43 周辺制圧、しかし欲しい情報は得られず
怪物潰しの日々が続く。
一つにまとまってより大きな集団にならないように。
そうなる前に、出来るだけ小さな段階で怪物を駆逐する為に。
ヒロキ達は手の出せる所から怪物達を倒していった。
レベルが上がり、相手に出来る数が増えたのは大きい。
レベル8程度の怪物の集まりなら、労せず倒せるようになっていく。
おかげで、200匹くらいの集団でも臆すことなく挑める。
安全圏がひろがり、不安が消えていく。
身の危険は確実に減った。
あとは世の中が落ち着いてくれればいいのだが。
それは期待出来そうもない。
そして、ユウマの恋人だ。
こちらも情報は全く手に入らない。
今どこにいるのか不明なままだ。
恋人の住んでいる地域から離れてるせいもある。
怪物に捕まってるにしても、人間があつまってる所に避難してるにしても、詳細は現地でないと分からない。
調べるとしたら、そちらに出向く必要がある。
そうすれば、ヒサトモの能力で調べる事も出来る。
ヒロキの会社の近くに止まってるよりは良いだろう。
それでも見つけられないかもしれないが。
その時は、別の場所を探せば良いという事が分かる。
幸い、レベルも上がった。
ある程度の無理はきく。
安否確認の為にも、出来るだけ早く行動した方が良い。
近隣の怪物の集団も減った事だし、遠征ついでに調べるのもよい。
「どうする?」
方針決定会議の場でヒロキは尋ねる。
「そうしてくれると、俺はありがたいけど」
遠慮がちにユウマは遠征に賛同する。
恋人が心配なのが伝わってくる。
さりとて、個人の理由のために仲間を巻き込むのも気が引ける。
そのため、どうしても積極的になれないでいる。
それが伝わってくるから、ヒロキ達は協力しようとしていた。
どうせ怪物と戦わなくてはならないのだし。
だったら仲間の問題解決も兼ねていきたい。
「俺は構わない」
「俺も」
コウシロウもヒサトモも遠征に賛成する。
「なら行こう」
次の目的が決まった。
そんな仲間に、
「ありがとう」
ユウマは頭を下げた。




