弟子が出来ました
リンが小走りで俺たちの方へ走って来たから俺たちは話し合いを止めリンの方へ向き直る。
「決まったか?」
俺がリンに尋ねるとリンが笑顔で。
「うん!みんなは取り敢えず暫くはここにお世話になりたいんだけどいいのかな?」
「おい!ケビン!」
俺は他の騎士達と話し合っているケビンを呼んだ。
「はっ!どうかされましたか?」
「こいつらの事この街で受け入れる事は出来るか?」
俺がケビンにそう尋ねるとケビンは少し考え込み申し訳無さそうに答える。
「無理だと思います、住まわせる場所がありませんし…」
「そうか…じゃあ住む所さえ何とかなればいいのか?」
「はい!そうです!」
ケビンが元気に答えた所を見ると本当に住居だけが問題みたいだ。
「空き地はあるのか?」
「はい!こちらに!」
ケビンに案内されて嫁さん達を残して俺だけが空き地に向かう。
「ここです!」
「ここか…ふむ」
ケビンに案内された場所は街の中心地から結構離れた所で学校のグランドぐらいの広さがある何も無い空き地だった。
「ここなら大丈夫です!」
「で?幾らだ?タダじゃ無いんだろう?」
「はっ!この土地は金貨100枚です!」
た、高い…でも仕方ないか、あんな地球の学生何十人も面倒見切れないし。
俺は【無限収納】から金貨を取り出しケビンに渡す。
「これで良いだろう?手続きは任せたぞ」
「はっ!かしこまりました!」
ケビンが走って去っていくのを見送り俺は空き地を眺める。
「ん〜俺の魔法の家にも流石にあの人数は入らんしな〜仕方ない!作ってみるか!」
俺はまず空き地に神気を流し込む、土地に馴染むくらい流し込んでから土の下に何があるか確認する。
土に水を染み込ませるイメージで下に下に神気を移動させると地表から多分100メートル程の所に地下水脈を発見した。
地下水脈が意外と浅い所にあるので土魔法で一気に建てたかったが無茶すると地盤沈下してしまいそうで使えない。
「仕方ない…魔法が使えないんだったら神術しかないか…少し不安だが…」
正直、初めて使うちゃんとした神術が建築って…まぁ俺らしいか。
まずは神気を使い土地を平らにする、ロードローラーでならすイメージで綺麗で平らな空き地になった。
そして、次は建物だ。
建物はイメージしやすくて学生達が生活しやすいマンションをイメージしてイメージ通りに神気で下から順に作っていく。
……神術マジ便利!
暫くすると…何ということでしょう…何も無い空き地だった場所は匠の手により10階建てのマンションが建っているではありませんか。
「なかなか良い出来だな!」
俺が満足気にマンションを眺めているとリン達学生がぞろぞろと歩いてきた。
「マ、マンション?何でこんな所に?」
学生達がざわつく。
「でも、このマンションデザインが古く無い?私、お父さんの昔の写真に写ってたマンションにこんなデザイン見たことあるよ」
「マジで!へ〜」
無自覚なんだろうが学生達の無邪気な評価にorzの姿勢に崩れ落ちた。
これが…カルチャーショックか…(泣)
学生達がぺちゃくちゃ喋りながらマンションに入ろうとしているのをリンが止める。
「待って!みんな!先にお礼言わなきゃ!」
「「「ユウさん!住む所を用意して頂いてありがとうございます!」」」
「おう!」
俺が一度頷き学生達がマンションに入っていくのを眺めているとリンと鈴木士郎と言っていた学生が歩いて来た。
「どうしたリン?」
「鈴木君がユウ兄ちゃんに話があるらしいから連れて来たの」
「ユウさんお願いがあります!僕を…僕を弟子にして下さい!」
そう言いながら頭を下げる鈴木士郎を見て俺は。
「弟子になって何がしたい?」
と問い掛けた、すると鈴木士郎は。
「強くなりたいです!守りたいものを守るために!」
「なるほど…で?お前の守りたいモノとは?」
「わかりません!」
「わからんのかよ!」
「はい!今はまだわかりませんが守りたいモノが出来た時に力が無いのは嫌だからです!」
「死ぬ程キツイぞ!それでも、ついてこれるか?」
「はい!」
俺は鈴木士郎の目を見て嘘じゃ無いか確認すると俺は踵を返し歩き出す。
「今から帝国に殴り込みだ!付いてきたかったらついて来い!」
「はい!」
「私も行くよ!」
「リン…わかったよ無理するなよ」
「は〜い」
俺はリンと鈴木士郎を引き連れ嫁さん達の元に戻った。




