52話 お家に帰るまでが旅行です
ガラガラと夜道にスーツケースの転がる音がふたつ響く。
「はぁ~~……なんか、どっと疲れたわ……」
「あはは……お疲れさま」
目森と真桐を両親へと引き渡し、あとは瑞希を家まで連れて帰れば、この旅行も終わりだ。
実家は予想通りというか、百鬼夜行が霞みそうなほどに頭痛がしたが、スマホの通知に画面を見ては楽しそう気にしている瑞希に、白亜も自然と表情が緩んでいた。
「でも、楽しかったね」
「ほんなら、よかったわ」
「まぁ、途中から白亜、色々大変そうだったけど……」
「ホンマにな。あのアホ狐共……」
百鬼夜行なんか正直どうでもいいレベルだ。
この疲れの9割は、来夢の手伝いだ。
「狐の悪評の煮凝りやからな。アイツら」
「そ、そうなんだ……」
白亜の言葉に、まだ理解しきれなさそうな表情をしている瑞希に、まだあの狐たちの毒牙が瑞希にかかっていないことを証明していて、胸を撫でおろしてしまう。
「あ、お姉ちゃんたち、まだ神社にいるって」
「祭りも近いもんなぁ……」
「じゃあ、神社の方寄ってから帰ろう」
お土産渡してこようと、嬉しそうに表情を輝かせている瑞希に、白亜も頷き返す。
「荷物は自分で持つんやでー?」
「だ、大丈夫だよ! それくらい!」
少しだけ意地悪に白亜がそう口にすれば、瑞希は恥ずかしそうに顔を赤くしながら、スーツケースを持ち上げて階段を上っていく。
半ば意地になりながら、階段を上り切った瑞希は、息を切らして、まだ明かりについている神社に向かう。
「ただいまー!」
「戻りましたぁ」
扉を開けながら、ふたりの声が響けば、奥から返ってきた声に、瑞希は廊下を歩きながら話を続けていた。
「情緒ないなぁ……ホンマに」
そんな瑞希が置いていったスーツケースの隣に、自分の荷物も置くと、白亜も瑞希のあとをゆったりと追いかけるのだった。




