きっと何者にもなれなかった普通たち
報告にあったものだと、俺たちのセラフィムとそっくりの模倣物だと聞いていたが、それは全く違った。指定ポイントに到着すると、そこには黒色をした悪魔がそこに集まっていた。和は百数体。何も武器らしい物を持っておらず、個々の機体に差異はなかった。量産したのだろうか。こちらの軍勢は1206体のセラフィム。軍が隠し持っていたなんて信じられない数だが、実際持っていたのだから仕方ない。全てのセラフィムにレールガンシステムが実装されており、エネルギーがなくなりそうになれば、レールガンを放つ事によってエネルギーが変換され、充填される。熱を持ち歩く事は困難である為にその様な手段が用いられたセラフィム。
因みに、実際に俺が機体に乗る事は始めてだ。どういうわけか、この作戦には全てのセラフィムが投下された。でも、そんな事はこの際置いておいていい。機体に初めて乗った。その事実が、俺を高揚させる。楽しい。初めての感覚だった。シュミレーションで訓練はしたことがあっても、実際を見るのも、触るのもこれが初めて。こんなにもハンドルは重いものだたのかと改めて実感する。戦場に立っているのに、恐怖を全く感じない。感じるのは、殺人への期待感と、高揚だけ。実に気分がいい。早く殺しがしたい!
俺たちの10分の1にも満たない黒い悪魔を俺は殺せるだろうか。思い切り暴れ回りたい。この高揚感の為だけに俺はこの機体に乗り込んだんだ。俺は翼を展開し、レールガンを放つ準備をする。正面では、黒と白の機体が混ざり合いながら戦っている。なら、ここで撃てば当たるだろうと適当に予測し、レールガンを発射するボタンを押した。橙色の閃光が一閃し、機体を貫く。色は、白。
チッ、と思わず舌打ちが出る。別に惜しい訳ではない。仲間内で特別仲の良かった人もいなかったし、戦場に立つ以上は、犠牲が出ることは仕方ない。1206体が1205体に減るだけだ。戦況は一方的にこちらの優勢であることに変わらない。レールとして使用した翼を手にして、斧状に変化させる。翼は液体で、形は自由自在だ。操縦士の好み、戦闘スタイルで使いやすい様に形状は変化する。俺は両手で斧を持って黒と白の戦闘の間へと突っ込んだ。
疾走時に刃を相手に向けて走り抜ける様にして切る。俺は首を撥ねた。色は……白。後ろを振り向くと、首を失って、機能を停止して、操縦士が外気へと晒される。見たことのない顔だった。その青年はキッ、とこちらを睨み、それから黒の機体に動きを封じられる。黒い悪魔は片手でその青年を持ち上げ、もう片方の手で頭をつまんだ。青年は身動きが出来ず、ただじたばたと暴れたが、機体の前ではそれは無力だった。悪魔はそのつまんだ指に力を込めていく。じわじわと力を入れているのだろうか、青年は苦痛で泣き叫んでいた。
『やめろ!やめろやめてくれ!!』
と、青年は無意味に声を発生して声木霊する。悪魔の様な機体に乗っている操縦士は正気だろうか?暴れていた操縦士が不意に止まる。パチュ、という嫌な音と、地が混じったような音に、若干の吐き気を感じる。頭をなくした操縦士はそのまま地面へとらっかを始める。悪魔の指には真っ赤な鮮血が滴っていた。人の皮膚だろうか・・・・・・を、悪魔はまるで子供が手を洗った後の様に振って血を吹き飛ばした。
『キヒッ』
確かに悪魔はそう発声する。機械なのだから、声を出す事なぞありえない。機体間で通信を繋いでいなければ言葉も通じる訳のない状況のなか、確かにそう声を聞いた。悪魔はこちらに向かって加速した。血に飢えた獣のようなイメージで、その悪魔は手を突き出して俺の斧の間合いまで距離を詰める。俺は斧の柄で、丁度操縦士がいるであろう場所を突いた。機体を破壊するよりも、停止させる事の方が先決だと判断したためだ。確実に貫いた。柄と穴の間から、少しだけ中の様子を見ることが出来る。パイロットシートに、様々な電子機器。しかし、血の色は一切なかった。
「…………無人かッ!」
遠隔操作でこの機体を動かしている?だとしたら、止める方法は破壊しかない。柄を引いて斧で素早く首を撥ねた。ジ、ジジ…という電気が走る音がして、悪魔は停止する。斧の弱点あ、刃の付いていない場所に潜られるとそれだけで攻撃方法を失う事だ。この悪魔は武器を持っていなかったことから、簡単に予想できる。最大の武器は機体本来の力、速さ、そして、その手に元より付いているこの爪だろう。恐らく、超近距離を想定しての構成だ。黒い悪魔は動かない。
「ったく。甘ェよ。超甘ェ。よくまァそんな完成度で溜め込むなんて思いついたなお偉いさんはよォ」
荒々しい口調で男の声が俺の機体内に響いた。俺は警戒するために、機体を動かして悪魔から距離を取る。
「だから、甘ェっつたろォ?無人で動くティア。さっき殺したパイロット、機体内に響く俺の声。こンだけ情報が揃ってて、まずハッキングっつゥ可能性を疑わねェのが甘ェんだよ。普通なら機体を強制シャットダウンしてでもハッキングを止めるし、ファイアウォールだって脆弱。新米というより、誰が管理者だ?………ふン。レベル低すぎ。通信能力も疎かだし、何よりも視界の確保レベルが低い。こういうモンは振り向く動作も遅ェから後ろ取られると死ぬンだよ」
「こぉーんな風にな」
何時の間に………!?俺の機体の首元には湾曲した刃物は突きつけられていた。振り向く為の動作をしたが、機体が反応しない。ハッキングは事実か!?強制シャットダウンの後に、再起動すれば……!!
「だから甘ェっつてんだろ。さっき言った事繰り返すんじゃねェよ。馬鹿だなァほんと。ここまでくると哀れな子羊ちゃんだわ」
俺の指示もなしに、期待の首が強制的に回る。丁度180度、背後に迫った機体を死人出来る様になった。そこにいたのは黒ではなく、緑色をした機体だった。右手には、その機体の大きさを遥かに超える大鎌。造詣も、黒のものより少し目立つようになっていた。鎌の色は赤と黒。刃の部分はそのままの鉛色だった。
「よぉ、軍人さん。ぶっ殺しに来たぜ」
緑の機体の目の部分が赤く光る。緑の機体は駆動し、鎌の刃が着たいを狩り取っていく。回線は切断された。
「狩れ」
俺はこうして死、
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次回予告
今忙しいんです邪魔しないで下さい!




