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スナック菓子で契約が成立する究極の世界。  作者: 環蝸
第三章 従順で善良で悪逆な市民
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従順で善良で悪逆な市民(5)

俺は洞窟の前に立っていた。

 岩山の一部に穴が空いた洞窟だ。

 暗く奥までは中が見えない。何らかの明かりは必要だろう。

「人工の洞窟なのよ」

 ビアンカさんは続ける。

「まだこの国が貿易を禁止せず入国管理もされていない大昔の事、外から来た人達が資源を求めて掘っていったの。萌葱鉱石を見つけた時は大喜びして袋いっぱいに積めて行ったけど、国に着いて国王に献上しようと袋を開けたら、袋いっぱいに砂が入っていたそうよ」

 見てきたように言うのは、それほど有名な話なのかもしれない。

「見たこともない宝石を大量に持って帰ってきたと言い張るその男達は世紀の大フラ吹きとして200年語り継がれたわ。後の研究で萌葱鉱石の存在が明らかになり、嘘ではないという結論が出たそうよ」

 よく出来た皮肉だ。死後100年以上経過してから報われるなんて、とても滑稽だろう。

 という事で、僕はビアンカさんからライトと剣スコップ、遮光性の高いビニール袋とリュックを預かり洞窟の中へと旅立った。


 洞窟に入ったのは初めてだ。

 思ったより足元の凹凸が少ないのは......荷車というのだろうか、あぁいうのを引きやすいように平らにしたのだろう。そうじゃなきゃ今頃僕は岩と岩の間に身体をねじ込むのに精一杯労力を割いている筈である。歩きやすく、また作業もしやすいスペースだ。

(恐怖を感じるのは......まぁ、当然か)

 LED(だと思う)のライトを持っているとはいえ、暗闇は原初の恐怖である。朝昼に活動する人類にとって闇とは言われもない暴力に近い。1日に必ず否応なしに訪れる暴力だ。子供の頃は一人で歩いてると怖かった。未知の生物に襲われるんじゃないかと思ってびくびくしていた。その内、昼は慣れたが夜だけ怖くなった。未知の生物より、夜道のヤンキーの方が面倒くさいし怖い事に気付いた。

 基本的にこの洞窟は一本道だ。分岐はあるが道が細く、基本的には行き止まりらしい。しかも丁寧に順路まで示してくれている。だがそれ等は勘違い等のヒューマンエラーを防止するための保険である。一番の前提、一番の目的は......

「ぐぁ──!?」

 後頭部への衝撃に僕は倒れてしまった。

 落石──いや、殴られたのか!?

「ぐへへ、久々のカモだぜ」

そろそろやる気出します。

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