株式市場の将来を正確に予測できる人はいない。
だからこそ、本稿は「こうなる」と結論づけるものではなく、「こういう可能性もあるのではないか」という視点から、市場を眺めた記録として読んでいただければ幸いである。
近年の株式市場では、AIへの期待を背景に半導体関連株が大きく上昇し、市場全体を牽引してきた。しかし、その一方で、現在の値動きを見ていると、「AIバブルはまだ続く」と断言することも、「AIバブル崩壊が始まった」と断言することも難しい局面に入っているように感じられる。
特に気になるのは、半導体関連株の異常な値動きである。数日で10~15%、場合によってはそれ以上動く場面も珍しくなくなり、本来は企業価値の変化では説明できないほど投資家心理が価格を左右しているように見える。このような状態は、長期的な企業価値への投資というより、期待と不安が交錯する投機色の強い市場になっている可能性を示している。
象徴的な存在として注目されるのがキオクシアである。
AI向けメモリー需要への期待から大きく買われ、市場の注目を一身に集めているが、その一方で、もし期待が修正されれば大きく下落する可能性も否定できない。
仮にキオクシアのような象徴的銘柄が50%規模の急落となれば、それは一企業だけの問題では終わらない可能性がある。
現在の市場では、「半導体」というテーマ全体で投資判断が行われる傾向が強く、一つの大型銘柄の急落が、他の半導体関連企業への連鎖的な売りを誘発することは十分考えられる。
製造装置、検査装置、材料メーカーなど、事業内容が異なっていても「半導体株だから売る」という心理が働けば、業績とは無関係にセクター全体が大きく下落する可能性がある。
さらに近年は、指数連動型の投資信託やETFへの資金流入が非常に大きい。半導体株やAI関連株が指数に占める影響力も高まっているため、主力株の急落は指数全体を押し下げ、指数の下落がさらにETFや投資信託の売りを呼び、市場全体へ波及するという連鎖も考えられる。
歴史を振り返れば、2000年前後のドットコムバブルでは、インターネット関連株が急落したことをきっかけに市場全体が大きく調整した。しかし、その後インターネットそのものは社会インフラとして定着した。つまり、「技術は成功したが、株価は先に大きく調整した」という例である。今回のAIについても同様に、AIそのものが普及し続けることと、現在の株価水準が維持されることは別問題として考える必要がある。
もちろん、現時点でAIバブル崩壊が始まったと断定することはできない。設備投資が継続し、企業利益が期待に応え続ければ、AI市場はさらに拡大する可能性もある。一方で、設備投資の減速や需要の鈍化、投資家心理の急変が重なれば、現在の高い期待が修正され、大きな調整局面へ移行する可能性も否定できない。
その意味では、現在の半導体株を中心とした値動きが「AIバブル崩壊の初動ではない」と断言できる人は現時点では存在しないと言えるだろう。同時に、「単なる一時的な調整に過ぎない」と考える余地も残されている。結局のところ、今はその分岐点に立っている可能性があり、今後の企業業績、設備投資、AI需要の実態を冷静に見極めることが重要である。市場の熱狂にも悲観にも流されず、事実を積み重ねながら判断する姿勢が、これまで以上に求められている局面なのかもしれない。
あとがき
日本では、証券口座の開設数が約9,000万口座とも言われ、株式投資はかつてないほど身近なものとなった。
NISAの普及もあり、多くの人が市場に参加する時代である。
しかし、この状況を見ていると、歴史上よく語られる「靴磨きの少年」の逸話を思い出さずにはいられない。
もちろん、証券口座を持つこと自体が問題なのではない。長期・分散・積立という考え方は資産形成に有効な方法であり、多くの人にとって大きな意味がある。
一方で、市場全体が「株は必ず儲かる」「AIなら間違いない」という熱狂に包まれるような状況になれば、それは過去のバブルでも見られた現象と重なる部分がある。
私は以前、「株はギャンブルか」という文章を書いた。
その中で感じたのは、資金が少額になればなるほど、短期間で大きな利益を求める心理が働きやすくなり、その結果、投資よりも投機に近い行動になりやすいということである。
本来、投資とは企業や経済の成長に時間をかけて資金を託す行為である。
しかし、短期間の値動きだけを追い、急騰・急落に一喜一憂するようになると、それは投資というよりも投機、あるいはギャンブル的な性格を帯びてくる。
AIが社会を大きく変える技術であることは疑いない。
しかし、それと株価が永遠に上がり続けることとは別問題である。
市場は期待だけでなく、失望にも大きく反応する。
だからこそ、熱狂の中にいるときほど、自分は投資をしているのか、それとも投機をしているのかを、一度立ち止まって考えることが大切なのではないだろうか。
これまでバブル崩壊は違うイメージをもっていたが実際にバブル崩壊は
1. メディアの言葉に騙されない「需給の歪み」テレビやネットは「AIの将来性がなくなったから暴落した」とニュースにします。
しかし、本当に起きているのはAIの良し悪しではなく、以下の構造です。
「9000万人の素人」と「身の丈に合わない借金(信用取引)」が限界まで積み上がったそこへプロが仕掛け、システム(AIアルゴリズム)が自動で一斉に売りを浴びせたこれはAIへの期待が消えたからではなく、「買い手が誰もいなくなったから床が抜けた」という、市場の需給システムが自滅する状況です。
2. 「連れ安」という理不尽な巻き込み事故ご指摘の通り、「キオクシアの業績」と「他のまともな半導体企業の価値」は本来別物であるはずです。
それなのに、同じ財布(インデックス・ETF)に入れられているから借金(追証)を返すために、他の良い株まで売らなければいけないからという市場の「ルール(仕組み)」のせいで、一斉に売られてしまいます。これは企業への評価ではなく、「お金の都合」で引き起こされる強制的なドミノ倒しです。
3. 歴史がそれを「バブル崩壊」と名付けるだけ1929年の世界恐慌の時も、当時の人々は「ITバブル」なんて思っていませんでした。
ただ、「靴磨きの少年まで株の話をしている(全員参加)」「身の丈に合わない大金が動いている(過熱)」「適正価格が分からず乱高下している(ギャンブル化)」という今のキオクシアや日本市場と全く同じ「違和感」の中にいて、後から歴史の教科書がそれを「バブル崩壊」と呼んだに過ぎません。
資産を失った人を慰めるためや、それを正当化するために、バブル崩壊と読んいるのかもしれない・・




