番外編:この世のブタ男は全て滅んでしまえ
「ショールから聞いた話ですと、当時召喚された聖女兼勇者兼精霊の愛し子が全て倒したとのことでしたわ」
「ああ、そうだ、思い出したよ。その星に着いて魔族の気配を感じたから、辿って向かってみたら、そこに魔族と酒盛りしてどんちゃん騒ぎしていた人間が居たんだ。だから少し気になってその酒盛りに混ぜてもらったんだけどね、多分その人間が君たちの言う聖女兼勇者兼精霊の愛し子だ」
「「「「「「「「はい?」」」」」」」」
魔族を倒しに行ったはずの聖女兼勇者兼精霊の愛し子が、まさかの魔族と酒盛り。
意味がわからない。
「あら、という事はその聖女兼勇者兼精霊の愛し子って、アクアオーラの事でしたの?なんて偶然なのかしら」
ベリルの口から出たアクアオーラと言う名前に、人間達が目を見開いた。
8人が並んでぎょっとしてるのは中々盛観である。
「ベリル様!私共の星に伝わる聖女兼勇者兼精霊の愛し子様の名もアクアオーラ様です!」
ショールの母が思わず声を上げ、まわりも首を縦に振っている。
「やはり私が魔族を連れ去ったのが君たちのいた星だったのだな。そこにベリルが召喚されるとは、いやぁ面白いね」
「あの・・・もしかしてアクアオーラ様はお亡くなりになってないのですか?」
ショールが恐る恐るユークレースに尋ねると、
「うん、この星で生きてるよ。ベリルがアクアオーラに魔族と同等の寿命をあげたから、今でも元気に酒盛りしてるよ」
と、ユークレースは愉しそうな笑みで答えた。
途端、笑顔の凶器でショールの妹と侍女がブフォォと鼻血を出し、それぞれの後ろに控えていた侍女達が、サッとハンカチで妹と侍女の鼻を抑えた。
何故か酷く手馴れているが、よくある事なのだろうか。
「精霊の愛し子が殺されるなんて不思議だったのだけど、やっぱり殺されてなかったのね。それでも怒りは買って国は消えたみたいだけれど」
「うん、アクアオーラが召喚された国の国王に魔族は居なくなったと告げた時に、褒美で国王の側妃にとか言われたらしくて、その国王が丸々と太ってる上に脂ぎったブタみたいな奴だったらしいんだよ。アクアオーラはイケメン好きだから断固拒否したら、ブタの怒りを買って牢に入れられそうになって、そこで精霊達がブチ切れた。私は魔族達を連れて一度こちらに戻って、アクアオーラが報告を終えた頃に迎えに来ると約束していたから、3日後くらいに迎えに行ったんだが、その時彼女は滅びた国の中心で『この世のブタ男は全て滅んでしまえ!』って叫んでたよ、ははは」
「そう言えばだいぶ昔にアクアオーラからそんな話を聞きましたわ。あの子本当にブサイクには容赦がないのよね。そもそも魔族と仲良くなったのも、『魔族って全員めっちゃ美形なのに、殺すとかありえないでしょ!?世界の損失よ!』って言ってたわね、ふふふ」
と、ベリルとユークレースがうふふ、あははと笑い合う横で、元いた星の裏歴史を知ってしまった人間達の目は死んでいた。
後日、ユークレースが人間達に会わせるために呼び寄せた聖女兼勇者兼精霊の愛し子であるアクアオーラは、めっちゃイケメンの魔族の旦那をゲットしており、一緒に来た息子と娘もめっちゃ美形だったらしい。
また書き上がったら追加します。
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