教師
そういえば、何故あの子達はこのドリルを選んだのだろうか。
あの子達の事を考えて準備しながらふと、そんな事を考えていた。
このひらがなドリルには他にない特徴でもあるのだろうか。
「まぁ、あの子達に聞いてみよう」
さて、勉強の準備はこの辺にして昼ご飯の用意でもしておくか。あの子達は箸を使えないから手で食べられるもの、もしくはスプーンやフォークで食べられるもの…何がいいだろうか。
「あ、そうだ」
材料は…よし、ある。これならあの子達も気に入ってくれるだろう。一人であの子達の喜ぶ姿を想像して、ニヤニヤしていたその時
「こんにちわー」
元気な声が玄関の方から聞こえてきた。
玄関の扉を開けて出てみたが
「こんにちはー。あれ?お姉ちゃんは一緒じゃないの?」
彼女がおらず、この子達だけだったのでそう聞いた時ちょうどこの子達の後ろの方から声がしてきた。
「こんにちはー」
この子達の後を追うように走ってきた彼女は息を切らしていた。かなりの距離を走ったのだろうか…
「お姉ちゃんおそいー」
「あんた達が急に走り出すからでしょう」
この子達くらいの時期は大変ですよね、分かります。と、心の中で勝手に共感しつつ彼女達を部屋に案内してお茶を出した。
出した緑茶は、彼女の口にはあったようだが、この子達にはまだ早かったようだ。次からは緑茶以外のもの、麦茶でも出す事にしよう。
「見て見て」
「ん?どうしたんだい?」
3人に呼ばれて見てみると、鉛筆を持てている?!
「あ、この子達昨日家に帰ってからも私と一緒に練習してて、まだ字は綺麗にかけないんですけど持てるようにはなったんです」
彼女がそう言うと3人とも誇らしげな顔をしていた。
子供の成長力はすごいな。成長が喜ばしい半面、色々な準備をし、教え方を考えていたからか少し悲しいな…
「そしたら今日は…ひとまず鉛筆で紙に書く練習をしてからドリルにしようか」
「「「はい」」」
「お願いします」
…3人の声が揃ってた、可愛い。
「そしたら確かコピー用紙がどこかに余ってるはずなので、探してくるので少し待っててください」
「いえ、そんな。わざわざコピー用紙なんて、もったいないですよ」
「実はコピー用紙は余っていてもコピー機がなくて、なのであっても使いようが無いので気にしないでください」
「そういう事でしたら、ありがとうございます」
コピー用紙を見つけ、鉛筆で書く練習を始めると意外と言うべきか、当たり前と言うべきか。3人の書く線はかなりバラバラだった。
一人は、まだ線は安定はしないものの筆圧などは完璧。この子はこのまま書いていけば次第に上手くなるだろう。
一人は鉛筆で紙に書けているが、かなりふにゃふにゃだったり、芯が折れたりしている。この子は多分力が強すぎるのだろうから、少し一緒に練習すれば書けるようになると思う。
もう一人、この子は鉛筆は持ててはいるがおそらく力が足りず、何も書けていない。どうしたものか。鉛筆のこの持ち方だと力を入れにくいのか、はたまたそもそもの力が少ないのか。この子は練習すれば綺麗な字を書けるようになる…と、思う。正直力の入れ方の感覚を掴めれば、一番早く、上手に書けるようになるかもしれない。




