13.去るモノと迎えるモノ
今までどこに入れるか迷っていて結局入れずにいた、サイドストーリーを8話目の後に入れました。
ぜひ読んでいただけると嬉しいです。
池田が去ったあと、とりあえず店を出てからどうしようかと悩むが、別にこいつと一緒にいる必要もないのでは?と思い直し、
「じゃあ俺買い物でもして帰るわ」
と去ろうとすると、後ろから服の裾を掴まれ、つんのめって転びそうになった。
危ねえな。一歩間違えば傷害事件だぞ。
「あ、あの・・・せっかくだし、もう少しご一緒していただけると、その、嬉しいんですけど」
・・・俺は一生懸命断る理由を探したが思い当たらず、従うしかないのであった。
もうちょっと頑張れよ、俺の頭。
ショッピングモールに連れて行かれ、結局18時近くになって解放されるまで、ひたすらに付き合わされたのであった。
ちなみに、発生した会話は、保坂の質問に俺が答えるだけというなんともつまらないものだった。
俺にコミュ力を求めないでくれ・・・。
保坂と別れ、スマホを見ると十数分前に瑛理からメッセージが来ており、友達が帰ったことを知った。
俺も今から帰ることを返信してから帰宅の途についた。
「ただいまー」
「あ、おかえり!」
帰宅すると、瑛理が出迎えてくれるが、どこかいつもと違う。
「ん?どした?顔が少し赤いか?」
「え!?ううん、なんでもないから大丈夫だよ!」
「そっか。ならいいけど」
「うん!さ、ご飯にしよ!」
お、なんだか今日のご飯は気合が入ってるな。
なにかいいことでもあったか?
今までは、連休明けというのは仕事が待っているというだけで、ただただ憂鬱で仕方が無かった。
でも今は少し違う。
瑛理と一緒にウマい飯食って、風呂入って、瑛理の髪を乾かして、寝て起きればウマい朝食が用意してある。
そして仕事を終えて帰れば、笑顔で「おかえり」と言ってもらえる。
仕事は嫌だけれど、そんな日常があるだけで、頑張ろうと思えてしまう。
人間とは不思議で単純な生き物だなと思った。
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