第11話 ウィントライ国
ハプルの手助けもあり、その後は特に問題に遭遇することもなく順調に旅は続いていき、数日してついに俺達は隣国『ウィントライ国』の国門にまでたどり着いた。
「ハァ・・・ 気軽な冒険と違って疲れたなぁ・・・」
旅路についてきた兵士の一人が、国門の警備兵に近付いた、そこで警備の許可を取り、国の境になっている大きな門を開けて貰った。ギギギギと鈍い音が響きながら国門は開き、俺達はそこをそそくさと進んでいった。
そして俺達は早速この国の王城へと向かっていった。その道中、人通りの多い道に行くと、何故か周りの人達は全員頭を地面にこすりつけている。どうにも見てて変な気になっていると、路地裏の方から一人の子供が飛び出してきた。
「あっぶね!!・・・」
突然のことに俺達王女一行が急いで足を止める。危なかったが、どうにかギリギリの所で止まれた。
「フゥ~・・・ やばかった~・・・」
「ウワッ!! なんか急に止まったわね。」
「何かあったのかな?」
馬車の中にいた二人は知るよしもない。しかし問題はむしろここからだった。無邪気に首を傾げている子供に、母親が急いで詰め寄り、外野の人達と同様に頭を下げてきた。
「申し訳ありません!! 申し訳ありません!!!」
『さっきと同じだ。どうにも、この人達の態度が必死すぎる。何故だ・・・』
その答えはすぐに分かったしまった。俺達の案内をしていたこの国の兵士が、母親を突き飛ばして子供をぶったのだ。それが見えた俺はすぐに馬を降りて更に親子を殴りかかる兵士を止めにかかった。
「何してんだお前!!?」
「何とは? 無礼者を処罰しただけですが。」
「やり過ぎだろ! いくら何でも!!」
俺は必死に声をかけて兵士の腕を掴んだ。
「はやく逃げろ!」
「は、はい! ありがとうございます!!」
丁度親子を逃がし終わった後、腕を掴まれていた兵士は力ずくで俺の拘束を振りほどいた。俺とそいつは険悪な目線を向ける。
「スカイリブの兵士殿。今回は特別に許しますが、ここでは平民が王族に逆らう事は決してあってはならないことなのです。これ以降は、ウィントライの法に従ってください。」
「・・・」
まるで人を殴ることが当然のことのような言い回しに俺は腹が立ったが、これ以上この場でもめ事を起こすのも周りに迷惑をかけることに気が付き、ここは折れることにした。
馬車に乗っていた二人にはウィントライの兵士から少々改編された話が伝えられ、俺達は再び出発していき、そこからは問題も無く目的の城にたどり着いた。
この時から俺は、自分の書いていたストーリーとも照らし合わせ、これからの事に対して胸騒ぎがしてならなかった・・・
弁「全階はすみません。よろしければ、『ブックマーク』と『評価』をよろしくお願いします。」
イグル「普通にやってくれてるのに・・・ 何だこの物足りない感・・・」
『魔王子フレンド~私と異世界の赤鬼さん~』もよろしくお願いします!!