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【タイトル変更】世界が分断されちゃって日本の生存確率低下中、西日本は俺達に任せとけ  作者: かぶんす


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エピローグ

いろいろと書き直し増した。

東京の空が黒煙に包まれてから、どれほどの時間が経っただろうか。

大阪のLIFE本部の最上階。窓の外には、かつてないほどに澄み渡った夜空が広がっている。しかし、その平和を汚すように、重苦しい足音が廊下に響いた。


「ようやく辿り着いたぞ、宮本孝治。ここがお前の墓場だ」


扉を蹴り破って現れたのは、東京の異能犯罪集団《支配血精》の残党であり、最後にして最強の刺客・影山だった。彼の両手からは、どす黒い血液の霧が立ち昇り、床を腐食させていく。

宮本はモニターから目を離し、静かに椅子を回転させた。その表情には、驚きも恐れもない。ただ、書類を整理する経理係長のような、淡々とした事務的な冷徹さがあるだけだ。


「随分と遠回りをしたな。東京の惨状を置き去りにして、ここまで来るのにどれほどの犠牲を払った?」


「うるせえ! 俺たちの力が、お前という『壁』に阻まれてどれだけ損をしたと思っている! 資源も、食料も、すべてお前が奪ったんだ!」


影山が叫ぶと同時に、周囲の空間が赤く染まった。彼の権能『血液強制操作』が発動したのだ。宮本の血管内にある血を逆流させ、体内から破裂させる。それが彼の殺害方法だった。


「終わらせてやる。俺の血の枷に、その身を裂かれろッ!」


黒い霧が、宮本に向かって奔流のように押し寄せる。

だが、宮本は微動だにしない。彼はただ、虚空に浮かぶ半透明のウィンドウを指でタップしただけだった。


【Fate Enter:入力受付中】

【対象:影山の異能『血液強制操作』】

【効果:強制無効化および、対象者へのデバフ付与】


「なっ……何をした?」


影山が目を見開く。放ったはずの血液の霧が、宮本に到達する数ミリ手前で、まるで目に見えない壁にぶつかったかのように霧散したからだ。

いや、それだけではない。影山自身の両手から噴き出していたはずの禍々しい血のオーラが、嘘のように消えていく。


「システム書き換え。お前の権能の『発動条件』を、今日この場所から消失させた」


「嘘だ……俺の力は、俺の血そのものだぞ! 書き換えなんて、そんなことが可能なわけが――!」


影山は必死に自身の掌を握りしめ、力を込める。しかし、どれだけ叫んでも、指先から血の一滴も滲んでこない。異能が、まるで最初から存在しなかったかのように、剥がれ落ちていた。


「資源を奪ったと君は言ったが、それは間違いだ」


宮本は席から立ち上がり、ゆっくりと影山へ歩み寄る。その足音一つ一つが、床に響くリズムとなって、影山の心理を追い詰めていく。


「俺は奪ったんじゃない。適正な価格で取引し、管理し、防衛したに過ぎない。君たちは、リスクを管理せず、ただ暴力という債権で他者を脅し取ろうとした。結果はどうだ? 債務超過で、君たちの存在そのものがデフォルト(破綻)したわけだ」


「ふざけるな……俺は、俺はこんなところで終わらない!」


「俺の権能がお前の権能を上回ったというだけだ。ダンジョンを恐れて攻略をしていないお前の暴力は赤ん坊の不意のパンチよりも容易く対処できるさ」


影山が拳を突き出し、生身の肉体で宮本を殴りかかろうとする。しかし、宮本はそれを片手で受け止めた。まるで、子供の遊びをあしらうかのように、あっさりと。


「いい加減、認めろ。お前たちは、もう古いんだ」


宮本の眼光が鋭く光る。


「西日本、いや、この国はすでに、君たちの住んでいた『力こそ正義』という力学から、より強固な信頼というシステムへと移行している。その移行期間に現れた最後のバグが、君たちだ」


宮本が指を鳴らす。

その瞬間、影山の周囲の空間が歪み、重力のように彼を地面へと引きずり下ろした。抵抗する術を失った影山は、床に両膝をつく。


「さようなら。この世界に、君たちの居場所はない」


影山の瞳から光が消え、彼がまとっていた赤い霧が、最後にはただの風となって部屋の中を吹き抜けた。


「権能のロックが解除されて使い勝手が良くなりすぎたな」


数日後。

激しい雨が上がり、雲間から柔らかな陽光が射し込む朝。

窓を開けると、大阪の街はいつも通り、活気に満ちていた。空には鳥が舞い、遠くからは子供たちの笑い声が聞こえる。

宮本はコーヒーを淹れ、お気に入りのマグカップに注ぐ。テーブルの上には、佐那が用意してくれた今日の予定表が置かれていた。


「……平和だな」


思わず零れた言葉に、背後から温かい気配が寄り添う。


「何が平和なんですか? 宮本さん」


美佳が寝ぼけ眼で部屋に入ってきて、宮本の背中にそっと身を預ける。その後ろから、玲子も美穂も、微笑みを浮かべて続いた。

すべての戦いは終わった。国は、西日本を中心に、新しい形へと歩み始めている。


「いや、ただの独り言だ。……計算通りの朝だよ」


宮本はコーヒーを一口啜り、窓の外の青空を見上げる。

あの「白の世界」で見せられた文字は、もうどこにもない。だが、自分たちが生きるこの日常こそが、誰かが書き換えた運命ではなく、自分たち自身で積み重ねてきた確かな「実績」であることに気づく。


誰かが世界を支配するのではない。

ただ、守るべきものがあり、共に笑い合う人がいる。それだけで、世界は十分すぎるほどに美しい。


「さて、今日は何をしましょうか?」


佐那の問いかけに、宮本はマグカップを置き、彼女たち一人ひとりの顔を見渡した。


「ああ。まずは、美味しい朝食を作るところから始めようか」

最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


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