テンプレですね…わかります
俺と騎士達それとセリーヌ王女の一行は、街を出てオスカー領のある北に向かった。
馬車と馬で数時間程移動して最初の休憩をとる。
休憩場所は街道沿いの森の近くで、馬車が6台停まっても大丈夫な広さがある。
俺はゴロリと横になり、空を眺めていた。
すると、森の方から人の気配…所謂殺気を感じ起き上がっり森の方を見る。
「急にどうしたの?」
セリーヌ王女が俺の背後から尋ねて来た。
「敵だ!お前達!戦闘準備!」
ケビン達が慌てて起き上がり森の方を見る。
すると、ヒュッ!と言う風を切る音が鳴り数本の矢が飛んで来る。
俺は飛んでくる矢をパシッと右手で掴み投げ返す。
ケビン達も矢を躱したり、手で叩き落としていた。
投げ返した矢が当たらなかった様で、俺が投げ返した辺りからまた、矢が射掛けられる。
セリーヌ王女に向けて射掛けられた矢を右手で掴みながらセリーヌ王女に指示を出す。
「王女さま、馬車にお戻り下さい」
流石に顔の前で止まった矢を見て怖かったのだろう、セリーヌ王女は急いで馬車に戻った。
俺は王女が馬車に戻ったのを確認して、ケビン達に命令を下す。
「お前ら!これより戦闘を開始する!…蹂躙せよ!」
「「「サーイエスサー!」」」
そこからの戦いはまさに蹂躙だった。
相手は、弓が効果が無いとわかると白兵戦に切り替えたらしく、50人程の盗賊らしい格好をした男達が森から飛び出して来た。
ケビン達は盗賊っぽい男達をタックルで吹き飛ばす、人がボーリングのピンのように飛んでいく様は何度見ても壮観だ。
しばらくして戦闘が終わる…こちらはほぼ無傷で相手は全員気絶している。
盗賊達を縛り上げ一か所に集める。
気絶していた盗賊達が目を覚まし項垂れているなか、1人の盗賊が問い掛けてくる。
「なあ?あんた達は騎士なのか?」
「ん?あぁ、俺以外はそうだが?」
俺がそう答えると。
「そうか…クソ!上玉の女が手に入るって言うから手を貸したのに!聞いてね〜ぞ!そういやアイツは何処にいるんだ?」
「アイツ?どんなやつだ?」
「女だ!ダークエルフの!奴がこの仕事を依頼して来たんだ!俺たちはそれを受けただけだ!」
盗賊の男は悔しそうに叫ぶ。
「女?女はいなかったはずだが?その女が何故そんな依頼を?」
「知らね〜よ!俺たちは馬車を襲撃後、女を攫って逃げるのだけが俺たちの仕事だったんだ!前金として金も貰ったしな!」
「ふ〜ん、それで?」
「馬車には騎士が30人程乗ってるって情報は貰ったがこんなに強いとは聞いてね〜んだよ、クソ!」
「自業自得だろ?まぁ、後は街に行ってから喋ってくれよ」
「……クソ!」
俺はその場を後にしてケビンの所に向かう。
「ケビン!状況はどうなっている!」
「はっ!あと、2時間後には出発できます!」
「なら、先に昼食にしよう」
「はっ!伝えてきます」
ケビンが他の騎士達に伝えに行った。
俺たちは昼食を摂ったあと、盗賊を巡回て来た騎士達に預けて出発した。
夕方まで街道沿いを進み、丁度いい場所を発見したので、そのままその日は野宿をしたのだが、事件が起きた。
夕食も終わり俺がケビンと他2名と喋っていると背後に気配を感じた。
振り向くとそこには顔を火照らせているセリーヌ王女が立っていた。
俺たちが状況を飲み込めず動けないでいると。
「今日はありがとう、一歩間違えば死んでいたわ」
セリーヌ王女が一歩踏み出す。
「い…いえ、護衛として当然の事をしたまでです!」
俺は一歩下がり答える。
「謙遜しないで♪でも、王女としては命の恩人に褒美を与えないとね♡」
王女は更に一歩踏み出す。
「い…いえ結構です!」
俺はまた一歩下がる。
「褒美は私のキスをあ・げ・る♡」
セリーヌ王女は膝を曲げ力を溜めている、俺の脳内センサーが今までに無い危険を感知した。
「話聞けよ!遠慮します!俺はそんな物いらない!」
するとセリーヌ王女はニヤリと笑い。
「あなたに拒否権はないわ!…貴方が悪いのよ…あんなに格好いい所魅せられたら我慢できないわ!」
何このゴリ…肉食ヤンデレ風って何処に需要あるの…。
セリーヌ王女は身体をしならせて飛び込んで来る、俺は隣にいたケビンをみる。
「な…何ですか?」
ケビンは俺の視線が気になったのか俺の方に振り向く。
俺はケビンに逃げられないように肩を掴む。
「ユ〜ウ〜♡」
突っ込んでくるセリーヌ王女に向かい合うようにケビンを立たせる。
「まっ…まさか」
ケビンの顔が青くなる。
「ケビンバリアー!!」
俺がケビンの背後に隠れてそう叫ぶとセリーヌ王女はケビンを俺だと思い抱き付き、音が鳴るぐらいと言うか鳴っていたがぶちゅ〜とキスをしていた。
キスをされているケビンは最初、バタバタと足や手を動かして抵抗しようとしていたが、徐々に力が無くなり最後の方はだら〜んと力尽きたようにされるがままだった。
俺は近くの馬車の影に隠れ様子を伺う。
セリーヌ王女はキスを終えるとケビンを見て。
「ん〜?間違えたかな?」
その一言を残し自分の馬車に戻って行った。
セリーヌ王女が去ったあと、俺はケビンの元に駆け寄る。
「ケビン…お前の犠牲、多分忘れないぞ…」
ケビンは何かを吸い取られたように真っ白に燃え尽きていた。
俺はケビンを抱え馬車に戻した。
馬車の中でケビンに合掌して、夜の見張りをする事にした。
元々ケビンがする予定だったが仕方がない。
それに、昼の盗賊騒ぎのあとから尾行している者がいる…多分気配から察するに昼の、俺とセリーヌ王女に矢を射掛けて来た奴だろう。
気配を隠しているが俺からしたら丸わかりだ、まぁ攻撃の意思は今の所無いみたいだからこちらからは仕掛けないが。
一応警戒をしながら見張りを続けてその日は終わった。




