第14話
深夜の中学校の校庭に忍び込み、鉄棒で懸垂をしていた。
公園にも鉄棒はあるにはあるが、低すぎる。
近隣住民に「イラン人みたいな格好した男が、ひたすら鉄棒で懸垂してて気持ち悪い」と警察に通報したようで俺は職務質問を受け、不法侵入をこっぴどく叱られた。
「何で中学校に侵入したんだね?。
校門は閉まってたはずだよ?。」とお巡りさん。
「金がなくて、タダでトレーニング出来るところがここしかなくて・・・。
悪い事だってわかってはいたんですが・・・。
昼なら、市のトレーニング施設なんかで無料で借りれるところもあるんですが。
夜中は・・・申し訳ありません!。
最強の格闘家を目指してるんです!。」と俺。
「・・・見逃すのは今回だけだからな!。
俺も昔はオリンピックの柔道で金メダルを目指してたから気持ちはわかる。
・・・と言っても全日本強化選手止まりだったけどな。
トレーニングしたくてもトレーニング施設を借りる金がないんだよな。
ただただ夢をかじって生きてたな・・・。」お巡りさんは自分の過去に酔っているようだった。
俺が思っている以上に最強を目指している人間や、かつて最強を目指していた人間は多いのかも知れない。
しかし経済面など、どうしようもない事情で挫折せざるを得なかったり、夢半ばで同じ夢を抱いているヤツに叩き潰されたりしたのだ。
俺のように「もしかしたら最強になれるかも知れない!」と状況に恵まれているヤツは珍しい。
ただ一つ気になっている事がある。
『魔力』だ。
ステータスは『4×0』だった。
右側が『0』である限り、左側の数字がいくら大きくなっても結局は掛け算で『0』になってしまう。
つまり日本で魔力を上げなくてはならない。
無理ならば諦める。
しかし無理じゃない。
医者は異世界に来る前から『魔力:3』だった。
つまり日本にも少ないが魔力という物がある、という事だ。




