29 三人の『鑑定』結果
「そうか」
少年の短い言葉に何となく察する。
少年も何かしら分かるのだろうと。
『鑑定』を使って調べてみる。
失礼かもしれないが、気にしてられない。
相手がなんなのか分からないとどうしようもない。
少年は自己申告通り、見える人間だった。
『超感覚的知覚』という能力を使う。
遠くを見る望遠や、壁などをすり抜けて見る透視といった事が出来る。
これを見るというだけではなく、聞く・嗅ぐ・触れる・味わうといった五感全てを使って行う事が出来る。
また、その場で起こった出来事を見る『過去視』
そこで起こるだろう出来事を見る『未来視』
思い出の品などから記憶や出来事を読み取る『物品読みとり』
さらには、人の頭や心をのぞき込む『精神感応』
相手に意思を伝える『思念伝達』
こういった事を少年は可能としている。
「森尾ヒサトモです」
ヒロキが『鑑定』をし終わったのを見計らったように名乗ってくる。
実際、彼には見えてるのだろう。
ヒロキが能力を使ったところが。
「よろしくな」
一応、そう返していった。
ついでに他の二人も見てみる。
すると、少年とは違うが能力を備えていた。
「笠立ユウマだ。
よろしくな」
20歳前後に見える、ヒロキと同年代の男。
こちらはヒロキと同じ『錬気・操気』を使う。
その発展で、己の身体能力の『強化』
気を飛ばし、変化させて攻撃する『火炎』や『冷気』
主に攻撃に特化した超常能力をもっている。
それだけではなく、ちょっとした体の動きから、運動能力が高いことも覗える。
話し方や人との接し方も明るく朗らかで好感が持てる。
顔の作りや背の高さなどもあるのだろう。
ヒロキからすれば悲しい事だが、どちらもヒロキを上回ってる。
なお、ヒロキはごく一般的な見た目と体格。
不細工ではないが、美形ともいえない。
本当にごく普通というあたりだ。
「隠岐コウシロウだ」
一番年かさの男。
30代後半から40代くらいだろうか。
この男もやはり能力を持っていた。
怪我や病気を治す『治癒』
その発展で、体を守る『防護』
ある程度の広さの場所に誰も入ってこれないようにする『結界』
主に守りを主体とする能力の持ち主だった。
名乗ってきた三人にヒロキも名前を伝える。
「真名賀ヒロキ」
そう言ってあらためて三人に尋ねる。
「あんたらも何か見えるのか?
それか、何か使えるとか」
問われてユウマとコウシロウは頷く。
「俺は火とか氷を出すことが出来る」
「俺は治療だな。
体を守るとか、部屋の中に他の者が入ってこないようにとかも」
嘘は吐いてないのが分かる。
正直なのか、ヒロキを信じてるのか。
簡単にばらして良いのかと不安にもなる。
「もう分かってるから」
ヒロキの気持ちを読んだのだろう。
ヒサトモが声をかけていく。
「ここに来た方がいいのが」
「そういう未来を見たのか?」
「まあ、そんな所」
そう言ってヒサトモは肩をすくめる。
ユウマとコウシロウは顔を曇らせる。
それだけで良からぬ事が起こったのだろうと察した。
「分かった」
ヒロキも短く応じる。
「信じるよ」
ヒサトモの言葉を。
そして、ヒロキの『直観』などを。
その能力が伝えてくる。
彼らが必要だと。
だから彼らと合流する事にした。




