02話 遭遇しちゃいました
スキルなんかを色々と検証してたらそこそこ時間が経った。
身体は今までの身体らしく、スーツで、その腕には腕時計があったので、当てにはしていないが、経過時間ぐらいはわかった。
転移されてきて、スキルやステータスを一通り確認した時に見たら11時10分ほど、諸々の検証を終えて見た時点で1時近かった。
しかし、そのおかげで焚べる者の仕様と慣熟はいくらか進んだ。とりあえずは掌に纏わすまでは操れるようになったのだ。
そして、この炎の仕様なのだが、炎を出すだけではLPは減らなかった。
なんなら消すと身体に戻っていく感覚がある。
おそらく何かを燃やしたりする時に身体から離れた時に消費するのだと思う。LPを2ポイントも使ってしまったが、奥の手的なものも発見できた。
しかし、これ以上無駄にLPを消費するわけにはいかないので、燃やした時にプラスになるようなもの...それこそ、何かしら生物を相手にしたいところ。
残酷だけどねしょうがないね。
(まぁ、生き物も何も出会う気配無いんすけどね)
とりあえず人里の中に入れないにしても、近くまで行ってどんな生活を送り、そんなわけないと思うが、受け入れられる可能性もゼロじゃないと考え、人里に向かうこととした。
(こんな異世界に一人で放り出されて徐々に不安になってきた...日が落ちる前には村だったり、誰かと出会いたい...)
最初のうちは、スキルやまだ見ぬ世界のワクワクはあったが、時間が経つにつれ、一人の不安と恐怖が徐々にでてきてしまった。
(人...もしくは生き物かなんかに出会いたい...)
普通何も知らない世界で出会う生物など脅威でしか無いのだが、そんなこと全然頭に浮かばなかった。そんなことよりもどこかもわからない森の中で1人は嫌すぎた。
(とりあえず森を抜けたいな...人里近くなら街道か道があるはず...)
そもそもスポーン位置が森で地図無しは終わってると思うんだ。過酷すぎん?
もし俺以外の転移候補者がいたら聞いちゃうかも、最初どこに転移した?って。
(そもそもいるかも知らんがね!!)
候補者なんてあの女神は言っていたが、選ばれていくだろう候補者の1発目が俺で、この異世界に日本から飛ばされてきたやつは今のところ俺だけという可能性は捨てきれないのだ。
(救いとしてはこの身体が強靭になっていることぐらいだな)
このデュラハンになった身体は、今までの身体じゃ全然なかった。ジョギングより速いペースで走っていても、20分くらいこの調子でも全然苦じゃない。
今までだと5分も走ればゼハァーッゼハァーッと日頃の運動不足を自覚させられていただろう。
(一応、ちゃんと転移ボーナスっていうか、優遇を感じるな)
そもそも転移前は死にかけ...と言うより多分死んでいて、特別なスキルなどを貰って復活している時点でかなり良い思いをしているのだが、一方的な説明とほぼ遭難スタートがその思考を奪っていた。
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(そろそろ何か出会って良いはず...誰かァァァ!!!)
ボーナスの恩恵を感じて早2時間。
ちょうど1時間走った時点で、息は上がってないが、身体に明らかに疲労が溜まっていく感覚があった。ステータスを見るとSPが00で、HPが1減っていた。
便利だが...この身体危うい...しっかり管理しないとHPが消費されてしまう...。
(流石にそんなうまい話は無いか...)
疲れ知らずの身体かと思ったら、身体にリミッターが設けられていなかっただけだった。
(SPの回復は2秒に1くらいかな?)
時速8kmで走って2分で回復て...。
ヤバいよなこの身体。前の身体じゃ考えられん...。
(しかし、マジで...どこ見ても木しかねぇな...)
10km以上移動しているが、森を抜ける気配がない。マジでどこに転移させてんだあの野郎...!!
軽く愚痴っていると、突然どこからガサガサと音がしてきた!!俺以外の生命の予感!!!!
(よっしゃ!!何が来たんだ!?)
戦ったこともない、ただの平凡な成人男性が得体のしれない...それも異世界の何かと対峙しようとしているのは普通に危機だが、そんなことよりも、この広大といえる森で1人じゃないことが嬉しかった。
するとすぐに音の正体がわかる。
(うさぎ?)
出てきたのは頭から角が生えたうさぎだった。
いわゆるアルミラージというやつである。
(あっ、可愛い)
うるうるした目は黒目でクリンクリンで、少し灰色がかかったふわふわの毛で、なんとも可愛い見た目をしていた。
(これ鑑定効くかな?)
熟練度があるかも知れないと、ここまでの移動中に鑑定を常時使いながら走っていたが、未だにレベルは1のままだった。
使えるかどうか試しに目の前の一本角うさぎを鑑定しようと念じる。
ホーンラビットLv4
種族:魔獣
HP:37 MP:5 SP:75 DF:25 AT:24 AGI:56
スキル
俊敏Lv1 突進
(おぉ、ステータス出た)
今まで石や木にしか鑑定できていなかったが、生物相手だとステータスが出るとは良い収穫だ。
すると、奇妙な感覚に襲われる。
〝鑑定〟というスキルが身体に浸透というか一体化していくような...すぐにその感覚は消えたのだが、何か変化があるか気になって、ステータスを見るかどうしようかとホーンラビットから意識をそらしてしまった瞬間、
―ドッッ!!― (おわぁぁぁッ!!)
ホーンラビットは強靭な後ろ脚を使い、隙を見せた自分に目掛けて突撃してきたのだ。
咄嗟に身体が動いたおかげで、かするだけで済んだのだが、明らかに人体の急所である心臓を狙われていた。
(フゥーッ...フゥーッ...)
息が荒くなることは無い筈だが、明確に自分の命を狙ってきた存在と対峙し、恐怖故に完全に無意識でやっていた。
ようやく自分が異世界転移を軽い気持ちで過ごしていたのだと気づけたのだった。




