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プロローグ

ダンジョン系のテンプレを書いてみたくなったので書いてみました。

更新は完全に不定期です。

設定などは今後も大きく変わる可能性が高いです。

それでもよろしければお楽しみください。

 ―――俺は何をされているのか一瞬理解出来なかった。




 いや、その行為自体は理解していた。だが俺の頭が理解したくなかっただけだ。そんな事は有り得ないと。



 俺の唇に重ねられた柔らかな唇は僅かに湿り気を帯びていて、そこの隙間から伸ばされた舌が俺の口の中に入り込み、音を立てながら中を激しくかき回す。

 コイツを少しでも引き剥がそうと試みるが全く力が入らない。恐らくは麻痺毒の類かそれとも神経ガスか。



 決してその唇の柔らかさが、濡れた舌が、情熱的に求める吐息が俺をそうさせている訳では無いはずだ。そう自分に言い聞かせながらも何とか力を込めて押し返そうとすると、俺の手が柔らかいものに沈み込む。




「んゥッ♡……あァ嬉しいヨ、やっとその気になてくれたんだネ♡」




 俺を押し倒して唇を奪っていたコイツは、甘い吐息を漏らすと同時に更に激しさを増し、俺の舌をその艶のある唇で挟みながらジュルジュルと音を立てて強く吸い込み舐め始める。



 人間離れしたメリハリのある肉体に、思わず見とれてしまうその美しさ。突如現れたコイツを見たその時から俺は完全に飲まれてしまっていた。

 それはそうだろう。まともに女性との付き合いをして来なかった俺は高校を卒業と同時に探索者になる道を選び、そしてそのまま八年が経過してしまっていたのだから。



 唇を奪われ舌を吸われながらも俺は考え続ける。



 そもそもどうしてこんな事になっている?ここにはモンスターも『守護者《ボス》』もいないんじゃなかったのか?

 いや、仮にモンスターやボスだったとしてどうして俺はコイツにキスをされている?しかも俺が昔経験した啄むような優しいものではなく、唾液すら全て吸い込む勢いで吸い付いて来る激しいキスなのはなぜなんだ?



 そんな事を考えていると、コイツは吸い込み舐めをやめて今度はまた俺の口の中に舌を入れて激しく絡ませて来た。正直な話、コイツのテクニックで俺はもう反抗する気力すら失っている状態だったが、それでも頭で考える分には問題は無い。



 冷静になって考えろ。ここは罠が多いダンジョンだ。つまりコイツはモンスターでもボスでも無く罠であると考えるのが妥当だろう。男の探索者を狙った罠?いや、可能性があるのであれば性別によって見える姿が違うというのが最も高いだろう。

 だがそんな罠の存在など聞いた事が無い。それもこんな低級のダンジョンで。そういった魔法を使うモンスターもいるとは聞くが、それはB級以上のダンジョンに出現する『写し鏡(ミラーズ)』というモンスターのはずだ。




 そうこう考えている内にいつの間にか相応の時間が経っていたのか、艶めかしい音を立てながら顔を離したコイツは、その長い睫毛で縁取られている綺麗な目をゆっくりと開いた。



 宝石の様な赤い瞳が俺の瞳と交差する。



 その美しい瞳には本来であれば在り得ないはずの感情が宿っている。少なくともこうして唇を重ねた俺にはそう見えていた。




「あァ、ずっとこうしたかったんダ……♡」




 まるで恋する乙女のようなそんな顔をしていた。そんな顔で俺を愛おしそうに見つめていた。




「愛しているヨ、ダーリン♡」




 俺に愛を囁いた彼女は、再び目を閉じて俺に唇を重ねた。





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