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私は今、ランの家の一番奥にある部屋の前に立っていた。
「ふう、ここが最後の部屋だ」
さてと、犯人の顔でも拝みにいきますか。
意味があるかわからない運動をしながら表情を引き締める。そして私は勢いよく部屋の扉を開けた。
――パンパンッ
「「「「誕生日おめでとー!!!」」」」
「っ、う、え、あ、ありがとう……て、えええええ?! なにこれなにこれ?! なにどういう状況!」
みんないるし、みんな笑顔だし、クラッカーたくさんで紙吹雪が私に降り注いでいるしで私は盛大に叫んだ。そして私のテンションはおかしくなった。
「リラー、落ち着けよ」
「これが落ち着いていられるか! ルーズのお馬鹿!」
「あー、はいはい。今日は許してやるよ」
「……まさかルーズの偽者か」
なんて疑っていると私の後ろの扉が開いた。そしてファラさんが笑顔で手を振りながら小走りで私のほうに来てくれる。私も笑顔でファラさんに近づく。
「リラさん! お久しぶりです!」
「ファラさん! わあ、お久しぶりです!」
ファラさんに会えた喜びを噛み締めているとファラさんの後ろから美味しそうなケーキを持ったランが登場した。
「リラ、久しぶりだね。誕生日おめでとう」
「ラン! ありがとう!」
「これ、リラが好きなフルーツたっぷりケーキ」
「美味しそうなケーキもありがとう! 嬉しい!」
美味しそうなケーキにお腹が小さく鳴る……どうかみんなには聞こえていませんように。
「リラさんのところにちゃんと手紙が届いたみたいで安心しました」
「え?」
「え? あれ、もしかして届いてないですか? ここの住所が書かれた手紙なんですけど」
「あ、もしかしてこれですか?」
「はい、そうです! それです」
「……もしかしてこれを書いたの、ファラさんですか?」
「いえ、それを書いてくれたのはジャンさんです。俺に任せておけって書いてくれたんですよ」
そう言って、ふふっと笑うファラさん。
ああ、ファラさんの笑みは和むな。可愛らしいし、あったかで春の日溜まりのよう。
ジャンさんや、この地図だとわかりづらかったですよ。途中、ランたちが人質にとられてるんじゃないかって疑ったからね。
そう思っていると、ファラさんが言葉を続けた。
「ジャンさんがリラさんのお誕生日会をサプライズでやろうって企画してくれたんですよ」
「ジャンが?」
「はい! あとシュルトさんとユンさん、ランさんと他にもたくさんの方と一緒に準備しました」
あれ、なんでだろう。涙で視界がぼやけてきたぞ。なんだ、そうだったんだ。みんなが商店街にいなかったり、私によそよそしかったのはサプライズ誕生日会のためだったんだ。
「みんなありがとうっ! とっても嬉しい! 素敵な誕生日だよ!」
この後みんなとワイワイ楽しく誕生日会をして充実な一日を過ごしました。
淋しい思いはしたけど、それ以上に嬉しさや楽しさの気持ちで私の心は満たされて幸せです。
「みんな本当にありがとう! とても幸せな誕生日でした!」
私は、今日のことを忘れない。そしてみんなと撮った写真は大切に魔法で加工して飾った。
みんな、これからもよろしくお願いします。




