妹想いはいいのにシスコンは非難される不思議!
両親は研究員。俺達兄妹は実験台。そんな生活だった。妹はこの時9歳、俺は11歳。薬品の投与が、毎日のように行われる。幼い年日の体には酷だったろう。俺の体は薬に毒されていった。
ある日、薬品の投与中に研究員の話が聞こえた。俺は失敗らしい。これでもう薬品の投与はなくなるかも、と思った。研究員の会話は終わっていない。
妹のーー年日は成功らしかった。
なんだそれは。なにが成功なんだ。
ワカラナイ
妹ハドウイウコトカ、能力ガ発現シタ。
ドウシテ年日ナンダ?
ドウシテ俺ジャナク、妹ヲ犠牲ニシタ?
……………
…………
………
……
…
気が付くと俺は妹を抱えて外に出ていた。そして、妹を抱えていない左手にはなにやら設計図らしい紙があった。
「年日…年日!起きろ年日!」
俺は必死に妹の名前を呼んだ。妹の格好は緑色の手術服で、髪の色が抜けて白色になっている。
「んっ…年時、兄ちゃん?あれ…どうして…実験は……?」
目を開いた年日を見て、俺は驚いた。目の色が紅い。なんだこれは。薬品の影響だろうか。あんなふざけたもんに年日は体を毒されてしまったのか。ただの憶測でしかないが、そう思った。
「年日は、父さんや母さんの所にいたいか?それとも、俺と一緒に暮らしたいか?」
突然何てことを聞くんだ俺は。バカじゃないか?自分で妹を連れ去っておいて、今更聞いた所で何になるんだ?
養える訳がない。よくみると、俺も手術服だった。服も満足にない。宿もない。
そんなバカ兄貴について来るなんてあるわけがないじゃないか。
年日は弱々しくにこっと笑った。
「いいよ。年日は兄ちゃんと一緒にいたい。だって、母さまも父さまも目が怖いもん。でも、兄ちゃんはいい目だもん。優しい目。真っ赤で、真っ直ぐな目だもん」
「それが、本心か?俺に遠慮なんてしてないな?」
不安だった。半ば強引に連れてきた俺に問題がある。本当に、ここでは頷くしか選択肢はないじゃないか。
「…?遠慮なんてしてないよ?兄ちゃんが出してくれたんでしょう?年日ね、明日から血をいっぱいいーっぱい採られちゃう所だったんだもん。兄ちゃんは正義のヒーロー……にしては必死すぎたかな?兄ちゃんってば、研究員の人たちを殴り倒しちゃったもん。ちょっと怖かったな」
ははっ。妹には何か癒やし効果でもあるのか?気分が落ち着いてきた。
「んじゃ、今日からよろしくな、年日」
「うん。よろしく、年時兄ちゃん」
俺たち兄妹は一緒にいることにした。
その6年後、設計図が何かわかった。駆動鎧だ。その名の通り、動く鎧。中に入って人間が操縦する。戦争に使われる新兵器だった。でも、問題点があった。この理論じゃあ、駆動鎧は動かない。俺は自分で心臓の部分を新たに理論を加えて作ってみた。動力源はどこにでもあるような電力のみ。
動いた。
これでなんとか戦争を終わらせることにした。出きるかどうかはどうでもいい。やってみたい。兄妹はそう思って小さな穴に逃げ込んだ。そこには、明らかに他の子供と違う少女がいた。頭にバンダナを巻いて、右手には指輪。風貌はいたって普通なのに、彼女からは決意を感じる。
一言で例えるとすれば、凛々しい、だろう。
「なぁ、そこのお前さん」
俺はなんの躊躇もなく話しかけた。コイツとは気が合いそう……というのは違うな。
コイツならやってくれそうだ。
「何だ?……アルビノ?よく生きてたな。それで、要件があるのだろう?」
少女の声は透き通っていた。それなのに、芯の通っている不思議な声。
「戦争…俺たちでなんとかしねぇ?」
「……それは新手のナンパか?残念だ。私は今から忙しくなるのだから」
「言っておくけど、マジだぜ。俺ら」
「そう…なら見せて貰おうか。本気の所を」
そう言った時点でお前さんに拒否権はなくなるんだぜ?
「きな。俺の傑作を見せてやるよ」
そう言ったのが、始まりだった。
次回予告
「うるさい!!!!貴様は黙っておれ!!」
ー能力所持者、和音・F・アーンドラン




