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ニセ勇者パーティ、はじめました ~名声を悪用するつもりが、本物より活躍している件について~  作者: 結城 からく


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105/107

第105話 勇者からの報酬

 一緒に煙草を吸うウォルドは、壁に寄りかかって外を眺めている。

 それから世間話のように報告してきた。


「お前さん、三週間も昏睡していたんだぜ。村の医者も目覚めるか分からないと言っていた」


「そうか」


「よく戻ってきたな。地獄は居心地が良くなかったのかい?」


「素行が悪くて追い出されたのさ」


 俺が皮肉を返すと、ウォルドは愉快そうに笑った。

 その時、彼の影からメニが顔を出す。

 ずっと黙っていると思ったら潜んでいたらしい。

 彼女は自分の顔を指し示して主張する。


「メニの力で魔王を殺せた」


「ああ、感謝している。おかげで勇者の手柄を奪ってやれた。世界最強の盗賊を名乗れそうだ」


「ジタンは強い。名乗る資格がある」


 じっとこちらを見るメニは淡々と断言する。

 冗談を述べた雰囲気ではなかった。

 俺は苦笑気味に反応する。


「本気で言ってんのか」


「うん。ジタンは戦う勇気がある」


 メニは頷きながら答えた。

 戦う勇気など、俺には無縁の表現だろう。

 状況的に仕方なかったり、意地になって蛮勇を発揮しただけだ。

 とても高尚なものじゃない。


 それでもメニにとっては一定の評価に値するものだったらしい。

 あまり否定するのも違うので、彼女のからの称賛としてありがたく受け取っておく。

 なぜかメニに撫でられながら俺はウォルドに訊く。


「他の連中はどうした」


「勇者パーティはとっくに旅立ってるぜ。魔王の死を報告するのと、仲間の埋葬があるらしい。あっちは三人になっちまったからなぁ」


 ウォルドは何かを思い出したように懐を探る。

 彼は折れ曲がった一枚の羊皮紙を俺に手渡してきた。


「そうそう、勇者から手紙を預かっていたんだ。お前さんが目覚めた時に渡してくれって」


「へぇ、あいつからか」


 俺は手紙を読み始める。

 手本のように綺麗な字を追ううちに、自然と眉間に皺が寄っていく。

 締めの言葉に達する頃には、盛大なため息と悪態を吐き出した。


 俺は天井を睨みながら舌打ちする。


「あの女、やりやがった……」


「何が書いてあったんだ」


「読んでみろよ」


 俺は手紙を乱暴に投げ渡す。

 掴み取ったウォルドはさっそく読み進めていく。

 そして、気持ちの悪い笑みを浮かべながら俺の肩を叩いてきた。


「ほうほう、お前さんに勇者の名を貸すらしい。大々的に勇者として活動することを許可するそうだ。よかったな、本物になったじゃねぇか」


 ウォルドは上機嫌に手紙を振る。

 俺は無言で中指を立てた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 今話もありがとうございます! >「よく戻ってきたな。地獄は居心地が良くなかったのかい?」 >「素行が悪くて追い出されたのさ」 >俺が皮肉を返すと、ウォルドは愉快そうに笑った。 www …
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