こういうのって吹っ切れた方が勝ちだと思うんだ
戦争は、日本とアメリカで始まった。理由は覚えていない。
確か、国際的な問題だった気がする。日本は東の国々を、アメリカは西の国々を占領していって、何時しか西と東で世界中を巻き込んで戦争をした。
私、和音・F・アーンドランはどこで生まれたのか覚えていない。日本でもアメリカでも名を名乗れるようにミドルネームまでつけた。
学校なんてない。毎日子供は銃弾を恐れて穴から出ない。大人は戦争に駆り出されて殆どが孤児となっている。
でも、私は銃弾が怖くなかった。
どういう訳か、銃弾が私の体に近づくとその場に落ちる。生まれつきそうだった。
このことは、両親しか知らない。今となってはもう両親もいないけど。
身長は160弱ほど。右の人差し指に母さんの形見の指輪をはめて、頭に父さんの形見のバンダナをしている。そのほかに私の特徴はない。
目はみんな黒だし、髪も黒。何人かは違った子もいるけど、殆どが一緒の色だ。
第一、違いは目立ってしまう。
目立つ存在から、どこかへ行ってしまった。
よくご飯を食べる悪ガキもどこかに行ってしまった。
一際美人だった女もどこかへ行ってしまった。
今この穴にいるのは約50人くらい。もしかしたら死んでいる子もいるかもしれない。
ここにいてもラチが開かない。
わかっている事だけど、誰もそうしようとは思っていなかった。理由。ただ一つの簡単な感情。いや、本能と言い換えても良い。恐怖心。死への感情が、そうさせていた。
ここから出てみようか。
私だけは、そう思っていた。
そう、でてみれば何かできるかも。
戦争が終わるかもしれない。
しれない、だった。可能性は極めて低い。私だけでは、ただの子供の反逆にしかならない。ダメージすら入らないだろう。だがしかし、人員を増やせば。大きな勢力を結成し、どちらか一方の軍を制圧できれば、戦局は変わるかもしれない。一種の懸けだった。
参加しようか。
後悔どころか、ここにいたところで変わるわけでもないし。なにより、狂って壊れた私に、余生を楽しむ事なんて出来ないだろう。ならば、この戦争で命を落とすのも、いいかもしれない。
さ、行くとしよう。
この馬鹿げた大人のお遊びに、ね。
次回予告
「きな、俺の傑作を見せてやるよ」
ー年時・B・グリモア




