第五話〜お葬式〜
春の幼馴染、咲楽奏音視点です
先日、私の幼馴染の春が亡くなった。今日はそのお葬式。彼は人気があった。文化祭の時に女装させてみたのだが、予想はしていたけどとても似合っていた、彼自身は知らなかったと思うが、メイドの人気投票で31人中4位になっていた。
クラスメイトや彼の親戚の殆どは彼の死を悲しんで泣いている。
私は泣けなかった。しかし、疑問には思わない。彼は私の玩具なのだから。道具は所詮使い捨て、無くなったなら新しい物を見つければいい。それでも、彼を失うは少し惜しい。女のような男で、ご飯が美味しくて、清潔感があって、恥ずかしがり屋で、からかうと反応が面白くて、結構真面目で、だけど成績は良い方ではなくて、教えがいがあって、子供が好きで、ぬいぐるみが好きで、甘いものが好きで、見ているだけで楽しめた。考えればまだまだ出てくる。
(次の玩具候補は決まっているけど、どれが一番私をせ楽しませてくれるかしらね)
葬儀の時間となり、春に挨拶をしに行く。彼は動かない、白い肌に触れてみるが冷たい。当たり前。私は密かに彼に生きていてほしいと思っていたようだった。おそらく玩具がいなくなったことによるストレスが原因だと思い、頭から振り払う。
「春、今までありがとう」
いくら玩具だろうが私を楽しませてくれたことには感謝する。真っ白な百合の花を添えて、私は元の場所へと戻った。
お葬式が終わり、春の入った棺が運び出されるのを眺めた後、私は帰路に就いた。
家に着くと、私の足は無意識に自分の部屋へと向かった。私の家は防音設備がされているため、ここなら、誰にも聞かれることは無い。
しかし、なぜ?聞かれたいことなんてないはずなのに……
「春にもう会えない……」
無意識にその言葉が口から零れると、私の頬が濡れた。私は部屋に置いてある鏡台を見る。そこに、涙を流している私の姿が映っていた。
「なんで?なんで私は泣いてるの?私が泣く理由なんてないはずなのに……」
いや、泣いている理由はある。
「春。そんなに春が死んだことが悲しいの?私は。なんで?なんで私は玩具のことなんか悲しんでるの?玩具は使い捨てでしょ?いなくなって当たり前でしょ?」
自分にそう言い聞かせるが、涙が止まる様子は無い。さ彼のことを口に出すと、中でグチャグチャになっている曖昧な気持ちが大きくなっていく。
(なんなの?この気持ちは?分からない、分からない)
グチャグチャな曖昧な気持ちが何か考える。考えても全く分からないが、この気持ちは大事なものな気がして、私は考え続ける。
その日、ご飯も食べず、眠りに就くまで考えたが、さっぱり分からなかった。




