第十五話「湿原ですわ、おほほほほ」
魔道荷馬車(馬はいない)に馬が乗っている。
荷馬車はロープで魔道荷馬車(馬はいない)と繋がれている。
そのロープは中間に白い布が取り付けられている。
アプリシア商事第二営業部第三営業課長であるクレトップ・ツイストペアは荷馬車に乗って重心のコントロールだけしている。
魔道荷馬車(馬はいないが乗っている?)の車列は湿原の中の道を進んでいた。
湿地の中ではあるが、馬車の往来があるためか道はきちんと整備されていてぬかるむということはない。
しかしハルカの表情は険しい。
「環境アセスメント、どうなっておりますの?」
両脇の湿原を見ると、青いリンドウの花と白いウメバチソウの花が咲いている。
ヴォルフィンは「春、咲く、白い、大きい、変な花」と言っているので、おそらくミズバショウの群生地と思われる。
「おほほほほ、高規格道路を計画する際は、この湿原は迂回した方が良さそうですわね」
湿原の中に七合目があった。
標高1180ポミュ。
例によって無人で、便所小屋と無人売店がある。
便所小屋には、
「便所利用の方はコインを投入してください。
湿原の環境保全に役立てます」
と張り紙があった。
ハルカは壁に固定された代金箱を叩いてみた。
音の感触からして中身は空っぽだった。
「みんな、お金、入れない。
無視する、張り紙」
ヴォルフィンはそう言いながら銅貨を箱に入れた。
「そもそも湿原のど真ん中を埋め立てて道路と休憩所作っている時点で、募金を募ってもすでに色々手遅れな気がしますわ…」
「私、わかる、ハルカ、言ってる、意味。
でも、違う、理由、入れる、お金」
「あー…他の休憩所だとそこら辺に捨てるんだけど、ここだけ他所に運んで捨ててるからだな…。
ハルカ嬢の言う汲み取り屋みたいな感じだ」
クレトップが補足した。
「……それは完全に『市場の失敗』の運用費の回収まで失敗しているではありませんの!」
牽引
ロープは5m以下、中央に縦横30cm四方以上の白い布を取り付け、時速30km以下で走行する。
牽引される側にも、その車を運転できる免許を持った人が乗り、ハンドルやブレーキの操作を行う。
※速度は条件によって異なります
※詳細は法令や都道府県の細則に従ってください
※故障したらレッカー業者に任せた方が安全です
本編でクレトップが牽引される側の馬車に乗っていたのは、ハンドルとブレーキ相当の操作のためである。




