表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金髪、青目の美人エルフに転生!  作者: 鏡田りりか
第五章  外国での冒険
68/140

第六十六話  外に行くと

 日記をつけましょう。と思い立った。冒険日記。

 ってことで、昨日、ギルドから帰る前に文房具屋に寄ってノートを買ってきた。


「ねー、ジェイドー。今日、何日だっけー?」

「四月三十日ですよー」


 うわぁ?! まじで?! 外出たくなかったのに!


「ジェイド! 外行こう!」

「な?! 今日は出ないって言いませんでしたか?!」

 言ったけど……。リリアーナたちはもう行っちゃったし。


「いいから! あぁ、でも、目立ちたくないんだよなぁ……」

「じゃあ、ちょっと待ってください。はい、これ着て。私、外で待ってますね」

 ん……? え、どういうこと?






「さ、行きましょう?」

「う、うん。これ、は?」


 薄めのTシャツ、剣士のようなズボン。その上に黒いフードのついたロングコート。これ、ローブと同じ布? 魔力量が変わらない。


「ああ、違います。髪をポニーに結って、うえ上げて、その上からフード……。ね、男の子に見えるでしょう?」

 フードは顔も隠れるし、コートは男物のよう。確かに、私にはまず見えないだろう。

「スカーレットと、桃色魔法衣ピンクローブの人に作ってもらったんです」

 ジェイドはかるく微笑んで「喋っちゃダメですよ」と言った。


「で、どこに行きたいんですか?」

「武器屋、かな。エルフのものと、多少は違う?」

「? まあ、そうでしょうね」

 まあいいか。見てみれば分かる事だし。






「いらっしゃいませー」」


 店員は気がついていない様子。大丈夫そうだ。

 店に入ると、ジェイドがかがんで小声で聞いた。


「何買いに来たんです?」

「今日、アラーナの誕生日なの。小さい、携帯用の杖なんかがいいかなって」


 色は、紫かな。回復はだいたい紫って聞いたし。それに、アラーナの魔力の色は青紫。

 携帯用、とはいえ、しっかりしている、性能そのまま、ちいさくしたみたいな、そんな杖は……。これかな。

 今日でアラーナは18なはず。六の倍数、だよね。ちゃんとしたのをあげたい。そのために、多めにお金持ってきたんだから。


「じゃあ、ジェイド、あとよろしくね?」

 杖とお金を渡して、私はジェイドの後ろについた。






「あ、誰か戦ってるみたいですね」


 大きな広場に、人だかりができている。背の低い私には、周りの人で状況が見えない。

 すると、ジェイドが私を抱きかかえて、見えるようにしてくれた。

 一人は、魔法使いのようだ。でも、もう魔力は少なそうだなぁ。

 もうひとりは、剣士。それも、自分の身長よりも大きいような大きな剣を……。身長だって高いし。


 剣士は、スカーレットみたいな、燃えるような真っ赤な髪をしていた。エルフではない。エルフの髪は色が薄いから。それに、エルフはそんなに大きな剣は持てないだろう。

 でも、悪魔ではないね。羽も、牙もない。


「人間、ですよね。ソフィア様は、人間、珍しいですか?」

「うん。でも、ここ、もう森出てるから、人間の場所よね」


 エルフの森の隣は、人間の場所。ここのほとんどは人間だろう。

 なんて言っているあいだに、剣士の大きな剣は、魔法使いの首にぴたっと付けられていた。

 歓声が上がり、剣士はそっと剣を鞘に収める。


「なんか、かっこいい、ね」

「なっ! あれくらい、私だってできますよ!」


 あ、私が彼を褒めたのが面白くなかったよう。別に、そう言う意味じゃ……。

 大歓声に包まれる中、その剣士はジェイドに目をつけた。


「私はレイフ。お前は?」


 その声に気づいた人々の視線は、ジェイドに釘付けになった。残念ながら、ジェイドはあからさまに嫌そうな顔をする。

 けれど、基本的に真面目はジェイドは、凄く嫌そうにしながらも、自らの名前を口にする。


「えっと……。ジェイド、です」

「ほう、名前があるということは、誰か、主がいるのだな?」


 ジェイドがさも困ったような目で私を見た。私はもう地面にいるから、見上げないと顔は見えないのだけれど。

 他の人に聞こえない様に。ジェイドは私にそっと顔を近づけて言う。


「どうします? 戦いたいみたいですよ」

「どうって……。知らないけど、これじゃ、問答無用、って感じじゃない?」

「ふふ、この人なら、本気で打てるんじゃないですか? さ、頑張って」


 え、私? ジェイドは私の背中をとんと押した。

 仕方なく私はアラーナへのプレゼントをジェイドに手渡して、レイフを見る。


「少年。お前が相手するのか?」

 あまりに舐めたような目が、気に入らない! 目立ちたくないなど、とうに吹っ飛んでいた。


 魔法使いにとって、目はとても大切だ。目だけで、魔法を使うことだってできるから。

 二秒ほど目を閉じ、大きく開く! 私の出した指示はたった一つ。魔力開放!!

 今まで、一気に魔力を解放すると、必ず、暫くの間、反動で動けなくなっていた。

 でも、ずっとそれでは困るから、少しずつ練習しようといっていたのだ。

 ただ、想定外。魔力を解放すると、衝撃で大きな風が吹く。つまり、フードが……。


「ほう、少女だったか。それに、魔法使い」


 観衆がざわめく。私に気がついた者だろう。その中で、ジェイドは少し笑っているように見えた。絶対、面白がってる。


「ジェイド、これ、私にはいらないよ」


 腰に差していた飾りの重い剣をジェイドに放り投げ、私は袖を少しまくって手を出す。

 当然、私に剣は必要ない。魔法使いなんだから。レイフにも、魔法で勝ってあげる。


「あなたなら、多少本気出しても壊れなさそう」

「それはこっちのセリフだがな」


 私は魔力を丁寧に手に集める。さ、人間の力、どれほどかな?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ