表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
329/364

321、リオネルの毛生え薬

目の色が副作用で変わるポーションは、アマドロ草、癒し草、アニン草の3種類で作れるようだ。アマドロ草はスタミナポーションにも使っている薬草だし、癒し草は下級エリクサーの材料にもなる薬草だった。初めて見るのはアニン草だが、これが命の雫に薬効を抽出すると凄い色になっていた。黒とも青とも紫とも言える濃い色だ。これのせいで目の色が一時的に変化するのかな……?

完成した目薬を鑑定して貰うと、目の色が暗くなる副作用が出るというものだった。

だが、暗くなるのも1時間程のようだ。1時間くらい経つとだんだん元の色に戻っていくようだ。大体の人が濃い色や茶色い色、黒い色の瞳になるようだ。白目の所には作用しないらしいので、目の色が変わる副作用を利用できそうだ。

変身したまま使って、変な効果が出たら怖いので、変身が解けたら試してみることになった。


それからついでに育毛剤もここで作って帰ることになった。

「育毛剤の材料も揃ってるの」


「そっちは揃ったよ」


「さすがサンちゃん」


育毛剤の材料は、モウキュウキノコ、ヴァンパイアの唾液、癒し草、サクナ草の4種類のようだ。癒し草とサクナ草は下級エリクサーの材料にもなっている物だ。モウキュウキノコは傘の先が尖った球根のような形の黒いキノコだった。真っ黒なキノコだが、口に入れて大丈夫なのかと不安になるような見た目だ。さらに、

「ヴァンパイアの唾液って……」


「クレイに貰った」


「……」そうだろうね……とリオはサンにジト目を向けた。


いつも血を飲んだあとは舐めて治してくれるので効果は知っている。

だが、唾液入りの薬って……とリオはとても複雑な心情だった。


だが、自分が飲む訳では無いし、知らなければ平気だろう、多分……と、気持ちを切り替え、サンに渡された材料で育毛剤を作っていった。


「どう?」


「うん!ちゃんと毛を生やすって書いてるな、大丈夫そうだ!飲んでも塗っても良いって」


「んじゃ、帰ったらリオネルに試してもらお!」

リオはヴァンパイアの唾液が入っている事は誰にも話さないようにと全員に釘を指した。

みんなは苦笑いで、頷いていた。


「で、これの癒し草を抜いて、代わりにこのヘンショクキノコを入れたら髪色が変わるはずなんだけど……?」

と、差し出されたキノコはメタリックな見た目のキノコだった。


「何これ?!凄っ!」


触ると柔らかい。大きさも触り心地も椎茸のようだが、表面はツヤツヤと光っており、光の加減で虹色に光っている。置いている場所に合わせて周りの色と同じ色に変わる事から変色(ヘンショク)キノコと呼ばれているようだ。


「だよな……」


「それ食べれるのか?」


「普通に食べても美味いらしいぞ」


「へぇ!」

「とても食べれそうには見えないのにね!」

「さすが異世界!」


「商業ギルドでは食材として扱ってたからな」


「え?!」

「マジかよ?!」

「すげぇな!」

「コレ食ってんの?!」



とりあえず、材料入れ替えてやってみようと、薬効成分を抽出していく。


ゼンに最初にここでポーションを作った時はおっかなびっくりといった様子だったのが、慣れたものじゃの!と褒められた。

今ではかなりの種類のポーションを作れるようになった事を伝えると、ゼンが作った事のなかったポーションもあったようで驚かれた。

興味深そうに、それは今日も持っておるのか?と聞かれ渡しておいた。

1番興味を示していたのは日焼け止めポーションだ。

日焼けをしないようにするなんて考えた事もなかったとポーションをまじまじと見詰めていた。

だが、リオはすぐに日焼け止めポーションの材料だと、薬草を見て思ったのだが、ゼンの知識にあったんじゃないの?と尋ねたが、ゼンは知らないようだった。

スキルにも材料を判別するようなものが含まれているのだろうか?

スキルとは不思議な物だな、一体どういった仕組みなのだろうか?と少し思ったが考えても答えは出なさそうだったので、早々に考えるのを辞めた。


そんな事を考えている間に、サンちゃんから良さそうだと声がかかった。


これで髪色を変えるポーションも完成だ。

こちらも髪の毛の色が濃く変わるようだ。

ブロンドの色が何処まで暗くなるのかは分からないが、今より地味にはなるはずだとサンちゃんは嬉しそうにしていた。

こちらも、変身薬の効果が切れてから試してみるようだ。


一通り作りたかった物が作り終わると、ゼンと久しぶりに会ったので最近はどうしていたかなどを沢山話した。

ゼンがずっと続けていた、体から魂を引き離す研究はあれこれ試したが上手くいかず、最近は別の研究をしていたそうだ。

新しい研究がどのようなものか気になったが、もう少し形になったら教えてくれると、今日は教えてもらうことが出来なかった。

内緒にされると余計気になる。

ブーブーと文句を言いながらも教えて貰えないなら仕方がないと諦めて、自分達の近況も色々伝えた。

本来頼まれていた身体の調子も全く問題ない事も伝えておいた。

ゼンはまだ1年も経っておらんのに不調が出ては困ると笑っていた。


近況を伝えたり、最近行った街のことを伝えたり、ゼンの知識に無かった事なども伝えたりと、話している時間は楽しくてあっという間だった。

そろそろ外も日が落ちて暗くなって来る頃、ゼンを晩御飯に誘ったが、途中で死霊骸(リッチ)に戻ってしまっては大変だからと断られた。

それならと、リオが今までノアが作ってくれた料理をせっせと魔法腕輪(マジックリング)に貯めていたものをゼンにあげた。

その量が凄かった。


「ちょ、リオ?!」

「すごい量……」

「おまっ、どんだけ出てくんだよ!?」

「いや、本当に、貯めすぎだろ……」

と、みんなが呆れるほどだった。


渡したリオともらったゼンは満足気な顔をしていた。



それじゃぁまた明日ね!と伝え、リオ達は箱庭の中に戻っていくのだった。


◇◇◇◇◇


ゼンの家から、箱庭に戻ってきたリオ達はお腹空いたねと話をしながら食堂へ向かった。

帰ってくるのが少し遅かったせいか、食堂に行くともう皆集まっており、ガヤガヤと話をしていた。


リオはそんな食堂内をぐるりと見回し、リオネルを探す。

すると、奥の方の席で、迅雷の光のメンバーで固まって座っているリオネルを見つけると、皆でそちらに歩いて行った。



「リオネル!できたよ!」


「ん?おう、みんな揃ってどうしたんだ?」


「じゃーん!」


「な?!そ、それは、まさか……」


「そうそう!そのまさかだよ」


「ほ、本当か!?」


リオからポーションを受け取ると「おお、コレが育毛ポーション……」

リオネルは震える手で育毛ポーションを受け取り、感動しているようだ。


「飲んでみて」


「おう……」ゴキュッゴキュッゴキュッ


「どう?」


「今んとこ何にも……」無いと言いかけた時だった。

身体が発光し、毛が伸び始めた。


「おお?」


「な?」


「これは……」


「ブッ」


「ちょ……」


「ヤバっ……」


「ギャハハハハ」

「あははははは」


みんな、リオネルを見て大爆笑だ。


髪の毛は見事にふっさふさになっている。伸びて伸びて肩下まで届くロングヘアーだ。

だがそれだけでは無い、眉毛もモサモサと伸びており、まつ毛も目が隠れる程伸びている。

さらに髭も三つ編みが出来るほどの長さに……

服の首元から覗く胸毛もフサフサと覗き、服の下でも胸毛や腹毛が服を押上げて、服が持ち上がって胸から腹までモッコリしている。まるでクッションのようだ。

腕毛も肌が見えないほどにフサフサになっており、こっちは?とズボンを捲りあげると、すね毛も凄いことになっていた。


皆が爆笑した理由、それは髪の毛だけでなく全身の毛が見事にふっさふさになったからだ。


この結果には作ったリオは驚愕しつつも爆笑だった。

ごめんごめん、こんなはずじゃなかったんだよ!と言いつつも、笑いが止まらない。


「サンちゃんどういうこと?」と、サンちゃんを見ると、サンちゃんもお腹を抱えて笑い転げていた。


「サンちゃん……?」


「あー、腹筋が……」


「何でだろ?」


「まさかこんなことになると思わなくて……ぷッくくくっ」わらいを押さえようとするが止まらないようだ。


「うん……」


「これは塗るしかないな」


「塗るの?」


「ポーションは傷口に掛けても効果あるだろ?これも飲んでも塗ってもって書いてたしな!」


「あー、そっか!」


「他に頭薄い人いたか?」


「えー?」と、周りを見回していると


「んじゃ俺に試して見てくれ!」


名乗り出たのはドニだった


リオネルは、笑い転げていたのが落ち着いた人達にモサモサになってしまった毛を直してもらっている。大の字に立ってナイフやハサミであちこちジョキジョキと切られたり剃られたりしているようだ。


今忙しそうだな……


リオネルも見たいかと思い、声をかけようとしたが取り込み中の様なので、結果だけ教えてあげればいいかと、早速始める。


ドニの頭を見ると確かに頭頂部の毛が少し細くなってきている。

頭皮が見えるほどでは無いが、触ると周りの毛に比べて細く柔らかいのが分かるほどには、細くなっていた。


そこにサンちゃんが、育毛ポーションをぽたぽたと垂らしてグリグリと塗りこんだ。


「どうだ?」


「んー?」


少し待っていると、リオネルとは違い、全身ではなく、今ポーションを塗りこんだ部分だけ淡く発光して毛がふさふさに伸びてきた。


「おー!!」


「いいんじゃないか?」


「うんうん!」


「これで切って整えたら……よし!」

リオはジョキジョキと長くなった部分の毛を周りに合わせてカットした。


「ちょ、鏡!鏡!俺にも見せてくれ!!」


「う、うん」


「おーーーー!!!!」

鏡を見るなり感動で叫んでいる。


「どう?」


「太くてしっかりした毛がはえてきてる!」

と、ドニは感動して目をうるうるとさせている。


どうやら結構気にしていたようだ。


塗り込むように使ったら問題なさそうな事が分かり、万事解決だ!


これで育毛ポーションは完成だ。


ドニの喜んでいる様子を見て、全身毛むくじゃらになっていたのを直してもらったリオネルは、次からはそうやって使ったらいいんだな!と、毎回髪の毛以外もモッサモサにならない方法があってよかったと、ほっとした顔をしていた。



夕食前にこんな事を始めてしまったので少しバタバタして、夕食を食べ始めるのが遅くなってしまった。

そのせいで、夕食を食べている途中で、サンちゃん、ランちゃん、ジオの変身が解けてしまった。

変身が解ける時も、最初に変わる時程では無いが、身体が熱くなり、少し苦しいようだ。

いくら魔法薬とはいえ、身体の造形がかなり変わっているので、それも仕方の無いことかもしれない。


確認した時間はちょうど8時間だ。鑑定で見た通りだった。


変身が解けると、サンちゃんは速攻、目薬と髪色が変わるポーションを試して見ていた。


こちらは身体が熱くなったり苦しくなったりは無いようだ。

目の色はサファイアのような青から、黒に近い濃紺に変わり、髪色はプラチナブロンドのような明るい色からダークブラウンに変わっていた。


「どうだ?」

薬を試したサンちゃんはパッとこちらを見て尋ねてきた。


「「おおー!!」」

サンちゃんを見たみんなは声を揃えてその変化に驚いている。


「色が変わってもイケメンだよ!」

リオは手鏡をサンに渡しながら伝えた。


「あー……本当だな……」

鏡を見たサンは、確かに色は地味だがイケメンだと、鏡に映る姿を見てリオの言葉に納得していた。


「冒険者ギルドのギルドカードって性別書かれてないよ」


「ん?それがどうかしたのか?」


「色変えて行くのも、女体化していくのも、どっちも大丈夫!」


「にょ……それ大丈夫って言えるのかよ……」

サンははぁと溜息を吐いていたが、今作れるのはこの3種類の薬しかない。

ある材料で他もできないか試したが無理だった。


仕方ないよな……と、サンはどっちの薬を使うのか悩むのだった。




リオネル:……みんな大笑いし過ぎだろ!

俺は、俺は、体の毛が伸びすぎな程伸びるとしても使い続けるぜ!

見てくれ!この頭頂部の毛の量を!!

久しぶりだ!こんなに頭頂部がフサフサなのは!うぅ…こんなに感動したのは何時以来だろうか……

まさか、またこんな、こんなに根元から立ち上がった毛と再会できるなんて……うぉーー!!俺は感動しているぞ!

……何?!塗るだけで良いだと?!それは手軽だな!!

全く、リオの奴は凄いやつだとは思っていたが、まさかこんなモノまで作っちまうなんてな!リオは世界のハゲを救う女神だな!

世話になってる上、俺の唯一の悩みまで解消してくれるとは、もう感謝しても仕切れねぇな!!




いつも読んで下さりありがとうございます!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ