28 そこにいた者達
(あれか?
何の意味があるんだ……)
直観が示すには、その三人が何らかの意味があるはず。
だが、それが何なのかは分からない。
悪いことではないはずなのだが。
(でもなあ……)
さすがに慎重になる。
直観が示してるなら、何らかの意味がある。
そして、悪いものなら悪いと分かる。
良いことならば、それも分かる。
感覚的に分かるのだ。
今は良い感覚をおぼえてる。
だから、三人が悪いものではないは確かだ。
彼らと合流するべきだという事も感じる。
あまり人との接点を増やしたくないヒロキだが、ここは持論と信条をねじ曲げる。
これまで良い結果をもたらしてきたのが直観である。
その指示を損なっても良いことはない。
そう思って近づこうとした時だ。
双眼鏡の中にとらえていた者が立ち上がる。
一行の中にいる者がヒロキの方を向いて手を振ってくる。
双眼鏡で見てようやく分かるくらい距離があるのにだ。
なんで、と思ったがすぐに納得する事にする。
こんな状況だ。
ヒロキのように何かに目覚めた者もいるだろう。
その能力でヒロキに気付いたのかもしれない。
一緒にいる二人も、手を振ってる者に続いてヒロキの方を見る。
そちらうちの一人は、ヒロキの方を見てる。
姿が見えてるのかもしれない。
(しょうがない)
居るのは露見してるようなので、三人の方へと向かっていく。
直観を信じて。
歩み寄ったヒロキの前に、男が三人出てくる。
見たところ、10代くらいと20歳前後、それと30代から40代といった者。
年頃がみごとにばらけている。
どういう集まりなのか今ひとつ分からない。
それでも、
「どうも」
声をかけていく。
挨拶は大事だ。
相手も「こんにちは」「おう」「やあ」と返してくる。
敵意は無いように見える。
警戒もしてるようだが、この状況だからしょうがない。
ただ、最も若い10代の少年はそうでもない。
気安いという程では無いが、あまりヒロキを警戒してない。
「待ってました」
少年はヒロキに向かってそんな事まで言う。
わけが分からなくなるヒロキだが、構わず少年は続ける。
「みえますから、色々と。
あなたと同じで」
そう言われてヒロキは驚く。
「…………お前もか?」
「はい」
すぐに少年は頷いた。




