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珍奇!強制シーメール化事件  作者: モッチー
16/29

第10話①:母島列島事変

pixiv版→https://www.pixiv.net/novel/series/7675147


ハーメルン版→https://syosetu.org/novel/266019/


小説家になろう版→https://ncode.syosetu.com/n5419hd/

かつて魔法少女管理委員会と兵器推進善業のミリタリーバランスを一変させようとして願い叶わず敗れた叩務が、どう言う訳か廃墟の中を彷徨っていた。

どうやら、叩自身も自分がどうやってこの廃墟に辿り着いたのか解らない様子だった。

「ここは……何所だ……?」

そこへ異様な集団が叩に近付いて来た。

「お前達は誰だ!?」

集団は涙ながらに懇願した。

「お願いです。もう寝て下さい」

(殺される?)

殺されると勝手に解釈した叩は、銃を突きつけようと自分をボディチェックする形になったが、ろくな武器が見つからずに焦った。

(くそ!何でこんな時に何も持ってない!?俺達にはまだやるべき事が星の数程あるのに!)

叩の警戒心を察した集団が慌てて釈明する。

「いいえ!其処を動かずに寝ていただくだけで良いんです!」

「特に今は、貴方方にぐっすり寝て欲しいんです!」

だが、叩は集団を信用出来なかった。

「いきなりやって来て、いきなり寝ろって言われて、警戒しない者がいるかー!?」

すると、集団はターバンの様な物を脱いだ。

それを見た叩の感想は、

(何その頭……まるでダメージヘアー星人じゃんかよー)

殺されると勝手に解釈した叩は、銃を突きつけようと自分をボディチェックする形になったが、ろくな武器が見つからずに焦った。

(くそ!何でこんな時に何も持ってない!?俺達にはまだやるべき事が星の数程あるのに!)

確かに、お世辞にも美髪とは呼べない醜い頭髪であるが、集団の肌色はどれも緑色とは程遠かった。

「いいえ!違うんです!我々は、リンスやシャンプーはおろか……頭髪の水洗いすら産まれて1度もした事が無いんです!」

「何を言っている?まるでお前達がダメージヘアー星人に敗けたみたいじゃないか!?」

叩のこの言葉を聞いて、集団の中に混ざっていた子供達が泣き崩れた。

「うぅー」

「大丈夫!大丈夫よ!」

そんな集団の情けなさを観て怒りが湧く叩。

「そんなにダメージヘアー星人の様な髪形が嫌なら、何故武器を持たなかった!?軍隊を編成しなかった!?なぜ兵器を使わなかった!?」

集団は、そんな叩に涙ながらに訴えた。

「だからこそ……だからこそ、貴方方には寝て欲しいんです!我々の先祖があの者達を裏切る前に!」

「あの者達!?」

「お願いです!今は寝て下さい!平和が訪れるその日まで!」

叩は納得出来なかった。

「何を言っている!?戦争なくして発展は生まれんぞ!戦争なくして進化は成し遂げられんぞ!戦争なくして絶望には討ち勝てんぞ!戦争なくして希望は産まれんぞ!」

「お願いです!寝て下さぁーーーーーい!」


「戦争が無い世界に希望は有るかー!」

叩は飛び起きようとした。だが、拘束具でグルグル巻きにされているので飛び起きる事が出来なかった。

(……ここは……)

実際の叩は……魔法少女管理委員会の施設を強襲し、魔法少女の出撃を大幅に遅らせ、都市部に重大な損害を与えた罪で、50年間懲罰房で暮らしてから無期懲役に服すると言う罰を与えられていた。

(夢……なのか?)


本日、アフリカゾウとイリエワニを同時に兼ね備える巨大怪獣が戦死した。

「おのれぇー!あの忌々しい女共めぇー!」

ネブソク少将の怒りに、周囲のダメージヘアー星人達が驚き怯えた。

「怪獣達も頑張ってはいるのですが―――」

その程度の言い訳では焼け石に水であった。

「負けたら意味無いんだよ!」

言い訳をしていた者達が言葉に詰まる。

「そ……それは……そうですが……」

「あの女共さえ……あの女共さえ居なければぁーーーーー!」

そこへニコチン准尉が不機嫌そうにやって来て。

「そのボルベスについて恐るべき事実が判明しました!」

「恐るべき事実だと!?」

「こちらをご覧ください!」

ニコチン准尉がネブソク少将に渡したのは、ボロボロの書物であった。

「何だねこれは?」

「は。私の高祖父の祖父の大伯母の日記です」

それを聞いた周囲のダメージヘアー星人達が首を傾げた。

「それって何代目だ?」

が、ニコチン准尉にとって作者が誰かはどうでも良かった。問題はその内容である。

「ボルベスのしつこくて図々しい浅ましさ。私は、この日記を読んで、怖くなって体中の毛穴が開きましたぞ!」

それを聞いて、ネブソク少将の怒りが更に増した。

「おのれボルベス!どんだけ罪を重ねれば気が済むんじゃぁーーーーー!」


数日後、ライラが魔法少女達にある島の護衛を命じた。

「母島列島に奴らの円盤が集まっている?」

「何故そんな所に?」

「そんな長話をしてる暇は無いだろ?」

翔太が疑問を振り切って出撃しようとしたが、ライラがそれを停めた。

「いや、今回の奴らの探し物が何か。それを知った方が良い」

そう言うと、ライラが突然語り始めた。

「日本の古書を再調査した結果、日本人とダメージヘアー星人との戦いは平安時代まで遡っていたのだ。しかし、当初は日本人の通常兵器製造技術もダメージヘアー星人の怪獣製造技術も未熟だったため、例の隕石を使わずに発現出来る超能力のみで対処可能だった。そこで、当時の日本政府は、ダメージヘアー星人が送り込んだ怪獣を妖怪や悪霊と呼んで怪獣襲撃の事実を隠蔽しようとしたのだ」

「それじゃ何か?平安時代の日本政府の隠蔽の証拠があの島に有るとでも?」

「いや、それだけなら奴らはこの島には来んよ。母島列島が今回の戦闘エリアになった理由は、安土桃山時代に起こった小田原城陥落にある。かつて三河と呼ばれていた土地を支配していた徳川家は、小田原城陥落によって発生した戦果を処理すると言う名目で江戸と呼ばれる土地への左遷を命じられた。その事が切っ掛けで、徳川家はダメージヘアー星人が送り込む怪獣の処理の最主戦力になってしまった」

「ってことは、その島に怪獣を倒す為の秘密兵器が眠っているって訳か?」

ライラが俯きながら言う。

「表向きはな」

魔法少女達は意味が解らなかった。


母島列島に到着した魔法少女達は、早速ダメージヘアー星人の円盤型宇宙船群のレーザー攻撃を受けた。

「そんなにあの島に眠っている厄介者を叩き起こしたくねぇみたいだな!」

「暢気な事を言ってる場合か!あの島には居住区があるんだぞ!」

松本が周囲に発生させた魔法陣から複数の手錠を放って円盤型宇宙船を縛り上げる。

「おーおー。まだまだ警官要素は抜けてないが、大分さまになったじゃねぇか?」

強田に茶化された松本が赤面しながら叱責する。

「真面目にやれ!と言うか、住民の避難の方はどうなった!?」

問われた翔太が避難状況を説明する。

「今就航した船で最後だよ。護ってあげなきゃね!」

そう言うと、翔太が二刀流フェンシングを振り回して強力な熱風や冷風を発生させて円盤型宇宙船群を大きく揺らす。

中にいたフケ曹長は堪ったものではない。

「あの糞女共め!あの島に眠る技術を奪いに来たか!?」

その後も、魔法少女達が思い思いの攻撃を繰り出し、ビームやレーザーの壮絶な応酬が繰り広げられた。

そんな中、夏芽がリアカーを引く青年を追う複数のダメージヘアー星人を発見する。

「待って下さい!あの島にはまだ人がいます!」

「ちょ!?逃げ遅れ!?」

「あの船が最後じゃなかったの!?」

「誰だ!?あんなデタラメな仕事をしたの!?」

夏芽とエレクトロンが青年に向かって降下する。

「間に合ってくれよ!」

追い詰められた青年に向けてダメージヘアー星人達は拳銃からレーザーを連射する。

その内の1発がリアカーに命中したので青年が慌てふためき、リアカーを心配し過ぎて逃走を中断してしまう。

「あっ!あっ!なんて事をしてくれたんだ!?」

それを見ていたダメージヘアー星人が不快感を露にする。

「自分よりその箱の中身が大事か……貴様のこの島にある忌まわしくて汚らわしい技術が狙いかー!?」

だが、夏芽の周囲にある鏡が放つ閃光が眩し過ぎて引き金が引けないダメージヘアー星人達。

「うわぁー!?」

その隙に手にした本を読み上げて熊の立体映像を発生させるエレクトロン。そして、エレクトロンが発生させた熊の立体映像がダメージヘアー星人達を次々と叩きのめし、青年を追っていたダメージヘアー星人達は全員爆散した。

青年は、助けてくれた魔法少女達に軽く会釈すると、再びリアカーを引いて港とは逆方向に進んだ。

「ちょちょちょちょ!ちょっと待てちょっと待て!この島にいたら命が幾つ有っても足りないぞ!」

青年が魔法少女達が自分を引き留めようとしている事に気付くと、白い玉を地面に叩きつけてからまるで逃げる様にリアカーを引きながら走り出した。

突然の白い煙に咳き込むエレクトロン。

「ゴホゴホ!うわ!?何これ!?煙幕!?」

逃げた青年を探そうとした夏芽だが、運悪く島を散策していたダメージヘアー星人達と遭遇してしまった。

「何だ貴様等は!?貴様等もあの技術が狙いか!?」

「この忙しい時に!」


夏芽からの報告を聴いたライラが困惑する。

「戦闘エリアと化した島からの逃走を拒否した住民がいるだと!?」

「この島に残る気満々なのは確かなのですが、本当に最初からこの島の住民だったのかは不明です」

「妙な煙まで持ってたし、なんか変なのを担いでたしなぁー……そいつもなんか怪しいぞ?」

ライラはその青年について嫌な予感がした。

「その男もあの島に眠る失敗作が狙いか?」

とは言え、出す指示は変わらない。

「どっちにしろ、今はこの島に残して置けないな。島から避難させろ」

しかし、問題はその方法だ。

「要救助者を乗せた船を戦闘エリアに戻せって言うの?それは流石に酷いだろ?」

「私達が担いで運ぶのもありですが、あの様子だと、その間暴れ続けるのは必至だと思います」

「取り敢えず、安全な場所に転送する?」

「今は……それしかないね」

そんな中、ライラは問題の青年について考え込む。

「エレクトロンの報告に有った謎の荷物の中身が解らないから断定は出来ないが、その者もこの島に隠された失敗作が狙いと仮定するべきだろうか」

話が全然進まない事にイライラしたのか、強田が一同を折檻する。

「今はそのガキを探すのが先決だろ!?目的なら後で問い詰めれば良いだけの話なんだからよ!」


一方のダメージヘアー星人も上へ下への大騒動であった。

「曹長!もはや証拠探ししている余裕はありません!怪獣を送り込んで一気にこの島を破壊してしまいましょう!」

それに対し、フケ曹長は即答を避けた。

確かに証拠集めと言う遠回りなどせずに巨大怪獣を使ってこの島を破壊してしまえば良かったと後悔している。だが、本当に例の物がここにあると断言できないのも事実であり、勘違いして巨大怪獣を送り込む場所を間違えて、その隙に魔法少女達が例の物を手に入れてパワーアップされたら目も当てられない。

それに……

「船を護れー!要避難者を逃がすんだー!」

「逃走を拒否した青年はどこだ!?今度ダメージヘアー星人に見つかったら、今度こそ手遅れどころの騒ぎじゃないぞ!」

既にこれだけの魔法少女達が集まっているのだ。

通常兵器の恩恵が無い状態で巨大怪獣を送り込んでも返り討ちが関の山だ。

しかし、次の通信がフケ曹長の迷いを断ち切った。

「例の男の脱獄に成功。大量の通常兵器を持ってこちらに向かっています」

フケ曹長は遂に決断した。

「怪獣!投入!」


円盤型宇宙船の1機の真下に黒い玉の様なワープホールが出現した。

これを観たライラが嫌な予感がした。

「深海に投下されたワープホールを破壊するだけでは……ダメなのか?」

そして……ミンミンゼミとテッポウエビを同時に兼ね備える巨人が出現した。

それを見た強田が渇いた笑い声を上げた。

「ははは。今度はバの字かよ」

ミンミンゼミとテッポウエビを同時に兼ね備える巨人が左鋏を前に突き出し、パチン!という大きな破裂音と共に強力な衝撃波を放った。

「うわ!?」

「こいつ、何をした!?」

ライラが直ぐに破裂音付き衝撃波の正体を見抜いた。

「テッポウエビと同じ原理だ。はさみを急に閉める事でキャビテーションを起こし、その音と衝撃によって獲物を捕らえたり外敵から身を守ったりする生態を持ってる。しかし、液体の流れの中で圧力差により短時間に泡の発生と消滅が起きる物理現象であるキャビテーションを空中で発生させるとはな」

そうこう言っている内に、ミンミンゼミとテッポウエビを同時に兼ね備える巨人が左鋏を再び開いた。

「また来る!?」

そこへ松本が動いた。

「させるか!」

松本が周囲に発生させた魔法陣から複数の手錠を放ってミンミンゼミとテッポウエビを同時に兼ね備える巨人の左鋏を縛り上げる。

「これでさっきの衝撃波は撃てない筈!」

ミンミンゼミとテッポウエビを同時に兼ね備える巨人が大音量の鳴き声で牽制するも、魔法少女達にとってはもはや俎板の鯉である。

「諦めなって。しつこい男は嫌われるよー」

この勝負は魔法少女達の勝ちだと誰もが思った。しかし……

キャオーン!

「攻撃?誰が攻撃をしてるんだ?」

「いや……ただの攻撃じゃない……通常兵器か!?」

「そんな事をされたら、巨大怪獣が!」


そう、叩務が兵器推進善業の一員に変装したダメージヘアー星人の手引きで脱獄し、残っていたイージス艦をかき集めて母島列島にやって来てしまったのだ。

「魔法少女を騙るインチキ詐欺師共ぉーーーーー!あんな嘘で俺を騙しても無駄だぁーーーーー!真実を白日の下に曝してやるぅーーーーー!」

夢の中で叩に眠る様勧めた者達にとっては最悪のシナリオだったらしく、叩に強烈な頭痛を与えながら必死に叫んだ。

「お願いだ!頼む!今は寝てくれ!」

「俺達にこれ以上、膨大な絶望を与えないでくれ!頼む!」

「うえぇーん!ママぁーーーーー!」

「大丈夫!大丈夫よ!ちゃんと伝えれば、解ってくれるわ!」

だが、完全に兵器推進善業の一員に変装したダメージヘアー星人に完全に騙されてる叩の耳には届かず、寧ろ魔法少女達が大衆達に吐き続けていた嘘を隠蔽する為の小細工としか思っていなかった。

「俺は騙されんぞぉーーーーー!通常兵器こそが巨大怪獣討伐の最大にして最強の武器なのだぁーーーーー!」

その後も、謎の幻達は叩に大音量の懇願と強烈な頭痛を与え続けるが、叩は耐えるばかりで聞く耳持たない。

兵器推進善業の一員に変装したダメージヘアー星人が勝ち誇った様に微笑んだ事に気付かずに……

(大量の通常兵器をありがとよ♪)

一方の艦長は、狂喜乱舞している様にしか診えない叩の態度を見て、叩の体調を心配した。

「休んだ方が良いのではないか?」

だが、叩にその気はなかった。

「今はそれどころではない!この艦隊の総火力を持って目の前の巨大怪獣を焼き尽くすのだぁーーーーー!」

完全に理想に酔った叩の暴走は止まらない。それが、地球に最悪のシナリオをもたらすとも気付かずに……

第5話は前後編でしたが、第10話は3部作です。

そして……第5話以来の兵器推進善業と叩務の再登場です。

本作の力関係は、


通常兵器<超えられない壁<巨大怪獣<魔法少女


なので、兵器推進善業と叩務を登場させるだけで、ハラハラする程の大ピンチを生み出せます。


……もう、叩務はどっちの味方なんだか……

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