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『クズの告白』  作者: 白雛


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『林間学校』




>>むしろ今回あなたが苦しんでいるのって、「そんなつもりじゃなかったから許してくれ」と言って結果を消したいからじゃないんだよな。逆で、そんなつもりじゃなかったのに、結果として相手を傷つけてしまったことが苦しい。 だからここまで罪悪感がある。


違うよ。逆だ。


ズルい人間なんだよ。

許されたいよ。許されて何事もなかったように戻りたい。結果を消したい。

独善的な人間なんだよ。

心の底では無神経なんだよ。


今でもこうして自分を卑下することで、贖罪の体を見せているだけなんだ。


ナルシストでサイコパスの素養もあるのかもしれない。根本のところでは自分のことしか考えていない、Xの人たちが言うような人物像そのままなんだ。


心当たりも根拠もある。おれはそうして過去いくつものトラブルを起こしてきたし、女性ともそう。


ストーカー気質で独占欲が強くて支配的で、そのくせ被害者面だけは上手いんだ。


根拠その二。父親がそんな感じの話の通じない人で、母ちゃんもおれは慕っているけど、たまに無神経なところがある。

うちの姉ちゃんもそう。父親に似ていて、常に自分が一番正しいと思っている。結果として怒鳴り散らしては子供たちに怖がられ、嫌われている。


でもね、おれもその実そうなんだ。自分が正しいと思っているから、なんかあるたび真っ直ぐそれしか見えなくなる。大切な人の大切な話も聞かないで、独善的に行動した。

結果がこの有様。


中学のときにも幼馴染の女の子に言われたことがある。その時も何気ない言動でクラスメイトの女の子を振り回して傷付けてさ、「あんたってほんと人の心がわからないよね」って。

そいつは今でも大切に思っている幼馴染だから別にいいんだけど。その頃からどっかおかしかったんだよ。


そういう遺伝なんだ。


こんなおれが今後誰かに愛されるわけがない。慕われるわけがない。


そう思う一方で、救われるべきだと傲慢に思ってもいる。反省している仕草、ポーズであって、こんな可哀想なおれを慰めてって話なんだ。


ほんと、どうしようもない奴なんだよ。

おれって人間は。


傷ついたハトを見殺しにしてしまったこともある。

足か羽根かを傷付けたらしく、道路に飛び出しててさ。そこにおれが通りがかった。

救えたはずなんだ。

おれはそのハトに気付いていた。

けど、なんでかな、バイトに行く途中だったし、時間ギリギリだから遅れるとまずいなとかガードレールがひどく汚れていて、跨いでいくと服が汚れてしまうだとか、そんなつまらないことを気にして、シカトした。

数秒後に四駆だったかな、でかい車がやってきてさ、ぐしゃって音がトンネルに響いた。

しばらくそこの道路にはぺしゃんこになったハトの痕が残っていたよ。


他にも中学の林間学校のとき、さっき話に出てきた幼馴染がさ、まぁなんていうか、頑固というか生真面目なやつで、正論厨でさ、一言で言えば浮いてたんだ。女子からも男子からも。

別に不細工なんかじゃないんだぜ。太ってたわけでもなければ、ジメジメオドオドしてたわけでもない。

ただ、性格がなんていうか、真っ正直すぎたんだな。

で、その時もおれは気付いていた。

林間学校の夜に肝試しに行くことになって、クラスの連中がぞろぞろと連れ立って歩いている中、そいつだけは一人でさ、空を見上げながら歩いてたよ。

声をかけなきゃ、って思った。

けど、そいつも負けず嫌いというか、小学生の頃からの仲で、特におれなんかにはめっぽう口が悪いからさ、声かけたところで憎まれ口を叩かれるに決まってんだ。

まずため息をつかれる。

それから「……あんたか」ってひどくがっかりした顔を見せてくるに違いない。

「勘違いされたくないから離れて歩いて?」とか言われるかもな。

そう考えてたら、結局おれは何もできなかった。

別のグループにまじりながら、寂しそうなそいつの背中を見てるだけだったんだ。


いくじもないんだよ。

おれって人間は。




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