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銃の効かない操縦士  作者: 木樵蝋梅
1日目
3/65

妹想いはいいのにシスコンは非難される不思議!

両親は研究員。俺達兄妹は実験台。そんな生活だった。妹はこの時9歳、俺は11歳。薬品の投与が、毎日のように行われる。幼い年日の体には酷だったろう。俺の体は薬に毒されていった。


ある日、薬品の投与中に研究員の話が聞こえた。俺は失敗らしい。これでもう薬品の投与はなくなるかも、と思った。研究員の会話は終わっていない。


妹のーー年日は成功らしかった。


なんだそれは。なにが成功なんだ。



ワカラナイ



妹ハドウイウコトカ、能力ガ発現シタ。


ドウシテ年日ナンダ?


ドウシテ俺ジャナク、妹ヲ犠牲ニシタ?


……………

…………

………

……

気が付くと俺は妹を抱えて外に出ていた。そして、妹を抱えていない左手にはなにやら設計図らしい紙があった。


「年日…年日!起きろ年日!」


俺は必死に妹の名前を呼んだ。妹の格好は緑色の手術服で、髪の色が抜けて白色になっている。


「んっ…年時、兄ちゃん?あれ…どうして…実験は……?」


目を開いた年日を見て、俺は驚いた。目の色が紅い。なんだこれは。薬品の影響だろうか。あんなふざけたもんに年日は体を毒されてしまったのか。ただの憶測でしかないが、そう思った。


「年日は、父さんや母さんの所にいたいか?それとも、俺と一緒に暮らしたいか?」


突然何てことを聞くんだ俺は。バカじゃないか?自分で妹を連れ去っておいて、今更聞いた所で何になるんだ?


養える訳がない。よくみると、俺も手術服だった。服も満足にない。宿もない。


そんなバカ兄貴について来るなんてあるわけがないじゃないか。


年日は弱々しくにこっと笑った。


「いいよ。年日は兄ちゃんと一緒にいたい。だって、母さまも父さまも目が怖いもん。でも、兄ちゃんはいい目だもん。優しい目。真っ赤で、真っ直ぐな目だもん」


「それが、本心か?俺に遠慮なんてしてないな?」


不安だった。半ば強引に連れてきた俺に問題がある。本当に、ここでは頷くしか選択肢はないじゃないか。


「…?遠慮なんてしてないよ?兄ちゃんが出してくれたんでしょう?年日ね、明日から血をいっぱいいーっぱい採られちゃう所だったんだもん。兄ちゃんは正義のヒーロー……にしては必死すぎたかな?兄ちゃんってば、研究員の人たちを殴り倒しちゃったもん。ちょっと怖かったな」


ははっ。妹には何か癒やし効果でもあるのか?気分が落ち着いてきた。


「んじゃ、今日からよろしくな、年日」


「うん。よろしく、年時兄ちゃん」


俺たち兄妹は一緒にいることにした。


その6年後、設計図が何かわかった。駆動鎧だ。その名の通り、動く鎧。中に入って人間が操縦する。戦争に使われる新兵器だった。でも、問題点があった。この理論じゃあ、駆動鎧は動かない。俺は自分で心臓の部分を新たに理論を加えて作ってみた。動力源はどこにでもあるような電力のみ。



動いた。



これでなんとか戦争を終わらせることにした。出きるかどうかはどうでもいい。やってみたい。兄妹はそう思って小さな穴に逃げ込んだ。そこには、明らかに他の子供と違う少女がいた。頭にバンダナを巻いて、右手には指輪。風貌はいたって普通なのに、彼女からは決意を感じる。


一言で例えるとすれば、凛々しい、だろう。


「なぁ、そこのお前さん」


俺はなんの躊躇もなく話しかけた。コイツとは気が合いそう……というのは違うな。


コイツならやってくれそうだ。


「何だ?……アルビノ?よく生きてたな。それで、要件があるのだろう?」


少女の声は透き通っていた。それなのに、芯の通っている不思議な声。


「戦争…俺たちでなんとかしねぇ?」


「……それは新手のナンパか?残念だ。私は今から忙しくなるのだから」


「言っておくけど、マジだぜ。俺ら」


「そう…なら見せて貰おうか。本気の所を」


そう言った時点でお前さんに拒否権はなくなるんだぜ?


「きな。俺の傑作を見せてやるよ」


そう言ったのが、始まりだった。

次回予告


「うるさい!!!!貴様は黙っておれ!!」


ー能力所持者、和音・F・アーンドラン

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