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第9話

 小屋を出た。

 医者の日記によると大通りに出て、広場の真ん中に建っている建物が『冒険者ギルド』らしい。


 「こんな早くに冒険者ギルド開いてるかな?」と思ったけど、医者の日記に書かれていた通り、冒険者ギルドは朝市より早く開くらしい。

 理由はモンスターは夜行性のヤツが多くて、夜は動きが活発になって場合によっては手がつけられなくなるらしい。

 だから冒険者の多くは夕方には仕事を止めてしまうとの事だ。

 そうしないと、活発に動き回るモンスターを相手にしなきゃいけない。

 その代わり、早朝、冒険者が動き出すのは物凄く早い、との事だ。

 それに合わせて『冒険者ギルド』も動いているから『冒険者ギルド』は早朝から開いている・・・というわけだ。


 言葉は通じるとの事。

 しかし肝心の『冒険者ギルドで何をやらなければいけないか?』が俺にはわからない。

 「裸で踊れ」と言われても「そういうものなのか?」と思いながら、全裸でジャンプしてしまいそうだ。

 誰でも『冒険者』になれるものなのか?。

 冒険者になるための資格試験があるのか?。

 まあ、考えてもしょうがない。

 俺は受付に座っているイケメンに声をかけた。

 「冒険者になりたいんだが・・・」俺は端的に声をかけた。

 最後まで言わなかったのは「後はどうすれば良いか?」を向こうで判断してもらおうと思ったのだ。

 つまり俺は冒険者になるためにしなきゃいけない事を知らない。

 まさか『冒険者になりたいんだが、さてスリランカの首都はどこでしょう?』と続くとは思わないだろう。


 イケメンはチラリとこちらを見た。

 「じゃあ適正検査をやるから、この水晶に手を置いてもらえるか?」

 水晶?

 あぁ『水晶』って言ったらよく占い師が持ってるガラス玉みたいな透明な丸いヤツだと思った。

 『水晶』って言ってもFFに出てくる宝石の結晶みたいなもんなんだ。

 つーか、何だよイケメン。

 普通、冒険者ギルドの受付って言ったら、ちょっと訳ありの元冒険者の女の子じゃねーの?。

 ちょっとした事をきっかけに、冒険者(オレ)と恋物語が始まるんじゃねーの?。

 男の受付、しかもイケメンなんて一番いらない。

 世の中には『需要と供給』というものがある。

 デパートとかに出掛けた時、インフォメーションの受付のお姉ちゃんが可愛いのは『日本が男社会だから』かも知れない。

 だって男からしたら、あぁいう受付って綺麗な女の子のほうが気分良いもん。

 医者の日記が言うには、女性の冒険者の方が多いらしいし、だから受付がイケメンなのかな?。

 ・・・まったく、誰得だよ?。


 俺はブツブツ言いながらも水晶に手を置いた。

 「貴方の適職は『格闘家』ですね。

 もちろんこのアドバイスに従わず、別のジョブについてもかまいません。

 あくまでも適職のアドバイスです。

 『このジョブなら成功しやすい』というだけで成功を約束するものではありません。」とイケメンが事務的に言う。


 おぉ!格闘家か!

 悪くない。

 つーか、俺は日本でボクサーになりたくて、ボクシングジムに通おうとした。

 格闘家になりたくて夢破れたんだ。

 言ってみれば格闘家は日本にいた時の俺の『第一志望』みたいなモンだ。


 俺が満更でもないと思っていると、周囲が俺を同情の目で見ている事に気付いた。

 「もしかして武闘家ってあんまり人気ないの?」俺は受付のイケメンに聞いた。

 「人気もないけど・・・僧侶の下級職扱いなんだよ」とイケメン。

 「僧侶?」と俺。

 「そう。

 『格闘家』の上級職が『戦闘僧(モンク)』、『戦闘僧(モンク)』の上級職が『僧侶』。

 因みに『僧侶』にはいきなりでもなれるからね。

 まあ、ハズレジョブだよね。」とイケメン。

 「じゃあ、俺もいきなり僧侶になれるの?。」と俺。

 「魔力が少しでもあればね。

 男はだいたい魔力はあるみたいだし、最初『0』でも成長とともに魔力も育つものだからね」とイケメン。

 俺は医者の日記に書かれていた事を思い出していた。

 「日本から来た人は、おそらく魔力は『0』だ」

 つまり、俺は最初魔法は使えない。

 最初使えないだけなら良い。

 ずっと使えないままならどうしよう?。

 そうしたら俺は下級職のまま過ごすのだろうか?。


 他の人は知らない。

 俺は昔から『格闘家』に憧れてたのだから、他に道があろうと『格闘家』を選ぼう。

 ましてや他に道がないのだから、迷う必要などあろうか。

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