第35話 掴んだ手がかり
翌日、スワームは俺が頼んでおいたことをするために一度離れ、俺とハプルと昨日と同じように迷子の少女の捜索を再開していた。
しかしこれがまた全然見つからない。実のところ、ここで彼女を見つけた場所についてはストーリー内でも敢えてフワッと抽象的に書いており、俺自身そこがどこに該当するのかがハッキリ分からなかったのだ。
だがこれ以上時間を延ばしている場合じゃない。この先のストーリーの展開として今日迷子の少女を見つけることは確定しているのだ。
なので俺はせめてそれに繋がる手がかりだけでも見つければと目を懲らして探し出していた。関係のない周囲の人から見れば必死すぎる姿にさぞ気味が悪がったことだろうな・・・
だが俺の努力もむなしく、昼頃になっても全く情報すらなかった。俺は前世でのこういうところを細かく描写するべきだったと思った。そのせいで、ストーリーに違いが出来る要因が出来てしまうのだったのだろう。
今回もそうだ。俺が何も役に立てていなかった中、ハプルの方は違っていた。彼女は昨日言ったところとは別の町で情報を集めていた。その中で、手がかりを掴んでいたらしい。
「町外れの路地?」
彼女はその町の果物屋の店主に貰った似顔絵を見せたところ、返答があったらしい。
「ああ、そうだ。二日前、仕事の帰りに見かけてな。場所に似合わねえ格好をしてたから、良く覚えてるよ。」
「場所に似合わない? それってどういう・・・」
ハプルはそこで店主から聞いた話を元に、その場所を調査してみたようだ。残念ながらその場に捜していたアルフの姿は見当たらなかったが、次の手がかりとなるものが落ちていた。
「これって・・・」
そこで見つけたのは、統一性のない果物やパンなどの食べ物が一部だけかじられて無造作に散らかっていたのだ。ハプルはこのことに色々と悪い予想を思い当たった。
『これって・・・ 何かあったって事よね。それも、かなり悪い意味で・・・』
相次がそう確信した理由。それは食べ物と共に残っていた痕跡から見れば明らかだ。何せ、少量の血の跡が点々と続いていた。
『途中で転んで出来た怪我にしては血が少ない。それにこの急場しのぎで手に入れたような雑な食料・・・
昨日の依頼人の焦りようから見て取れたけど・・・ この依頼、ただの迷子捜しではないわね。絶対に何か裏がある。』
ハプルはその点々と続いている血痕を見て、この先に何があるのかを少し不安を感じながら進んでいくことにした。
そしてそこから先には、彼女にとっての大きな苦労が待ち構えていた。
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瓜『二人のようにハッキリ話せたらなあ・・・』
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