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⑤

改稿しました。

トビアス十七歳、 真冬 (三年前)


トビアスは冬生まれなので先月十七歳になった。

シャーロットは春生まれだからたった四ヶ月だがひとつ違いになれる。

「そんな下らない事が嬉しいのか?不毛な奴だな」

機嫌良くオーランドに言ったら馬鹿にされた。

まあ、それはその通りなんだけど…。

王宮で諜報部が流した〝公妾様の悲劇の事故〟の噂は順調に広まっている。

王都の貴族階級周辺では知らない者は居ない程だ。

最近では西の庭園の蓮池に現れる女性の幽霊の話さえ出回っているほどだ。

中には陛下が嫌で自死したと言う不敬な話も囁かれたりしていたが。

あの会議の席に居た連中や関係者は知らん顔だ。

ほっとして口を噤んでいる。

誰一人責任を取らされる事無く事が終わったからだ。


去年の秋。

シャーロットを死者にした数日後シャーロットが言った。

「オーランド兄様。マーシャル家とバートン家にだけは何とか真実を伝えられないかしら」

数日眠りが浅かったらしく、顔色が冴えない。

「きっと皆が…お父様やお母様がどれ程嘆かれるか…私、文(ふみ)を出しては駄目かしら?」

オーランドは大きく首を振った。

「真実は決して誰にも知られてはいけない。不幸になりたいのか?」

もし事が露見したら恐ろしい事態を招く。

「いくら用心しても、し過ぎる事は無いんだ。文(ふみ)などもっての外だ」

肩を落とすシャーロット。

その姿を見たオーランドは少し考えてから腕組みをした。

「…少し、時間をくれないか?秋の間に君の憂い事は僕が何とかするから」

「本当に?」

「ああ。その代わり、君は絶対に何もしちゃいけないよ…」

その会話からまた数日経った日。

「シャーロット。明日から二週間の休暇をもぎ取って来たよ」

オーランドは笑顔で言った。


そして早速、翌日にオーランドはバートン伯爵家に行き伯爵夫妻に会った。

折良く伯爵も時間が取れたので、久し振りに次男と他愛も無い会話を楽しんでいた。

そうして小一時間ほどが過ぎた時。

「父上、母上、これから僕が独り言を申します。もしお耳に入ったとしても聞かなかった事にして頂けますか?」

夫妻はこの次男が賢さと破天荒さを併せ持つ事を理解していた。

だからある程度の覚悟もしていたので黙って頷いた。

「…王宮から居なくなった令嬢の件で、このあと噂がお耳に入るかと思います」

オーランドは両親には視線を向けず庭の方を眺めている。

「ですが噂は単なる噂でしかなく、彼女は元気で幸福です。」

「……」

目を見開いてしかし沈黙を守る両親。

「ところで…明日から旅行に出掛ける予定なのです」

オーランドはにっこり笑った。

「辺境伯領の叔父様と叔母様を久しぶりに訪ねようと思っています。文(ふみ)などあれば、お届けいたしましょうか?」

一呼吸おいて続ける。

「……まあ、直接的な事が書いてあれば父上と母上にも類が及びかねませんが」

父は次男を睨んだ。

「親を脅して釘を刺す気か?息子の癖に生意気すぎる」

そう言ってから苦笑した。

「まったく⋯辺境ではトーマスを脅すなよ。お前のし(・)た(・)事(・)もする事も、否定はしないから」

「第一、私達は何も聞いていないんだろう?」

そして夫人を見て溜息をついた。

「…外見だけじゃなく、する事も君そっくりだ…」

「まあ、失礼な事仰らないで 」

夫人は頬を膨らませた。


翌日、早朝。

オーランドはシャーロットに安易に外出しない事、対応に出ない事、など注意事項をくどくど述べた。

そしてエヴァンスを伴って辺境伯領へ旅立った。

トビアスはいつも眉間に皺を寄せているオーランドが上機嫌だったのを見て驚いた。

エヴァンスとの二人旅がよほど嬉しいらしい。

「エヴァンスさんはオーランド兄様のああ言う所が可愛いのかしら…」

トビアスは呟くシャーロットを驚いてみつめた。

「……知ってたの?」

面白そうにトビアスを見上げたシャーロットは言った。

「トビアス寝室乱入事件の話し。聞いたの…ふふっ」


そして休暇を丸ごと、こなして上機嫌を維持して帰って来た。

「トーマス叔父様もアリス叔母様も、お元気だったよ」

シャーロットは笑って頷いた。

「…そう。良かった」

「僕のい(・)ろ(・)ん(・)な(・)」話しを聞いて、とても安心していらした」

「はい…」

「もし王都で、私達の次女に似た娘を見かける事があったら……」

オーランドがとても優しい笑顔になった。

「“心から幸福を祈っている”…と伝えて欲しいと叔父様と叔母様が僕に仰った」

シャーロットは涙ぐみ幾度も幾度も頷いていた。

心に暖かく小さな灯がともったようだった。

──やさしい冬の足音がした。




シャーロット十九歳、初夏 (三年前)


オーランドの別邸に朝、届く新聞はオーランドが起き抜けにベッドで読む。

そしてオーランドを王宮に送り出したエヴァンスが事務机で読む。

だからシャーロットは三番目。

朝に洗濯を終えて掃除に取り掛かる前に自室で読む。

令嬢の学習は勉学より礼儀作法に重きをおかれる。

シャーロットも十五歳まで家庭教師がついていたのだが、基本的な知識しか習っていなかった。

だから政治や経済面を読む訳ではない。

目当ては求人欄だ。

春が終わる頃オーランドが言った。

「貴族連中もそろそろ噂に飽きて来た。身の振り方を考える時期だ。君は身分がもう無い。それを踏まえて失敗しない道を行きなさい」

それ以来こうして求人欄に自分の未来を探している。

シャーロットはここでの生活が気に入っていた。

オーランドとエヴァンスは優しい。

メイドの仕事を覚えるのも結構楽しい。

もう掃除も洗濯も簡単な料理もひとりで出来る。

外出は滅多には出来なかったが王都は楽しい事がいっぱいだった。

ニ年前の王都の貴族生活は苦渋に満ちていたのに…。

パーティーに行かなくていいからかも。

それとも…

休日になると会いに来るトビアスのお陰かも知れない。

エヴァンスはシャーロットに言ってくれた。

「この別邸が気に入ったならずっといらしたら如何ですか?」

だがやはり早く自立する方が自分の為だろう。

それで毎日念入りに求人欄に目を通す。

しっかりした職を選びしっかりした目標を定めなければ。

そう思っていたある日。

「…あ、ここ」

良さそうな求人を見つけた。

夕食の後、求人欄をオーランドとエヴァンスに見せた。

「未経験でもいいらしいわ。総合商店のここならいろいろ学べそう。事務だし裏方だし…」

結構名の通った商店だった。

そのせいか「君がいいなら」とオーランドはあっさり許してくれた。

そしてエヴァンスは名字をくれた。

「民の籍なんて自己申告で何とでもなります。エヴァンスに妹が一人増えても誰も文句なんか言いません」

だ、そうだ。

ファーストネームはどうしよう…

商店の面接の前、悩んでトビアスに相談した。

「シャーロットだったんだからシャロン」

と割と雑に決めてくれた。

シャーロットという名を捨てる事に躊躇いが無かった訳はない。

その名は、王宮での記憶も、辺境の貴族社会での悪い噂も全て抱えている。

だが家族に愛された記憶も、また抱えているのだ。

「シャロン」

トビアスがその名で呼んでくれる。

昔も今も知っていて、昔も今も愛してくれる。

だから、それでいい。

自分の足で未来に踏み出す為の名なのだから。

この夏の終わり。

商店の事務職“シャロン・エヴァンス”が生まれた。


仕事に少し慣れた頃。

中間層の住む街に安全そうなフラットを見つけた。

商店に近いのも気に入り、ここに決めた。

荷物を纏める日。

別邸からも歩ける距離でトビアスが荷物を半分持って送ってくれる事になった。

身ひとつで逃げて来たシャーロット。

いやシャロン。

荷物は全てオーランドが与えてくれた物だった。

「ありがとうございましたオーランド兄様、エヴァンスさん」

「君は思っていたより良くやったよ。貴族育ちの君がメイドの仕事を見事に覚えて…」

オーランドが微笑む。

「君の今迄の衣食住と荷物は当然の報酬だ」

エヴァンスは寂しそうだ。

「お元気で。あなたが居なければトビアス様もここにおいでになる機会は減るのでしょうね」

するとオーランドが面白そうに笑ってからかった。

「トビアス、シャーロットのフラットに入り浸るんじゃないぞ。シャーロットを襲うなよ」

気軽にからかったつもりのオーランド。

「……あ…う、うん」

一拍遅れた。

素直に微妙な反応をしたトビアス。

オーランドとエヴァンスが同時に目を向けた。

「まさかもう?僕の留守に…?」

「ち、違う…そうじゃなくて」

慌ててしどろもどろのトビアス。

「もっと前です。辺境領で…私が頼みました」

シャロンが答えた。

「私、あと少しで王に…王の妾(しょう)なんだ、って思い詰めて」

それを聞いてしまえば何も言えなくなる。

視線を落とした二人の耳に次の言葉は衝撃だった。

「私、どうしても嫌で、その…初めての相手があの…」

──「スケベジジイ、だなんて…」

「スケ……?!」

言いかけ片手で口を押さえたエヴァンス。

「⋯⋯!」

二の句が継げないオーランド。

「現実を教えて頂いて、真実を知って…」

シャロンはゆっくり微笑んだ。

「感謝しています…ペネロープ様に」

その名を聞いて二人の意識から完全にトビアスとシャロンの事は消えてしまった。

「ペネロープ様…?」固まるエヴァンス。

「あいつ…あの蛇苺は碌な事教えない。第一あれだぞ、あれ…あれの相手はそのスケベジジイより更にジジイなんだぞ」

オーランドは苦虫を噛み潰したような顔で言った。

全ての気まずさは薄れて感傷も途切れてしまった。

割とあっさりしたシャロンの門出となったのだった。

トビアスは思った。

蛇苺様はホントいい仕事する。




トビアス二十一歳、早春


「いったいどう言う事だトビアス!」

バートン邸に着いた途端、長兄のクロードが駆け寄って来た。

教官を務める少佐から連絡があったのだろう。

士官学校の教育課程を全て終えあとは卒業を待つばかり。

トビアスは今日、宿舎を引き払って帰邸して来たのだ。

「父上は?」

「ああ。理由を聞きたいと待ってらっしゃる」

「わかった。書斎?」

聞くトビアスにクロードは呆れ顔で言った。

「そんな訳ないだろう!」

居間に居るらしい。

「父上にだけ話すつもりか?、母上も僕もベルも心配なんだぞ」

居間に入いれば両親と義姉のベルが案外気楽な様子でお茶を飲んでいた。

父がおもむろに問う。

「おまえは士官学校の推薦も受けていただろう」

家族一同の目が向く。

「なぜ王宮の近衛ではなく南方の植民地勤務を選択したのだ?」

たぶん家族全員、いやトビアスを知る殆どの人は、彼が衛兵の道を進むと信じて疑がわなかったのだろう。

トビアスはひと呼吸置いてから話し出した。

「僕に来る縁談は父上と母上がいつも苦労して断って下さってましたね…」

三男と言えど成績上位のトビアスは高位の将校になれる、と見た他家からの縁談が引きも切らなかった。

婿入り話が圧倒的だが嫁入り話もちらほらあった。

だがトビアスが関心を示す事はいっさい無かった。

「もし僕が近衛になったら上層部がすぐさま断れない縁談を持ち込んで来るでしょう」

トビアスは首を振った。

「何故なら今年、近衛推薦を受けた卒業生で婚約者が無いのは僕一人だけだからです。」

「しかし…いつまでも独身のままではいられない、良い縁が来る可能性だってある」

クロードの言葉に皆が少し納得顔を向けた。

だが、そこにトビアスは明瞭な言葉を投げた。

「僕には愛する女性が居ます」

その言葉に皆は驚きを隠せなかった。

「そしてその人は身分を持ちません」

トビアスは今迄そんな気配を全く見せなかった。

「王都にいればその女性との結婚は許されない、愛する人を日陰に置くしかなくなります」

膝に置いた両手を固く握った。

「彼女と離れる気は一切ないです」

母を見、父を見た。

「このバートン家に…あなたがたに育てられた僕にはそんな人生は泥沼を這いずり回るよりはるかに過酷に思えます」

頭を下げた。

「どうか黙って僕を植民地に行かせて下さい」

──植民地に派遣される兵は妻帯が推奨され、身分も問われない。

妻帯者には家も手当も与えられる。

現地での問題を防ぐ目的と希望者を増やす目的があるのだった。

「…彼女を正式な妻に出来るのはかの地だけなのです。」

両親は黙り込んだ。

「だが、しかし…」

クロードが言いかけた。

妻のベルが優しく彼の腕に手を添えて宥める。

「僕の士官学校進学の目的は最初から、騎士爵や近衛ではありませんでした」

再度、驚いた皆の視線が集まった。

「この制度を知り、調べ、それを念頭に計画を立てていました」

とうに決心は固まっていた。

「彼女を妻に望んでいたからです」

一同は次の言葉を発する事が出来なかった。

皆、それぞれの感情がせめぎ合っていた。

だがさほど間を置かず父が言った。

「…承知した」

「お前の人生だ、好きに生きなさい」

それを受けて母も言葉を添える。

「出来るなら旅立つ前にあなたの愛する方を父上に紹介なさいまし」

「かしこまりました」

トビアスは深く礼を取った。

「ありがとうございます父上、母上」



シャロン二十三歳、晩春

「お二人目を身篭られたそうですよ」

「まぁ…!」

エヴァンスの言葉に思わず顔が綻ぶ。

バレン伯爵に嫁いだベアトリスの話である。

ベアトリスは結婚してすぐに男児を儲け義母のオーレリアを喜ばせた。

「お二人目が男児なら後継を、女児なら婿取りで、辺境伯家を継いで貰えればと…」

「そうね…そうなるとお父様達も安心だわ」

婿を期待されていた三女デイジーは学園で出会った地方貴族の嫡男である上級生と恋仲になった。

そして相手の卒業を期に学園を卒業する事無く嫁いだのだ。

エヴァンスは辺境領の情報に明るい。

なぜなら以前、シャーロットの安否の事でオーランドが辺境に赴いた事がある。

その時領地の金山開発に興味を持ち個人資産から出資を決めた。

ところがその後、間を置かず宰相が引退を表明した。

愛しい娘(・)と、可愛い孫(・)との時間がもっと欲しいらしい。

オーランドは宰相に就任となった。

「フン、ではせいぜい張り切って蛇苺が退屈する時間を削って欲しいものだな」

そう嘯きながら多忙を極める毎日である。

金山出資の件はエヴァンスに丸投げしてしまった。

仕方無くエヴァンスは時々、辺境領に通う羽目になっていたのだ。

だからシャロンは故郷の情報に触れられる。


シャロンは先週、四年近く勤めた商店を辞めた。

フラットも引き払ってオーランドの別邸で居候している。

あと数日でトビアスに伴って南の植民地へと船出するのだ。


先日、トビアスに庇われながら貴族街を歩いた。

バートン邸を訪問するためだ。

「僕の愛する妻、シャロンです」

トビアスに紹介された。

幼い頃に見知った伯父、伯母であるバートン伯爵夫妻。

自分を見てどんな反応をするのか。

散々に愛息のトビアスを振り回した娘。

どんな目で見られる?

不安で目を上げられなかった。

しかし怯えるシャロンを夫妻はそれぞれに温かく抱き締めた。

「本当に驚いたわ…そう言う事でしたのね。…今はシャロン?元気で良かった」

「苦労したわね…辛かったでしょう?」

伯母の優しい言葉。

「答えなくていいが、オーランドの仕業なのだろう…本当に困りものだ」

伯父は顔を綻ばせる。

「だが自慢の息子だ。もう一人の自慢の息子、トビアスをよろしく頼むよ」

また優しい言葉。

「父上。一番上の息子は自慢では無いのですか?」

文句を言ったあと笑ったクロード。

「心配したが君だったなら安心だ。まったく⋯弟二人で僕を除け者にしてたなんて…」

「僕だって弁えてる。始めまして…という事で、シャロン。僕の弟をよろしくね」

相変らず優しい。

兄嫁のベルも優しく美しい女性(ひと)だった。

ありがたさと嬉しさに震えて嗚咽するシャロン。

トビアスはそっと肩を抱きよせてくれた。


──数日後

シャロンはトビアスと船上に居た。

生まれ育った故郷の地が次第に遠ざかって行く。

「ありがとう。トビアス」

「え?何が」

「私を愛してくれて」

「…うん。僕こそ、ありがとう」

ありふれた言葉。

だが真実の言葉だった。

固く手を繋ぎ、見つめ合う。

二人は、未来へと旅立った。




トビアス三十歳シャロン三十二歳、早春


南の植民地を流れる大河の畔を散歩する。

それがトビアスとシャロンの日課だ。

少し前を、乳母に手を引かれた娘が歩いている。

六歳になった娘は、しばらくするときっとまた父のトビアスに抱っこをねだるのだろう。


去年、トビアスは退役した。

帰国命令が出たからだ。

予想し準備をしていた。

王都ではシャロンを妻と呼べないから。

今は身分を持たないただの貿易商会の商会主夫婦だ。

この地でシャロンが始めた商会。

その為に商売を学んだ。

トビアスはこの地に来る為の方策を錬った。

少しづつ商いを広げて来た。

今では大きな商会に発展出来ている。


シャロンはふと微笑む。

「お義父様もお義母様もお元気で良かったわ」

「娘の顔も見せられて良かったよ」

トビアスの両親は引退してから夫妻であちこち旅行している。

先日はこの地に来て暫く滞在して行った。

クロードはバートン家の良い現当主であるらしい。

オーランドの別名は氷から氷(・)結(・)へと進化した。

私生活は相変らずエヴァンスに甘やかされているだろう。

辺境の人達も元気らしい。

シャロンは、幸せだ。と思う。

トビアスと一緒なら、何処までも行ける気がする。


娘を見てトビアスは思い出す。

夏になるたびにシャーロットと隠れた厩舎の干草の陰。

二人の隠れ家。

懸命に話して、一緒に笑い転げて。

あの頃は思いもしなかった。

人生は、こんなに遠くまで二人を連れて来た。

全ては変わって行った。

僕と君だけが今も変わらない。


やはり抱っこをねだった愛娘を抱き上げたトビアス。

「君の小さい頃によく似てる」

「あら、顔はあなた似よ?」

「すごく愛してるよ」

頬にくちづけたトビアス。

シャロンは優しく見上げた。


南の地の大河は悠久の時を刻む。

絶えず、悠然と海に向かって流れていく。

幾度倒れても怯えずに。

諦める事も無く。

新たな一歩を踏み出す人の道を照らすように。

──永遠を。

完


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