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心春凪

○「…だから殺そうと思ったんだ。だって可笑しいだろ、アイツがいない方がみんな幸せに生きられる。」


●「ちょっと待ってくれ…お前本当に何もしてないんだよな?」


良い酒を貰ったので友人に振舞おうと思っただけの素敵な金曜日なのに、なぜ俺は事件の取り調べのようなことをしているのだろう。

こんなことは今すぐにやめたいのだが、目の前のコイツが殺人犯であるのならば、悠長に酒を飲んでいる場合では無い。続きを促す他なかった。


●「おい、なんで黙るんだよ。…奏斗?」


○「してないさ、未遂だけどな。俺は本気だったんだよ秋。綿密に計画を立てたし本気でアイツを殺すつもりだった。でも最後の最後で重大なミスに気がついた。」


●「なるほどな、お前が人殺しにならなくて良かったよ。」


俺はこの部屋に入った時から気になっていた雑に開けられたAmazonの箱に目をやった。そこには彼が凶器として用意したであろう灰皿が入っていた。それも信じられないくらい巨大な。


●「なんの用途でこの大きさなんだよ…。」


○「パーティーグッズらしい。『灰皿 殺人用』で調べたら出てきた。これ20kgあんだよ。」


●「はぁ……。」


奏斗はピアノを弾く。そしてその手をとても大事にしている。まるで呪いのように。彼はこのバカみたいな凶器を振り上げて振り下ろすという作業で手を痛めることを恐れたのだろう。まず人を殺した手でピアノを弾くつもりだったところからどうにかして欲しいものだ。いや本来は人を殺すべきではないのだが。


○「次は縄か刃物かな…あるいは…」


●「お前ピアノ以外いいとこないよ、ほんと…。」


俺と奏斗は小学生時代からの友人だ。

所謂幼なじみで、お互い成人し社会人になった今でもその関係は続いている。幼なじみだからといって、別にお互いが特別なわけではない。ほかに友人もいるし、旅行へ行ったり遊びに行ったりもしない。ただ例えば、俺が人を殺してしまったら、俺は奏斗に相談するだろう。そして彼も、それは同じなのかもしれない。今回も似たようなものでもあるしな。


●「まあいいや、とりあえず飲もう。せっかくこんなにいい酒が手に入ったんだから。」


○「うん、お前よくやったよ。次はアイツを殺した時の祝い酒を頼む。」


●「お前素面でそれなの?」


軽口を叩きながらも乾杯を交わし、夜は更けていった。この時間がたしかに幸せだった。

心配事の9割は起きないとはいうが、それこそ何かを危惧し、心配しているうちは何も起きない。

何か日常を壊すような良くないことが起きるとしたら、それは唐突に、誰も予想出来ないところからやってくる。

初挑戦で右も左も分かりませんが、楽しんでいただけたら幸いです。

私自身も楽しく書けたらと思いますので何卒よろしくお願いします!

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